スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)

第13回

Wi-FiのSSIDを分かりやすく設定しよう(ASUS「RT-AC59U」編)

 前回は、本体底面のQRコードをスマホでスキャンすることで、Wi-Fiルーターに接続した。最近は、このようにスマホで読み込んで接続できるQRコードが、初期設定のために用意されたWi-Fiルーターが増えている。ただ、初期状態のままだと、パスワードを推測できてしまうので、セキュリティ面で多いに問題がある。このため、面倒がらずに必ずオリジナルのSSIDとパスワードを設定して利用を開始するようにして欲しい。

本連載で解説に用いているファミリー向けのWi-FiルーターASUS「RT-AC59U」。ホワイトモデルが通常販売されていて、ブラックモデルはAmazon.co.jpの専売だ

SSID名はパッと見て分かる判別しやすいものに

 Wi-Fiでは接続先を識別するために名前を付ける仕組みになっている。これは「SSID」と呼ばれ、スマホから見たときにこの名前を選ぶことで、どのWi-Fiに繋ぐかが決められる。

 SSIDの名前を設定をする前に、あらかじめ少し知っておきたいことがある。これから設定するSSID名は、Wi-Fiルーターの電波圏内にいれば、誰もが表示させられるものだ。電波が入る圏内ということは、近くにいるということ。電波の強さを見れば、場所もおおよそではあるが判別してしまうので、個人を特定できるような名前は、SSIDには付けないようにしよう。

 ただし、SSID名を短く一般的なネーミングにすると、ほかのSSIDとバッティングする可能性が高くなるので、少し長めにしておきたい。最大では半角32文字まで設定できる。接続時に入力するものではないので、長い名前にしても問題はない。

 万一、外出先で同じSSIDに遭遇してしまったら、パスワードが違うので接続はできないはずだが、スマホが自動接続を試みるので、その間はモバイル通信が途絶えたりする。

 SSIDが初期設定のままだったり、自動生成したものだったりすると、最初の数文字がメーカー名になったり、数字の羅列になってしまうため、接続先を選ぶときに、とても判別しにくい。極力ユニークかつ自分自身がパッと見て分かる判別しやすいネーミングにしてみよう。好きなモノの名前などを少しアレンジして付けるのがおすすめだ。

5GHz帯か2.4GHz帯かを見分けられるSSID名に先頭を記号や数字にすると選びやすい

 Wi-Fiは、2.4GHz帯と5GHz帯の周波数帯が使えるが、スマホでは、より高速に通信できる5GHz帯をメインに利用しよう。5GHz帯と2.4GHz帯のSSIDは、そのSSIDの周波数帯が判別できるよう「xxx_5g」などとしておくと、明示的に使い分けられるので便利だ。低速な2.4GHz帯は、5GHz帯に非対応のWi-Fi子機向けとして考えるのがいい。

 SSID名の先頭には、記号や数字を付けておくと、Wi-Fiの接続先を選ぶとき、一覧の最初に表示されやすくなって見付けやすい。SSID名には日本語も使えないことはないが、基本的には半角英数字だけを使う方が無難だ。

 なお、Wi-FiルーターのSSID名は、Googleなどの位置情報サービスにて自動収集されていて、自宅Wi-FiのSSIDとMACアドレスがスマホなどを経由して登録される。これによって、自宅にいるときにスマホから自宅Wi-Fiルーターへ接続しようとすると、正確に感知されるようになるわけだが、SSID名とパスワードをGoogleのサービスに登録したくなければ、SSIDの末尾に「_nomap」と付ければいい。

 上記のことを知ると、初期SSIDのまま使い続けることは、SSIDが重複するだけでなく、使わなくなったWi-Fiルーターを譲渡する場合などにも問題となることが分かるだろう。RT-AC59Uの初期SSIDは「ASUS_08」という単純なネーミングなので、特にバッティングしやすい。必ず変更して使おう。

 なお、設定にある「SSIDを非表示」の項目はオフにしておくことをオススメする。これをオンにすると一覧からSSIDを選択できなくなり、接続時にはSSID名を正確に入力しないといけなくなるためだ。

 さらに、スマホのサーチで見えなくなるのでセキュリティを考えると一見良さそうだが、この設定は全く安全にはならない。SSIDが完全に秘匿されているようでいて、ツールを使えば簡単に見えてしまう上、一度接続すると今度はスマホ側が常に該当するステルスのSSIDを探すような電波を常時発信して、外出先で自宅のSSIDを周囲にばらまいているような状態になってしまうので、かえって危ない。

パスワードはWi-Fiルーターを守る最後の砦

 SSIDと同時に、暗号化キーと呼ばれることのあるパスワードに、キーフレーズとなる文字列を設定する。ここでは技術的な解説は避けるが、SSIDは見えているので、このパスワードこそが、Wi-Fiルーターを守る最後の砦になる。

 文字列は自由に設定してよいのだが、不便にならない範囲で8~63文字で文字列を設定する。暗号化モードは「WPA2-Personal」が最初から選択されているはずなので、そのまま設定すればいい。ただし、アルファベットの大文字と小文字は区別されるので気を付けよう。

 SSIDとパスワードの設定は、初回設定にも使う「ASUS Router」アプリで、初期SSIDに接続した状態で行う。画面はiPhoneのものだが、基本的にはAndroidでも変わらない。

ASUS Routerアプリの[ホーム]画面で、右下のWi-Fiアイコンを選ぶと、中央にSSIDが表示されるのでそこをタップする
[ネットワーク設定]が表示されるので、まず2.4GHz帯の[ネットワーク名]を入力する。iPhoneの場合スペルチェッカーの補完が入るので注意。まだ[SSIDを非表示]はオフのままだ
[暗号化モード]は[WPA2-Personal]のまま、[パスワード]に文字列を入力。iPhoneでは1文字目が大文字に補完されたりするので、適宜修正しながら入力しよう
5GHz帯も同じ要領で入力する。5GHz帯であることが分かるようなSSIDにするといい
2.4GHz帯と5GHz帯それぞれでSSIDとパスワードを設定したら、右上のチェックマークをタップ
いったんWi-Fiが途切れる。再接続は少し待ってから行おう
設定の[Wi-Fi]でSSIDの一覧を表示。先ほど設定したSSIDが表示されたら、5GHz帯の方を選ぶ
設定したパスワードを入力して[接続]をタップするとルーターに接続できる

 SSIDとパスワードの設定に関しては、連載『自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!』にある以下の記事でも詳しく解説している。具体的な手順以外の詳細について、理解をより深めたい場合には参考にして欲しい。

Amazonで購入

(協力:ASUS JAPAN株式会社)

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。