趣味のインターネット地図ウォッチ
東京五輪前・昭和30年代の“新しい古地図”ネットで公開、現代の地図と見比べられる「タイムワープMAP 東京」
2018年11月8日 06:00
東京オリンピック前の昭和30年代の地図や江戸時代の地図を、新たにデジタルで描き起こす――。本連載では8月、「タイムワープMAP 東京」プロジェクト制作委員会の一員である株式会社地理情報開発にその詳細について聞いたが、同プロジェクトが制作したデジタル地図がこのたび、インターネットで誰でも閲覧できるようになった。インクリメントP株式会社が提供する「MapFanラボサイト」にて、「古地図 with MapFan」として公開された。
インクリメントPの法人向け地図APIサービス「MapFan API」の現代地図と、タイムワープMAP 東京の昭和30年代の地図および江戸時代の地図を、ウェブブラウザー上で1画面の上下に同時に表示することが可能。スマホブラウザーにも対応しており、江戸時代と昭和初期、現代の地図を比較しながら散策できる。
上部の現代地図をマウスドラッグやスワイプで動かすと、それに連動して下部の古地図も動く。一方、下部に表示される古地図は、地図の右下に表示される「江戸」「昭和」の丸印をクリック/タップすることで切り替えることが可能。現代地図と古地図の表示比率も、境界線をスライドさせることで簡単に調節できる。また、最下部の「LIST」には、東京タワーや国立競技場、東京都庁、日本武道館、六本木ヒルズなどのランドマークが登録されており、施設名を選ぶと地図の中央部分にその施設が表示される。
カバーエリアは、現在のところ東京都心のみで、皇居を中心に北は板橋本町駅周辺、南は鮫洲駅周辺、西は笹塚駅周辺、東は亀戸駅周辺までとなっている。ただし、江戸地図と昭和地図では一部カバー範囲が異なっており、例えば浅草周辺は江戸地図は見られるものの、昭和地図は表示されない。
昭和30年代の地図を見ると、社名や店名などが細かく記載されており、現代地図と比較することでさまざまな発見がある。東京五輪前の地図ということで、首都高速の高架がまだ建設されておらず、今はなくなってしまった都電の停留所があちこちに描かれているのも興味深い。
インクリメントPは今後、小中学校など教育機関での歴史や地理の学習に利用できる古地図アプリケーションの販売を検討しているほか、学習分野だけでなく、歴史探訪などの観光用途や介護レクリエーション分野など、さまざまな方面でのソリューション展開も進めていく方針だ。
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