イベントレポート

CEATEC JAPAN 2018

ローソンの“歩いて決済”店が金曜まで限定オープン、弁当やおにぎりを購入可。CEATECブース内の実験店

 「CEATEC JAPAN 2018」が16日、幕張メッセで開幕する。今回は、15日に報道関係者向けに事前公開されたエリアのうち、コンビニ大手「ローソン」のブースの見所を紹介する。新型POSレジの導入やインバウンド需要を見込んだQRコード決済の積極的な展開、行列なしでスムーズな買い物を可能にする「スマホペイ」、そして15日に正式サービス開始の「ローソン銀行」など、流通業界でも特に最新技術やサービスの導入に熱心な印象のある同社。CEATEC JAPAN 2018では「未来×ローソン」と題し、攻めにまわった「ちょっと未来の買い物体験」を先行体験できる点が特徴になっている。

実際に近未来の買い物が楽しめる「ローソン」のブース

最大の目玉はRFIDを使った「ウォークスルー型決済」が可能な実店舗、おにぎりなどを実際に購入可能

 今回のローソンブース最大の目玉は「ウォークスルー型チェックアウト」の仕組みを導入した近未来コンビニだ。ブース内に店舗が設営されており、実際に買い物して商品を外に持ち出すことができる。買い物体験だけを楽しむのであれば、入り口で手渡されるサンプル商品が入ったエコバッグと、貸し出し用のスマートフォンで事足りる。だが、もし実際に買い物をしてみたいと思ったのであれば、手持ちのスマートフォンに「CEATEC JAPAN 2018」デモ店舗用のアプリを導入し、カード情報を登録してみるといい。

ローソンブース内の「ウォークスルー型チェックアウト」の仕組みを導入した実店舗
実際にアプリをセットアップして買い物体験が可能
実際には買い物をせず、「ウォークスルー型チェックアウト」の流れを体験するだけなら、入り口で渡されるバッグとスマホを受け取ればいい

 アプリ導入からチェックアウトまでの手順は入り口で説明が行われているが、買い物が終わったあと、出口付近にあるQRコード読み取り機に、スマートフォン上に表示されるQRコードを“かざし”、そこから7秒以内に商品を入れたバッグをRFID読み取り用の専用レーンに通すことで決済が行われる。商品はすべてレーンの通過中にRFIDタグを通じて読み取られ、QRコードで認証されたアカウントに紐付けられたカード情報で自動的に支払いが行われる。

 すでに一部店舗でサービスが開始されている「スマホペイ」では商品のバーコードを自身のスマートフォンのカメラで読み取ることでチェックアウトを行っていたが、この作業をRFIDを使って自動化した点に、今回のウォークスルー型チェックアウトの特徴がある。どちらも行列なしでスムーズな買い物体験を実現するための仕組みというわけだ。

 さて、このウォークスルー型決済だが、以前に九州を中心としたスーパーマーケットチェーン「トライアル」がパナソニックと共同で開発し、同社本社内で実証実験を行っていたものをローソン向けにアレンジした内容となっている。仕組み的にはほぼ同様だが、実証実験を受けての対応か、商品へのRFIDタグの貼り方が若干変化している。

 以前にトライアルに取材した際には「水の入ったボトルや金属で覆われた商品は電波が吸収されてタグの読み取りが困難なので、本体ラベル横にタグを半分だけ貼り付けて残りは本体から離す」「RFIDタグは電子レンジで加熱できないため、弁当やおにぎりといった商品では着脱型の専用タグを用いる」といった工夫で課題に対処していたが、より低コストで簡単に扱える方法を選んだようだ。コンビニ各社は2025年のRFID実店舗導入に向けて取り組みを進めているが、CEATEC JAPAN 2018でのローソンブースは2018年後半時点での最新状況を知るのに適した実験店舗といえるだろう。

実際の店舗の様子。お弁当やドリンク、消費財などが購入できる。ただし「1人最大3点まで」という制限あり
商品にはすべてRFIDタグが貼付されているほか、価格タグには電子ペーパーが用いられている
商品は普通にローソンで売られているものがそのまま並べられている
おにぎりの場合、底面にRFIDタグが貼付されている。タグは簡単に剥がせるようになっており、チェックアウト後に出口で回収される
包装に金属を含む袋菓子の場合は、タグが半分ほど上面に張り出すかたちで貼付される
光に透かすと、タグの中身を見ることができる
水入りペットボトルの場合、キャップ部分に貼られている
RFIDタグの商品ごとの貼付例。水を含んだ商品の場合、なるべくアンテナ部分を本体から離す工夫が行われている
弁当の場合は電子レンジでの加熱ができなくなるため、RFIDタグは切り離しタイプ、あるいは着脱が簡単なものを用いる
少量多品種のRFIDタグ貼り付けを自動化するロボット。商品のバーコード面を上にしてコンベアに流すと、カメラがJANコードを自動的に認識し、その情報を書き込んだRFIDタグを適切な場所に貼り付ける。ペットボトルのように本体が曲面だったり、貼付位置が特殊なものにも、オプション機能を付けることで対応できるという

未来のローソン店舗には、VTuberや3Dホログラフによる「からあげクン」販売システムも!?

 このほかローソンでは、さまざまな技術を組み合わせた近未来店舗を提案している。スマート商品棚では、手に取った商品のカロリー情報を表示してくれるほか、棚に据え付けられたカメラで顧客の情報を読み取り、他の商品をお勧めしてくる。

カメラ(上段の黒い箱)と重量センサーを組み合わせたスマート商品棚。棚の前に立った人物の状態や属性を認識しつつ、手にした商品を判別できる
カメラと棚のセンサーで認識した情報に基づき、手にした商品の情報を表示しつつ、お勧め情報を提案してくる

 バーチャルYouTuberと同様の技術を用いた仮想キャラクター「星影みくる」による商品案内サービス、餃子製造ロボット、3Dホログラフと音声を組み合わせた「からあげクン」の販売システム、遠隔ビデオ会議と血液診断、サプリメント提供マシンを組み合わせた遠隔医療システムなど、さまざまなサービスが用意されている。これらは動画でダイジェストを紹介しておくので、ぜひ現地で実際に体験してみてほしい。

VTuberライクな仮想キャラクター「星影みくる」による商品案内サービスのデモ
餃子の自動製造ロボット。新鮮な総菜をいつでも店舗で提供
3Dホログラフを組み合わせた「からあげクン」の販売システム。音声に反応する
リモート会議システムを用いた医師による診断サービス。認可しだいだとローソンでは説明するが、実際に血液検査を行ったり、必要なサプリを目の前で提供したりと、小売店舗を使った新しいサービス提案が行われている
調合された個々人に最適なサプリを提供するマシン

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