イベントレポート
CEATEC JAPAN 2018
「水没PC」に「森林用の3Dマップ作製ツール」、「AIガードマン」「顔認識」……世界に羽ばたく中小企業
2018年10月18日 06:05
10月16日~19日に幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2018」では、中小企業の販路開拓や拡大を目的とした「東京ビジネスフロンティア」のコーナーが設置されている。公募で選ばれた20社が出展料支援や各種サポートを受けるかたちでブースを構えており、海外からの来場者も多いCEATEC JAPANでそのビジネスチャンスをうかがっている。
同支援プログラムを提供する公益財団法人東京都中小企業振興公社の藤本仁和氏(事業戦略部事務局次長/中小企業世界発信プロジェクト事務局)によれば、中小企業を下支えすることを目的としており、東京を基点に世界に向けて日本の技術やサービスを発信することを支援する。東京ビッグサイトで11月に開催される「産業交流展2018」や、2019年2月に開催される「東京インターナショナルギフト・ショー」でも同様の中小企業出展支援を行っているとのことで、特に今回のCEATEC JAPANでは「IoTを活用してあらゆる業種・産業による『共創』でビジネス創出を行う」という展示テーマに沿った企業が選ばれている。今回は、このうちのいくつかをダイジェストで紹介する。
水中でPCが動作、ステンレス筐体で過酷な環境のPC動作を保護する「エムテクションPC」
株式会社エム・コーポレーションの防塵・防水対応PCでは、屋外や工場などの劣悪な環境での利用を想定している。また、ステンレス筐体で覆った「ロストフリット」というPCでは耐腐食性が強化されており、塩分などのより過酷な条件に晒される環境においても連続稼働を可能とする。
こうした産業用PCは大手メーカーからもリリースされているが、エム・コーポレーションによれば、会社そのものはブランド力がないものの、大手よりも柔軟にカスタマイズ要求に対応し、より求めやすい価格での提供が可能だという。一般に、放熱の問題から大手製産業向けPCではミドルレンジ程度のスペックが充てられていることが多いが、同社の「エムテクションPC」では、よりハイエンドのコンフィグレーションも選択可能だという。
UWBを使って数十センチ誤差の屋内位置測定を可能とする「MovaLocation」
GPSを使わない屋内での位置測定技術は数多あるが、条件しだいで位置のずれがメートル単位で発生したりと誤差が大きかったり、あるいは正確な位置情報を得るための反復学習に時間がかかるなど、決め手となる仕組みが少ないのが実情。前者の理由は、条件変化の影響を受けやすいBluetoothやWi-Fiを主たる位置情報に利用していることによるものだ。
ムーバクラウド株式会社の「MovaLocation」ではこれらの仕組みに加え、UWB(Ultra Wide Band)を組み合わせることで、より精度の高い屋内位置測定を実現しているという。実際に一辺20メートル程度の「東京ビジネスフロンティア」コーナーには四隅にMovaLocationのアンテナが設置され、専用充電式モジュールの位置を正確に追跡できるデモストレーションが紹介されている。主に工場などでの利用を想定しており、学習などの負荷のかかる作業なくシンプルな設置が可能とのことで、精度と導入の容易さを同社ではアピールしている。
森林の3Dマップを自動作成する専用ツール「Digital Forest」
林業向けのソリューション開発という、非常に特定分野にフォーカスした製品をリリースしているのは株式会社woodinfoだ。
森林の場合、一般的な土地建物とは地価の算定基準が異なり、そこに生えている木の高さや太さなど、森林資源を含んださまざまな条件が加味されて価値が決まる。そのため、資産をより正確に測定するためのツールが重要となるが、バックパック型レーザースキャナー「3D Walker」と「Digital Forest」というソフトウェアを組み合わせることで、1ヘクタールあたり10~20分程度、計画に沿って森林を移動することで木の太さや高さ等を含んだ3Dマップを生成し、より正確なデータを取得する。
万引き防止に効果を発揮する「AIガードマン」
機械学習の仕組みを応用し、従来まで単なるセンサーでしかなかったものをよりインテリジェントで「AI」の名称を冠した製品としてリリースするのが昨今のトレンドだ。
アースアイズ株式会社の「AIガードマン」もその1つで、あえて「万引き」という小売店にとって大きな機会損失となる問題に特化することで、より簡易に最新のAI機能を提供する。同社の従来製品では複雑な動きの検出も可能だった一方で、3Dカメラの搭載やより細かい動きを追跡するための細かいチューニングが必要など、導入へのハードルが若干高かったという。
AIガードマンでは、導入時点で基本的な「万引き」対応のためのプリセット情報が入っており、以後は同製品のカメラを通じてクラウドに蓄積されたデータを基に学習が行われ、定期的に最新の監視用学習データをまとめたアップデートが配信されるようになっている。一般的なコンビニ程度の広さの店舗ならば、5台程度のAIガードマンがあれば全体監視が可能とのこと。
顔認識で顧客の属性情報や購買行動をチェックする「BeeSight」
セキュリティ分野で製品開発が盛んな画像認識技術だが、小売業界の世界では同時に、顧客動向分析への応用が進んでいる。エイコム株式会社の顔認識システム「BeeSight」では、カメラに写った映像から顔の要素を抜き出し、年齢、性別、顔の表情から来る現在の感情などを自動判別する。
このデータは必ずしも正確性を期したものではないが、通常であればアンケートであったり、店員の観察眼で逐一チェックしなければいけないものが、BeeSightを通して来店者全ての年齢傾向を自動的に分析することができる。スタッフなどの登録済みの人間は自動判別できるほか、視線移動も取得できるので、実際に来店してどのように商品や展示を眺めているかの分析も行える。
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