イベントレポート

CEATEC JAPAN 2018

ミニバンに入る「移動式ATM」が展示、ブース内なのに現金も実際に引き出しOK、「音楽フェスなどのイベント会場に」

銀行サービスをちょっと便利にするJapan Digital Design

MUFGブースの一角を占める「Japan Digital Design」の展示コーナー

 「CEATEC JAPAN 2018」の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のブースでは、ブロックチェーン技術を使ったデジタル通貨「MUFGコイン」のデモのほか、子会社のJapan Digital Design株式会社(JDD)が「社会をちょっと便利に」をキャッチフレーズに提案するサービスの展示も行われている。

 このJDDが提案するサービス群には「mini」のブランド名が付与されているが、今回展示されていたのは「ATM mini」「CARD mini」「BANK mini」だ。

 ATM miniはいわゆる「移動式ATM」で、ワゴン車にATMを搭載してイベントなどの会場で臨時ATMとして機能する。基本的に現金の引き出しに特化した「Fast Cash」の仕組みであり、バッテリーのみで最大8時間連続稼働が可能だという。特に音楽フェスなど、人が会場内を頻繁に行き来するイベントで利用が多いということで、今後もニーズに合わせてサービスを提案していくと同社では述べている。

移動式ATMの「ATM mini」。昨今の災害対応に最適では?と質問したら「イベント等での利用を主に想定しています」と返事が返ってきた。なお、この機材は実際に稼働するそうで、会場で現金の引き出しもできるそう。
外見は普通のATM。右の操作部、左にキャッシュ引き出し用の機構を備える。表示にあるように、鹿児島銀行のATMとして動作しており、同行の利用者なら手数料無料で現金を引き出せる(他行の場合は、一般的な手数料がかかる)
ATMの名称を冠しているが、基本的に現金引き出しに特化している。「Fast Cash」と呼ばれる金額をあらかじめ指定したボタンのほか、金額のカスタマイズも可能
イベントでの利用例。さまざまなイベントでの運用を行ったが、人があまり動かない花火大会のようなイベントではあまり利用がなかったようだ
一方で音楽フェスなどの祭典では頻繁に人が往復しており、「ATM mini」が使われる機会も非常に多かったという
鹿児島銀行の方に実演していただいた
実際にお金が引き出せる。

 CARD miniやBANK miniは、従来のATMカードの代わりにスマートフォンを用いたり、あるいはATM機能の一部をスマートフォンに肩代わりさせたりと、少しだけ銀行サービス利用のハードルを下げるものとなる。

 ATMカードを専用端末にセットし、スマートフォンにNFCで情報を読み込ませると、サービス利用のための「ATM mini」アプリがダウンロードできる。これを起動すると暗証番号の入力を求められ、以後の認証はこの4桁数字の暗証番号を用いて行われる。事前に現金引き出しの指示をしておけば、いざ自分の番が来たときにスマホアプリ上で暗証番号を入力するだけで引き出しが行えたりと、ATMカードがない状態でも利用できるほか、通常より少ないステップでの処理が可能。BANK miniでは、請求書の処理を、OCRを通じて出金処理までを自動化したりと、やはり少しだけ便利な仕組みを利用可能になっている。

「CARD mini」と「ATM mini」の名称を冠したサービス。「ATM mini」と呼ばれるアプリをスマートフォンにダウンロードさせることで、キャッシュカードの機能をスマホアプリへと移し、カードが不要になるだけでなく、現金引き出し時のATMの入力処理の一部をスキップできる
スマートフォンを非接触読み取り装置にかざすことでアプリのダウンロードが行える。起動すると暗証番号の入力が求められ、以後はこれで本人認証の代わりとする
「ATM mini」アプリを起動した状態。ATM機能の一部がアプリ上で利用できる

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