趣味のインターネット地図ウォッチ
平成最後の1年間を、地図・位置情報の10大ニュースで振り返る
2019年4月25日 06:00
地図・位置情報に関する展示会「ジオ展2019」が4月19日、都内で開催された。地理空間情報に関わる“ジオ企業”32組織が出展した今回は、一般来場者が約450名、出展関係者が約150名の計約600名が参加した。展示会場と別のスペースでは出展企業によるプレゼンテーションも行われ、地理空間情報関連の業界に関心のある学生をはじめ、多くの来場者を集めた。このプレゼンテーションの中から、ジオ展2019実行委員会の小山文彦氏による「勝手に選ぶ2018-2019 ジオ界隈10大ニュース」をレポートする。
ジオ界隈10大ニュースは、昨年のジオ展から今回までの1年の間に起きたジオ関連のニュースの中から、重要なニュースをピックアップして紹介するもの。ジオ展に出展した企業からの情報提供を参考にランキングが決められた。
ランキングを下から順に見ていくと、第10位は、2019年4月に厚生労働省が公表資料の中で「島根」と「鳥取」の数値を取り違えたことを謝罪した事件。第9位は、自己破産した人の氏名や住所をGoogle マップ上にプロットした「破産者マップ」が2019年3月に閉鎖したこと。第8位は、2019年9月にAppleの「CarPlay」が他社地図アプリに対応したことを挙げた。
第7位は、「タクシー配車・ライドシェアの競争激化」がランクイン。DiDiの大阪・東京への進出や、Uberによる大阪でのタクシー配車の開始などさまざまなサービスがスタートしたことや、Lyftが上場したことなどを事例として挙げた。
第6位には、「2018年、国内のジオ系企業で資金調達が花盛り」がランクインした。農業用ドローンのナイルワークスや地図アプリ「YAMAP」、ドライブシェアアプリ「CREW」を運営するAzit、駐車場シェアのakippa、車両管理サービス「Cariot」を提供するフレクト、人工知能による位置情報分析サービスを提供するレイ・フロンティアなどさまざまな事例を挙げた。
第5位には、Google マップの生みの親であるジョン・ハンケ氏の友人のビル・キルディ氏が、これまでのGoogle マップの軌跡を描いた「NEVE LOST AGAIN」の原著が2018年5月に発売され、同年11月には日本語訳も発売となったことがランクインした。小山氏は同著について「スタートアップがどんな風に成長し、奇跡が起きるかということが分かるので、これを読むと、スタートアップの方にも力を与えてくれるストーリーだと思います」と感想を語った。
第4位には、準天頂衛星「みちびき」が2018年11月1日に正式サービスを開始したことがランクイン。センチメーター級測位が可能な受信機も発売されていることを紹介した。
第3位には、地図をダッシュボード型に整理する新しい取り組み「カラム地図」のプロジェクトが、ジオ業界の有志によってスタートしたことがランクイン。例えば、日本の全都道府県を6×8のマスに収める場合、北海道が右上、東京が右下、沖縄が左下という配置になる。これによって、統計情報などを表示する際に、非常にコンパクトにデータを整理しやすく、UIもシンプルなものにすることができる。日本地図だけでなく、世界地図を国別に整理したり、県内の地図を市町村別にまとめたりと、さまざまな使い方ができる。
第2位には、公共交通データのデファクトスタンダードになっているフォーマット「GTFS」をベースに作られた「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」に従って作られたオープンデータが増えていることがランクインした。
第1位は、今年3月のGoogle マップの改変がランクイン。著作権表示から「ZENRIN」の文字が消えたほか、災害などで長期不通となっている路線が削除されたり、バス停や林道、細い道などが表示されなくなったり、地形の影の部分が湖として表示されたりといったトラブルも紹介された。また、小山氏はこのほかにも、2018年6月にGoogle Maps APIの仕様が変更となった件や、2018年8月にはGoogle マップが地球儀のように回すことができる仕様にリニューアルした件なども紹介した。
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INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。