地図と位置情報
新デスクトップ地図ソフト「MapFan Desktop」発売、社内でのコピペOK、高画質印刷もウリの法人向け製品
3月にサービス終了予定「MapFan.net」の後継
2020年2月27日 08:00
インクリメントP株式会社(iPC)は、Windows 10/8.1に対応したデスクトップ地図ソフト「MapFan Desktop」を発売した。法人向けで、価格は1ライセンスにつき年額3600円(税別)。10ライセンスから利用可能だ。
ビジネス用途を想定、ルート検索は経由地を10カ所まで指定可能
MapFan Desktopは、PCにクライアントソフトをインストールして使用するタイプの地図ソフト。交通費精算時に必要な距離測定・料金算出や、営業・配送のルート確認、地図の印刷など、ビジネスシーンでの利用に便利な機能を搭載している。
社内での配布・閲覧など業務利用を目的とした二次利用(印刷や複製など)が可能で、日報や報告書に地図を添付するといった使い方も可能だ。地図画面を簡単に切り出せるように、右上には表示中の状態をクリップボードにコピーするためのボタンも設けられている。
ルート検索は通常の検索方法に加えて、大型車の道路規制を考慮したルートや、複数地点(出発地と目的地に加えて最大10カ所の経由地を指定可能)を効率よく巡回できるルートの検索にも対応する。
地図デザインは5種類、「鉄道重視」「住所重視」なども
地図画面は標準デザインのほかに「モノクロ」、道路の号数表示などを目立たせる「道路重視」、鉄道の路線名や駅名を大きくするとともに駅の位置を赤くして分かりやすく表示する「鉄道重視」、市区町村名や境界などを目立たせる「住所重視」の計5種類から選択できる。
キャッシュしたエリアの地図は、オフラインでも閲覧可能
地図データは、インストール時にはローカルに保存せず、インターネット経由で取得するかたちとなるが、閲覧した地図データはローカルにキャッシュとして保存されるため、一度閲覧したエリアはオフラインでも閲覧できる。
なお、キャッシュを保存しない設定に切り替えることも可能で、キャッシュファイルを一括削除することもできる。地図データの更新は年12回、実施する。
ウェブ地図サービスにはない「高画質印刷」
iPC企画担当の宮田貴大氏(事業本部事業企画部製品サービス企画グループ)によると、MapFan Desktopは、2020年3月にサービス終了予定の地図ソフト「MapFan.net」の後継サービスという位置付けだ。MapFan.netのブックマークデータをMapFan Desktopへ移行するためのデータインポートツールも用意している。
MapFan.netを利用している法人ユーザーの中には、交通費精算における距離測定やオフライン環境での地図閲覧など、ウェブ地図サービス「MapFan」では代替できない使い方をしているユーザーがいるという。そのような業務用途で必要な機能を使いやすいかたちで提供するために開発したのがMapFan Desktopだ。
iPCとしては、PC用地図ソフトへのコンシューマーのニーズは減ってきていると感じているが、中小企業や自治体、学校関係者など、法人のユーザーからの要望は今も数多く、そのため今回はビジネス利用に特化した機能を搭載した法人向け限定というかたちでリリースしたという。
「Windows PCで地図を業務利用されている方の中で、『距離測定や面積測定が必要』『綺麗に印刷したい』『オフライン環境で地図が見たい』など、ウェブ版では機能が不十分な場合はMapFan Desktopでご満足いただけたらと考えております。特に印刷機能については、ベクトル地図の特性を生かした高画質印刷を実現しております。モノクロ印刷したときの見やすさに特化した『モノクロ地図デザイン』もご用意しており、実際に紙に印刷してウェブ版とMapFan Desktopを比較していただけると違いを実感いただけると思います。」(宮田氏)
“地図好き”なら読んでおきたい、片岡義明氏の地図・位置情報界隈オススメ記事
- 人々はなぜ「位置情報エンジニア」を目指すのだろうか――その仕事の魅力とキャリア形成を賭けた理由
- ゼンリン、都道府県の形をしたピンバッジ全47個セットを発売。フレーム入り
- 「一億総伊能化」を掲げる 青山学院大学・古橋大地教授の授業がレジリエントだった。
- 大学の「地理学科」ってどんなところ? “駒澤地理”の中の人に聞いてみた
- 高校の「地理総合」必修化で、地理教員の有志らがGoogleスライドで教材を共有
- 地理空間情報の最新トレンドを札幌で俯瞰してきた。「MIERUNE MEETUP 2024」レポート
- 「チーム安野」は都内1万4000カ所の都知事選ポスター掲示板をどう攻略していったのか?
- まるで現代の伊能忠敬――その極みにはAIもまだ辿り着けてない!? 地図データ整備の最前線を盛岡で見た
- 「れきちず」が3D表示に対応 地図データをベクトルタイル化。「江戸切絵図」から町家領域の抽出も
- 「れきちず」が話題、開発者の@chizutodesignさんが“地図とデザイン”の魅力を語る
- これはいつまでも眺めてしまいそう! 全国の流域を網羅した「YAMAP 流域地図」公開
- 神戸市さん、データ利活用しすぎ……無料で誰でも使える「統計ダッシュボード」拡充
- 「登記所備付地図」の電子データを法務省が無償公開→有志による「変換ツール」や「地番を調べられる地図サイト」など続々登場
- スマホ位置情報の精度が向上、“高さ”特定可能に。日本で10月より「垂直測位サービス」
- 電波強度がGPSの10万倍、GNSSの弱点を補う「MBS」とは?
- スマホの「北」は「真北」「磁北」どっち? 8月11日「山の日」を前に考えてみよう
- Googleマップも未踏の領域!? 海の地図アプリ「ニューペックスマート」が本気すぎる
- 海岸線3万2000kmを測量、日本の“浅海域”を航空レーザー測深で詳細な地形図に
INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。