地図と位置情報

住所の“表記ゆれ”を正規化する自動変換サービス「クイック住所変換」提供開始~Geolonia

緯度・経度の座標を付与するジオコーディングも提供

クイック住所変換

 株式会社Geoloniaは8月16日、住所正規化および緯度・経度追加サービス「クイック住所変換」を提供開始した。

 クイック住所変換は、住所データを取り扱う際に課題とされている“表記ゆれ”を解決するウェブサービスだ。表記ゆれの住所を含むExcelファイルをアップロードすると、統一されたフォーマットの表記に正規化された住所をダウンロードできる。正規化済み住所には、緯度・経度の座標を付与する“ジオコーディング”の処理も行われる。

 料金(ジオコーディング込み、税別)は1000件まで5000円(スタンダード)、5000件まで1万円(ミドル)、1万5000件まで3万円(ラージ)。ジオコーディングなしの場合は半額の料金で正規化のみを行うことも可能だ。なお、1万5001件以上の場合はラージの料金に加えて従量追加料金として1件あたり1円(ジオコーディングなしの場合は0.5円、税別)かかる。

 同サービスのウェブサイトにて手持ちの住所データをアップロードすると、無料でデータの一部のみサンプルが生成され、正規化成功件数の集計とともにデータ件数に応じた見積もりが自動発行される。支払いはクレジットカード決済が可能で、会員登録などは不要で利用可能。購入手続きが行われない場合、アップロードファイルは24時間でサーバーから自動的に削除される。

 住所の正規化には全国の住所を網羅した「Geolonia住所データ」を利用しており、番地・号レベルまで正規化することが可能。対象とする元データは、デジタル庁が整備を進めるアドレスベースレジストリおよび法務省が公開する登記所備付地図データ、国土交通省の位置参照情報を使用している。今後も国によるデータの追加や更新に合わせて精度の向上や機能追加を続けていく予定だ。

異なる表記を統一

 主な正規化の内容は以下の通り。

  • 都道府県、市区町村、住所1(丁目レベル)、住所2(号レベル+建物名他)に分割
  • 市区町村名に含まれる「ケ」「の」「ツ」を住所マスターに登録された文字へと変換
  • 「河原町通四条上る」などの京都の通り名は削除
  • 北海道の「条」表記に対応
  • 都道府県や郡が抜けている場合は補完
  • 「大字」などの表示を削除
  • アルファベットと数字を半角に統一
  • 新字体と旧字体のゆらぎを吸収
  • 「ケが」「カかヵ」「之ノの」「ッツっつ」などのゆらぎを吸収
  • 「釜」と「竈」、「埠頭」と「ふ頭」などの漢字のゆらぎを吸収
  • 町丁目レベルに記載されている数字は国交省の位置参照情報に合わせて漢数字に変換
  • 番地や号レベルに記載されている数字はアラビア数字に変換し、番地などの文字列は「-」に変換

 Geoloniaのテストによると、約98%の精度で正規化することが可能だという。なお、正規化できなかった住所はマッチングレベルやエラーの内容を付与して戻される。

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INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。