イベントレポート

CEATEC JAPAN 2018

SMBCグループが目指す、キャッシュレス/カードレス社会に向けた新しい取り組み

 「CEATEC JAPAN 2018」における三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)のブースでは、グループ関連各社の最新サービスや技術を持ち寄った展示が行われている。注目ポイントとしては、生体情報を使った認証や決済サービスのほか、チャットボットなど自動応答技術を組み合わせた迅速で正確な応対、ライドシェア時代をにらんだ新しいサービスへの取り組み、そしてインバウンド対応や決済における新しいユーザー体験の提案だ。

「SMBCグループ」のブース

 生体認証を使った決済サービスでは、「Polarify」と「NCore」の2つのサービスが展示されている。類似したサービスではあるものの、Polarifyは米Daonの生体認証技術とNTTデータの認証基盤を採用しており、一方のNCoreはNECとの合弁会社という経緯からNECの画像認証技術をバックグラウンドにしている。

 Polarifyはアプリやウェブブラウザー向けのコンシューマーサービスを想定しており、これにNTTデータの認証基盤を組み合わせることで、スマートフォンからの銀行サービスへの登録やアクセス機能のほか、リアル店舗などでの“手ぶら”決済を可能にするという。また、NCoreはB2B2C的な認証基盤技術のパートナー企業への展開を目指しており、今後、パスワード入力に代わる顔認証を使った新しいサービスの登場に期待できる。

SMBCグループが2017年7月にNTTデータや米Daonとともに発表した「Polarify」。スマートフォンやウェブブラウザーを組み合わせた生体認証サービスを提供する
指、顔、声の3つの要素を利用して認証を行う。アプリ版では生体情報はスマートフォン内で処理されるが、リアル店舗等での認証ではサーバー側に保存する
三井住友銀行とNECの合弁会社である「NCore」。金融機関などに顔認証サービスを提供するB2B2C形式のプラットフォームを用意する

 内容的にB2B的なサービスが多く、コンシューマーが直に触れるものは少ないため、ややなじみが薄い印象を受けるかもしれない。だが、今後2、3年のうちには、これら技術を取り込んだサービスが各社から登場するとみられ、そのときに「あぁ、これはCEATECで展示されていたものだ」と改めて感想を抱くことになるだろう。

ライドシェア向けのサービス。同社がラストワンマイルと呼ぶ、地域コミュニティの家までの最後の移動ポイントをライドシェアで補完する方法を模索する
一般的なバス停がライドシェアの乗り合い所になることを想定しており、自分が乗りたい目的地(例えば自宅など)までのシェアバンの移動状況がバス停のモニターで把握できる。移動中のバンからの映像はISDN回線(32kbps)で送信され、帯域を食わない工夫がなされているが、独自の映像補完技術により、通信状況が悪くてもある程度綺麗な映像を保持できるという
SMBCグループ内で利用されているチャットボットサービスをライセンス形式で外部提供。数多あるチャットボットサービスの中での同サービスの特徴は、金融機関ということで問いに対して正確な答えを導き出す仕組みにあるという]()
このチャットボットサービスは参考展示として「CEATEC JAPAN 2018」の会場内に複数配置されている。これはプレスルームに設置された端末
SMBCグループの中でも最先端の取り組みを展示したコーナー。ブロックチェーンはまだ研究開発段階で、MUFGブース内に展示された「MUFGコイン」のような具体的なサービスはないものの、さまざまな用途を想定した取り組みが内部で進んでいるという
SMBCグループでは最新の取り組みとして、キャッシュレス対応に向けた数多くのスマートフォン向けアプリを提供している。ただ、正直いうと、日本の銀行アプリは目的別に細分化されすぎており、ユーザーインターフェース面から考えて、もう少しシンプル化してほしいところだ

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