イベントレポート
CEATEC JAPAN 2018
「CEATEC JAPAN 2018」いよいよ開幕、世耕経産相・石田総務相らも出席してオープニングレセプション
2018年10月15日 22:42
「CEATEC JAPAN 2018」のオープニングレセプションが15日、東京・大手町のパレスホテル東京で開催された。会場には約800人の関係者が参加。経済産業省の世耕弘成大臣、総務省の石田真敏大臣ら政府関係者をはじめ、一般社団法人電子情報技術産業協会の柵山正樹会長(三菱電機会長)、経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)ら業界関係者が参加。CEATEC JAPAN 2018の成功に向けて、業界全体が一丸となって取り組む姿勢を見せるとともに、参加者同士が懇親した。
また、会場では「CEATEC AWARD 2018」の経済産業大臣賞および総務大臣賞が発表され、受賞企業に対して両大臣が直接賞状と盾を手渡した。
「つながる力を実感してほしい」CEATEC JAPAN実施協議会・柵山会長
CEATEC JAPAN実施協議会の会長も務める柵山氏は、「IoT、ビッグデータ、AIといった技術が急速に進歩し、デジタル化が世界中で加速。ビジネスモデルが大きく変化している。IT/エレクトロニクス業界は、日本が目指す超スマート社会であるSociety 5.0の実現に向けて、さまざまな産業と連携し、社会課題の解決につながるモノとサービスが一体化したソリューションを提供できるよう、新たなビジネスモデル構築に向けて、改革を進めている。CEATEC JAPANは、昨年に引き続き、日本の成長戦略と未来を世界に向けて発信するSociety 5.0の展示会と位置付け、『つながる社会、共創する未来』をテーマに開催する。産業界の共創という意味では、昨年の金融、観光、スマートライフなどの業種から出展をしてもらったが、今年は、さらに物流・流通、スマートシティ、農業といった分野からも出展していただき、共創の輪が広がってきている。国際的な共創としては、新たにCo-Creation Parkを設置し、フランスが初めてパビリオンを設置。米国、英国、インドなどもバピリオンを出す。また、IoT推進ラボが招聘するスタートアップ企業が集結し、さらに共創の輪を広げようとしている。CEATEC JAPANを、内外のプレーヤーがつながる場とし、政策、産業、技術、海外といった観点からも、つながる力を実感してほしい」と述べた。
「産官学が目標を共有しながら、Society 5.0の実現を」石田真敏総務大臣
総務省の石田大臣は、「日本の成長戦略や未来を、世界に向けて発信する総合展示会であるCEATEC JAPANが今年も盛大に開催される。ドローン宅配、AI家電、遠隔医療、介護ロボット、清掃ロボット、自動走行などが紹介されると聞いている。私も実際に展示会を訪れる予定であり、Society 5.0を体験できることを楽しみにしている。Society 5.0は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に次ぐ、第5の社会を実現するものであり、大きなパラダイムシフトが起こることになる。AI、IoT、ビッグデータといった社会のあり方に影響を及ぼす新たな技術が普及しつつある。日本は課題先進国として、これらの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、Society 5.0の実現を目指す必要がある。政府としても、Society 5.0を本格的に実現するため、各種施策の着実な実行を図っていくことを目指す。また、Society 5.0を実現するには、5Gの展開も重要になる。人口減少や高齢化など、多くの課題が顕在化しつつある地方では、地域のニーズと5Gが結び付くことで、新たなサービスやソリューションが生まれ、地域課題の解決に貢献することが期待されている。総務省では、Society 5.0を支えるインフラとして、2020年に向けて、5Gの円滑な導入に取り組んでいく。政府が戦略を掲げても、産業界との緊密な連携がなければ、Society 5.0の実現は成し得ない。産官学が目標を共有しながら、Society 5.0の実現を目指したい」と述べた。
「私も明日、幕張メッセの会場を訪問する」世耕弘成経済産業大臣
経済産業省の世耕大臣は、「いまから60年前に、CEATEC JAPANの原点となるテレビ・ラジオ・パーツショーが家電見本市として誕生し、その4年後にはエレクトロニクスショーとなり、外国製品の受け入れをはじめとした国際ショーへと発展。日本の技術による経済発展を世界にPRしてきた。だが、2000年代に入るころから、AppleやSAMSUNGといった海外エレクトロニクスメーカーの台頭により、ショーケースとしてのCEATEC JAPANの位置付けが低下した。いまでは、米CESが海外から6万人の来場者を受け入れるのに対して、CEATEC JAPANではわずか2000人のレベルにとどまっている。しかし、ビッグデータやAI、IoTといった新たな技術革新が、こうした状況に変化の胎動をもたらすのではないかと考えている。CEATEC JAPANに大きなチャンスが訪れている。モノづくり産業やサービス産業など、日本の産業界全体の可能性を世界に発信すべく、一昨年から『つながる社会、共創する未来』を打ち出してきた。これは業界の垣根を超えて、AIやIoTを活用してビジネスを生み出すチャレンジであると思っている。日本の製品が誇る品質の良さや使いやすさと、データが融合することで、新たな価値を提供し始めている。三菱電機やファナックが提供する製造現場向けのプラットフォームでは、数百の工業機械や工作機械をつないで稼働状況をコントロールできるようにし、製造業の生産性を飛躍的に高めることに成功している。このつながりが生み出す新たな価値が、日本の産業界の活力となるように、経済産業省は昨年、コネクテッドインダストリーズのコンセプトを打ち出した。この1年のさまざまな取り組みによって、日本でも画期的なビジネスが次々と起こるエコシステムが構築されつつある。今年は海外企業を一堂に集めたCo-Creation Parkが新設された。グローバル展開を加速する取り組みとして期待している。来年、日本が議長国を務めるG20でも、世界に誇れる多くのサービスや価値を発信できるように、日本全体で取り組みを加速していきたい。CEATEC JAPANの場を生かして、新たなつながりが生まれることを期待している」とし、「私も明日、幕張メッセの会場を訪問する。最先端のイノベーションに触れて、政策を磨き上げる機会にしたい。経済産業大臣が展示会に現場に行くのは初めてのことである。それだけの決意を感じてほしい」と述べて会場を沸かせた。
「最優先事項としてSociety 5.0を推進する」経団連の中西宏明会長
乾杯の音頭を取った日立製作所の中西会長は、「新たな日本をリードするSociety 5.0というコンセプトを決定する際に、デジタルの力を活用するターゲットを、より深いところに置こうと考えた。日本は課題先進国であるが、いまや、その課題をひとつひとつ解決するという時代ではない。エネルギーの問題や人口減少の問題、医療費高騰の問題など、さまざまなことが同時並行的に起こっている。こうした課題を、デジタルの力を使って見えるようにし、新たな社会のソリューションを作っていくのがSociety 5.0である。CEATEC JAPANの展示も、そうした観点で見てほしい。将来、こういう社会になった方がいいという兆しが展示の至るところに出ていることを、ぜひ確認してほしい。経団連をはじめとする経済界全体が、全力をあげて、最優先事項としてSociety 5.0を推進することに力を注ぎ、これを政府と一体となり、実現をしていきたい」と語った。
「CEATEC AWARD 2018」総務大臣賞に京セラ「Amcenna」、経済産業大臣賞にエアロネクスト「Next VR」
「CEATEC AWARD 2018」総務大臣賞および経済産業大臣賞、部門賞が決定し、オープニングレセプションの会場で発表された。
総務大臣賞は、京セラの金属上でもアンテナ特性が低下しない2.4GHz帯の小型・薄型の新アンテナ「Amcenna」、経済産業大臣賞は、エアロネクストの4D Gravity搭載 360°VR撮影用ドローン「Next VR」がそれぞれ受賞した。
京セラのAmcennaでは、通常、金属や水の上では放射特性が低下するためアンテナ設置場所に制限があったが、京セラの独自技術によって、設置場所を選ばない小型・薄型アンテナの開発に成功。従来アンテナとの比較で、面積60分の1以下、厚さ2分の1を実現したという。
審査委員会では、「従来は難しかった機械設備、自動車ボディ等の金属部分やウエアラブル機器への小型アンテナ設置が可能となるため、IoT分野における通信デバイスのキーテクノロジーとして期待される」としている。
エアロネクストのNext VRは、同製品に搭載されている4D Gravityにより、ドローンの搭載部が飛行部と相互に影響を受けないことにより、燃費と機動力の双方が向上。部品のストレスが減少して機体としての信頼性も向上し、さらに耐風性能も向上することから、墜落リスクの軽減も期待できるという。4D Gravityを搭載したドローンは、従来機を大きく上回る性能を持つことになり、特に産業用途では世界規模で採用される可能性が十分にあるという。
「搭載部と飛行部を接続する貫通ジンバル構造による独自の制御技術である4D Gravityにより、飛行部の傾きなどの動作や姿勢が搭載部に影響しない独立した制御を実現。搭載部は常に水平を保つため、物の搭載・移動における信頼性・安全性が向上し、現行では限界のある産業利用の用途拡大や新市場開拓が期待される」とした。
いずれも製品もCEATEC JAPAN 2018の会場に展示される。
オープニングレセプションの会場では、総務省の石田大臣と、経済産業省の世耕大臣から、京セラの谷本秀夫社長とエアロネクストの田路圭輔社長に、それぞれ表彰状と盾が送られた。
なお、部門賞は以下の通り。
- トータルソリューション部門グランプリ:シャープ「液晶テレビ AQUOS 8K AX1シリーズ(8T-C80/70/60AX1)」
- トータルソリューション部門準グランプリ:NEC「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関係者の厳格かつスムーズな入場を実現する」
- デバイス/テクノロジ部門グランプリ:Kyulux「Hyperfluorescence世界初の商品化に向けて」
- デバイス/テクノロジ部門準グランプリ:メルティンMMI「最先端遠隔操作ロボット(アバター)による労働問題の解決」
- インダストリ/マーケット部門グランプリ:村田製作所「関係性データのセンシングプラットフォーム“NAONA”」
- インダストリ/マーケット部門準グランプリ:Preferred Networks「家庭用全自動お片付けロボット」
「CEATEC JAPAN 2018」イベントレポート記事一覧
- 「CEATEC JAPAN 2018」いよいよ開幕
- 「Society 5.0」の最新動向が分かる解説冊子を無償配布
- “ガジェット好き議員”視点の「CEATEC」見どころガイド
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