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Yahoo! JAPANの地図サービスが25周年、その歴史を振り返る~歴代サービスマネージャーに聞く“地図開発”の魅力

(左から)ヤフー株式会社の二宮一浩氏、高橋僚介氏、水谷真樹氏、山下孝之介氏、山本拓巳氏

 ヤフー株式会社(Yahoo! JAPAN)が提供するスマホ向け地図アプリ「Yahoo! MAP」およびウェブ地図「Yahoo!地図」は6月28日、ユーザーの利便性と分かりやすさを考慮して名称が「Yahoo!マップ」に統一された。ヤフーが提供する地図サービスはこれまでGoogleマップにはない独自の機能を持ち、数ある日本の地図サービスの中でも大きな存在感を放っていたが、25周年となる今年、スマホアプリとウェブで名称が統一され、新たなスタートを切ったかたちとなる。

 今回、これまでヤフーの地図サービスを手掛けてきた歴代サービスマネージャーおよび現在のサービスマネージャーの5人に集まっていただき、これまでの取り組みを振り返るとともに、思い入れのある機能や今後の展望などについて話を聞いた。

  • 水谷真樹氏:「Yahoo!マップ」サービスマネージャー(2020年4月~現在)
  • 山本拓巳氏:「Yahoo!乗換案内」「Yahoo!路線情報」「Yahoo!マップ」サービスマネージャー(2022年4月~現在)
  • 山下孝之介氏:「Yahoo!マップ」サービスマネージャー(2022年4月~現在)
  • 二宮一浩氏:CTO室 新規技術獲得部(2012年4月~2016年3月に「Yahoo!地図」サービスマネージャーに就任)
  • 高橋僚介氏:「エントリーポイント」 サービスマネージャー(2016年4月~2019年3月に「Yahoo! MAP」サービスマネージャーに就任)

1998年に「Yahoo!地図情報」提供開始~25年の進化を振り返る

 まずはヤフーが提供する地図サービスの歴史を振り返ってみよう。1996年4月にスタートしたポータルサイト「Yahoo! JAPAN」にて地図サービス「Yahoo!地図情報」が始まったのは1998年のこと。当初は株式会社マピオン(現在は株式会社ONE COMPATH)の地図表示システムを使ってサービスを提供していたが、2004年に地図会社の株式会社アルプス社の事業をヤフーが継承し、自社で地図サービスを手掛けるようになった。

2005年12月時点の「Yahoo!地図」(「INTERNET Watch」2005年12月15日付記事『「Yahoo!地図情報」のデータベースが毎週更新、利用者の投稿情報も公開』より)

 ヤフーはその後、ウェブ地図サービスだけでなく従来型携帯電話やスマートフォン向けの地図アプリなどもリリースし、さらに2013年には、それまでラスター(画像形式)で提供していた地図を、点と線のデータで構成されるベクトル形式に切り替えるなど機能強化を図った。2017年には、ユーザーが目的地を決めるのに役立つ機能・情報を提供する地図アプリとして刷新し、名称を「Yahoo!地図」から「Yahoo! MAP」に変更した。

 そして2019年には地図表示システムをマップボックス・ジャパン合同会社(Mapbox)製に切り替えて、テーマごとにさまざまな地図表示スタイルに切り替える「テーママップ」を搭載したり、「Yahoo!カーナビ」や「Yahoo!乗換案内」の一部機能を「Yahoo! MAP」上から使えるようにしたりするなどの機能強化を図った。最近では今年3月に、複数のタブを切り替えながら地図を見られる「タブ機能」を提供開始するなど新機能を次々にリリースしている。

1996年4月ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」スタート
1998年「Yahoo!地図情報」スタート、マピオン経由でサービスを提供
2004年12月アルプス社の事業を継承し、ヤフー独自のコンテンツとエンジンの開発を開始
2005年10月モバイル(携帯電話)版「Yahoo!地図情報」を提供開始
2008年9月iOS版「Yahoo!地図」アプリを提供開始
2010年12月Android版「Yahoo!地図」アプリを提供開始
2013年Android版「Yahoo!地図」が8月にベクトル化、12月にはiOS版もベクトル化
2017年4月ガイドブック要素を採り入れてアプリを刷新、名称を「Yahoo! MAP」に変更
2019年地図表示システムをMapbox社製に変更
2021年4月「テーママップ」第1弾として「新型コロナワクチンマップ」を提供開始
2021年9月「Yahoo!カーナビ」と「Yahoo!乗換案内」の一部機能を「Yahoo! MAP」に導入
2023年3月「タブ機能」を提供開始

最初の転機は「アルプス社」の事業継承

 こうして時系列で見ると、ヤフーの地図サービスが時代に合わせて、ユーザーのニーズに応えながら進化を遂げてきたのかが分かる。中でも最初の転機となったのは、2004年にアルプス社の事業を継承したときだ。当時について二宮一浩氏は以下のように語る。

 「私は2004年に旧アルプス社からヤフーの地図開発の部署にそのまま移ったのですが、当時は地図サービスがPC用のパッケージソフトからウェブでの提供へとシフトし、さらにウェブ上でのスクロール地図の実現や携帯電話向けサービス、スマホアプリなど、現在の地図サービスの基本となる部分を作っていった激動の時代でした。

 他社では提供していない独自の機能も追加していった時代で、その方向性をスタッフみんなで手探りの中で決めていった時代でした。一方、ヤフーになってからも旧アルプス社が提供していた地図実験サイト『ALPSLAB』も2010年まで続けて、そこでいろいろなチャレンジをしました。正式版の地図サービスでは提供できないような尖ったサービスを開発することで、さまざまなチャレンジをしていたという感じですね(笑)。」(二宮氏)

 二宮氏はその後、サービスマネージャーを担当していた2013年に、「Yahoo!地図」アプリの地図データのベクトル化に取り組んだ。このときの事情については当時の記事(2013年12月26日付記事『ラスターではもう戦えない――ベクトル化でパワーアップした「Yahoo!地図」の中の人に話を聞きました』)を参照してほしい。なお、二宮氏はサービスマネージャーから退いたあとも、現在に至るまで継続して地図の開発に携わっている。

二宮一浩氏
ラスター版の「Yahoo!地図」アプリ(「INTERNET Watch」2013年12月26日付記事『ラスターではもう戦えない――ベクトル化でパワーアップした「Yahoo!地図」の中の人に話を聞きました』より)
ベクトル版の「Yahoo!地図」アプリ(「INTERNET Watch」2013年12月26日付記事『ラスターではもう戦えない――ベクトル化でパワーアップした「Yahoo!地図」の中の人に話を聞きました』より)

「旅行ガイドのような地図アプリ」目指した新コンセプト

 続いてコンセプト面における転機として注目されるのが、2017年4月のリニューアルだ(2017年4月24日付記事『“地図アプリ”はあまり使ってもらえない……「Yahoo!地図」アプリ提供終了、「Yahoo! MAP」として生まれ変わる』参照)。アプリ名称が「Yahoo!地図」から「Yahoo! MAP」へと変更したこのときのリニューアルを担当したのは、当時のサービスマネージャーである高橋僚介氏。

 「それまでの地図アプリというのは、あらかじめ目的地が決まっている人が行きたい場所への道順を探す用途で使うのが普通でしたが、それだけでは競合と比較して戦えないと思ったのと、あとは地図アプリを日常的にいつも使っていただけるものにしたいと考えて、このときに大きな方向転換をしました。

 一般的な地図の機能に加えて、旅行ガイドブックのように行き先のプランを検討できるアプリを目指し、『カフェ』『コンビニ』などジャンルアイコンを大きく表示して、それらをタップするだけで周辺の該当スポットを探せるようにしたり、地域情報サービス『Yahoo!ロコ』に登録されている店舗や料理の写真や情報が表示されるようにしたりしました。

 また、タウン情報を提供するコンテンツ画面も新設し、『Yahoo!ライフマガジン』の特集記事やコンテンツプロバイダーが配信するスポット情報の記事を設定したエリアに応じて閲覧できるようにして、行き先が決まっていない人がどこへ行こうか決めるのに役立つアプリとして刷新しました。このリニューアルはヤフーの地図サービスの中でも大きな分岐点で、考え方としてはタウンガイドなど雑誌の発想に近く、現在提供している『テーママップ』にも受け継がれています。」

高橋僚介氏
「Yahoo!ライフマガジン」の特集・連載記事の例(「INTERNET Watch」2017年4月24日付記事『“地図アプリ”はあまり使ってもらえない……「Yahoo!地図」アプリ提供終了、「Yahoo! MAP」として生まれ変わる』より)

地図表示システムを丸ごと変更、自社製から「Mapbox」製へ

 こうして高橋氏が形作ったコンセプトをさらに推し進めたのが、2020年からサービスマネージャーを務める水谷真樹氏だが、実は同氏が就任する前にヤフーの地図アプリには大きな変化が起きていた。2019年に地図表示システムを自社製からMapbox製に変更したのだ。このときマップボックスと協議しながらこのリニューアルを行ったのが、かつてサービスマネージャーを務めた二宮氏である。

 「地図表示システムを丸ごと変えるわけですから、それはもう大変でした。海外の地図に対する考え方と日本人にとっての地図に対する考え方が異なるため、そこをすり合わせていくのは本当に苦労しましたね。最終的にはお互いがお互いの“地図文化”をリスペクトし、尊重し合うことでうまくリニューアルすることができました。」(二宮氏)

Mapboxの地図表示システムに一新した「Yahoo! MAP」。これによりスケールバーも常時表示されるようになった(「INTERNET Watch」2019年10月24日付記事『ヤフーも採用した地図サービス「mapbox」とは何か? OSMの中に生き続ける旧アルプス社の地図データの行方は?』より)

 このような地図表示システムの刷新について、現サービスマネージャーの水谷氏は以下のように語る。

 「Mapbox製に変えた理由は、地図を表示するエンジンの部分をMapboxにお願いすることで、地図のコンテンツやナビゲーションなど、それ以外の機能を従来よりも集中的に開発し、磨き込んでいく体制を構築したいと考えたからです。基本的な地図作りはYahoo!マップが引き続き行いますが、“地図をいかに高速で滑らかに表示するか”という部分はMapboxさんが担当するという役割分担です。

 これにより、新たな機能を提供するまでのリードタイムが非常に短くなりましたし、表現の幅も大きく広がりましたので、Mapbox製に切り替えたことはかなり効いていると思います。」(水谷氏)

 そして新機能の開発に注力できる体制を最大限に生かして生まれたのが、水谷氏が担当している「テーママップ」だ。

 「私がサービスマネージャーになったのは、まさにコロナ禍が始まったタイミングでした。当初は高橋の思想を受け継いで、それをいかに良くしていくかという考えがあり、その中でも特に『探しやすさ』を重視し、テーママップというかたちで、テーマに合わせてスポットを探しやすい地図デザインに切り替えられるようにしようと考えました。

 この機能は最初は『新型コロナワクチンマップ』から始まり、その後は『ラーメンマップ』や、クリエイターによる『地域のおすすめテーママップ』、最近では全国の花火大会の情報を調べられる『花火マップ 2023』など、さまざまなテーママップをリリースしました。コロナ禍では、その時々の情勢に応じてユーザーが求めるものが違ってくるので、ニーズに合わせた機能を提供することを心掛けました。」(水谷氏)

水谷真樹氏
テーママップの第1弾となった「新型コロナワクチンマップ」
今年7月20日にリリースした「花火マップ 2023」

「カーナビ」「乗換案内」の機能も地図アプリに一部導入

 テーママップに引き続いて大きな機能追加となったのが、2021年9月に「Yahoo!カーナビ」と「Yahoo!乗換案内」の一部機能が「Yahoo! MAP」に導入されたことだ。この機能を担当した山本拓巳氏は以下のように語る。

 「以前は街歩きに適した機能やシンプルなデザインを採用し、車で使う場合は『Yahoo!カーナビ』に遷移し、公共交通機関を使う場合は『Yahoo!乗換案内』で検索する必要がありましたが、この機能統合によってターンバイターン方式のナビゲーションや鉄道の迂回路検索やダイヤ調整など、両アプリの機能が『Yahoo!マップ』1つで使えるようになりました。

 既存の2つのアプリのシステムを流用するかたちで『Yahoo!マップ』でも同じ機能が使えるのですが、システム面から全て見直して機能統合したので、開発には大きな苦労がありました。公共交通や道路などの経路検索は日本ならではの事情も多く、『Yahoo!カーナビ』と『Yahoo!乗換案内』という既存の特化型ナビゲーションアプリがすでにあり、そこで培ったノウハウを生かせたという意味では、ほかの地図アプリに対する大きな強みとなっていると思います。」(山本氏)

山本拓巳氏
「Yahoo!カーナビ」と「Yahoo!乗換案内」の一部機能を導入

地図アプリでも「タブ」ブラウジング、「徒歩のナビ」にも対応

 ヤフーならではの独自機能としては、今年の春に提供開始されたばかりの「タブ機能」も注目される。同機能を担当したのは、2022年4月からサービスマネージャーとなった山下孝之介氏だ。

 「タブ機能の開発では画面制御が難しかったです。『Yahoo!マップ』はとにかく機能が豊富なアプリなので、複数の地図をタブで切り替えられるようにしたときに動作が重くならないようにいろいろな工夫をしました。タブは最大100まで同時に開くことが可能です。

 タブ機能は昨年iOS版でテストを開始して、次にAndroid版でも開発し、全て完成させるまでには1年くらいかけてます。この機能を使うことで、例えばルート検索を複数パターン行ってタブを切り替えながら比較したり、施設の詳細情報をいくつも開いて行く先を検討したりすることができます。また、開いたタブはアプリを終了しても保存されるため、次回起動時に、前回起動時に調べていた情報を再度確認することもできます。

 さらに、このタブ機能はこれまで徒歩のナビには対応していなかったのですが、7月から徒歩のナビへの対応を開始し、徒歩のナビを継続したまま別のタブを開くことができるようになりました。これにより、徒歩のナビの使用中でも周辺施設の検索や雨雲レーダーの確認、目的地情報の表示などが可能になりました。このタブ機能はいろいろな使い方が可能なので、ウェブのブラウザーのように自由にいろいろな使い方を試していただきたいですね。」(山下氏)

山下孝之介氏
タブ一覧にて画面下部のボタンをタップすると新規タブが立ち上がる

Googleにはない、Yahoo! JAPANならではの強み

 このように時代とともに進化してきたヤフーの地図サービスだが、他社にはないその強みとは一体どこにあるのだろうか。二宮氏は「初期においてアルプス社という地図会社がそのまま開発にジョインしたことで、地図の色や注記(地図上の文字)の大きさなどの表現は非常に優れていると思います」と語る。

 一方、高橋氏は「ヤフーが持つ日本ならではのローカル情報を出せるのは大きいと思います。私がサービスマネージャーを務めたときも、Yahoo!ライフマガジン(2021年にサービス終了)などGoogleにはないメディアを持っていたことは大きな強みでした」と振り返る。

 水谷氏も高橋氏と同様に、ヤフーが持つコンテンツ力の強さを挙げる。「私の今の業務と通じるものがあると思いますが、社内的な連携が太いことが挙げられます。例えばヤフーで花火特集のページを立ち上げたら、そこに花火マップを連携させるとか、これはなかなか他社にはできないことだと思います。ヤフーならではのメディア的なアプローチとマップが緊密につながっているのがヤフーの強みだと思います」(水谷氏)。

これからは生成AI、AR、セレンディピティ……地図を見なくても使える地図アプリに!?

 このような強みを生かして、ヤフーの地図サービスは今後どのように進化していくのだろうか。その展望について5人に聞いてみた。

 「やはり最も今興味あるのは生成AIですね。地図を整備したり、検索したりする際にAIは役に立つと思いますし、僕は実は地図を見るのがあまり好きではないんですが(笑)、地図を見なくても初めて訪れるところへスムーズに行けるような機能をAIを活用していつかやりたいと思っています。店を探すときでも雰囲気による違いがあるので、ボックス1個ではなかなか分からないので。会話しながら『こういう店ありますよ』とか好みの店を案内してくれるような機能が提供できるんじゃないかなと思います。

 また、2018年にリリースしたAR機能についても、これまで少しずつ改良を重ねて進化してきましたが、昔に比べると精度も上がっており、今後はさらに進化させていきたいと思います。最近では、Appleから空間コンピューター『Apple Vision Pro』が発表されるなど新しいデバイスも登場していますので、このAR機能を進化させることで、いつかは地図画面を見なくてもナビゲーションできる世界を実現できるのではないかと期待しています。」(二宮氏)

 「私は現在、地図の開発からは離れてしまっているのですが、今の『Yahoo!マップ』の方向性は間違っていないと思います。『ただの地図アプリ』というよりも、日常で日々使ってもらえるようなサービスになればいいと思いますね。また、いかにユーザーに使っていただける起点を増やすかが至上命題だと思いますので、そこを今の地図関連のサービスマネージャーには期待したいですね。」(高橋氏)

 「先ほど申し上げた『調べる体験』をより強化していくということの延長戦でもあるんですが、いかに調べる体験自体が簡単になっていくかということを今後取り組んでいきたいと思います。さらにその延長戦として、調べたもの、例えばカフェで検索したときに『自分が行きたいカフェが見つかるかどうか』だけではなくて、『自分にマッチした、今まで知らなかったカフェが見つかる』、つまりセレンディピティにつながる地図サービスを提供していきたいと思います。」(水谷氏)

 「ルーティングの担当者としては、決めた目的地まで迷わず時間通りにたどり着けるかが重要だと思うので、そこは重視していきたいと思います。そのうえで、日常的に使えるサービスにするために、日本ならではの情報やいろいろな発見がある、そのような地図アプリにしていきたいと思います。」(山本氏)

 「地図を読むのが苦手な方もいらっしゃるので、それ以外の手段を提供できるようにすると、より多くの方に使おうと思っていただけるのではないかと思います。地図だけに頼らないでナビゲーションを行ったり、場所を探したりすることができるようになったら面白いと思います。」(山下氏)

地図サービス開発の魅力とは?

 最後に、歴代サービスマネージャーの皆さんに、地図開発の担当者ならではの楽しいところ、そして大変なところについて聞いてみた。

 「私は2013年に新卒で入社して、インターネットのウェブの会社に入ったつもりだったんですけど、なんか業務に入ってみたら“測地系”というワードが聞こえてきて、『これ、地理の授業で習ったやつだな』と思いました(笑)。アプリを開発するつもりで入ったのに、入ってみたら地図の専門用語だらけで、それを一から学ぶのはけっこう大変でした。それはこの部署ならではだと思います。そのような未知の知識やスキルを学べるので、社内でも興味を持っているエンジニアはけっこういますね。」(水谷氏)

 「地図に掲載されるローカル情報は都市部と地方で必要な情報が異なり、細かいところまでこだわらないとしっかりしたサービスとして成り立たないという難しさがありますが、そこが楽しいところでもあります。」(山本氏)

 「地図の楽しいところは、“伸ばしがい”がいくらでもあるところですね。地図アプリは各社でいろいろな特徴があり、その分やれることも幅広く、いろいろなことができるのは楽しいです。その反面、いつまでも完成形が見えないのは大変なところでもあります。1つの技術を極めてもすぐに次を勉強しなければならないし、地図はリアルに紐付いているものなので、リアルの状況が変わるとどんどん新しいものにチャレンジしていく必要があります。」(山下氏)

 「私の場合、地図の開発は好きなのですが、地図そのものを使いこなすことは実はあまり得意ではなくて(笑)、アルプス社に入った最初の頃は緯度・経度とか図法とかさっぱり分からなかったのですが、今は逆に他のメンバーから質問される側になってしまいました。『全ての情報の7割くらいは位置情報が絡んでいる』とよく言われますが、地図や位置情報はさまざまなことに関係していますので、伸び代は大きいと思います。」(二宮氏)

「確かに地図は伸び代がとてもある分野です。私がサービスマネージャーを務めていた当時は、まだまだオフラインのデジタル化が進んでいなくて、それが大変ではあったのですが、何ができるかをメンバーと話しながらいろいろとチャレンジしたのは楽しい時間だったと思います。」(高橋氏)

※アプリ画像:Map data © Mapbox © OpenStreetMap © Zenrin Co., Ltd. © Yahoo Japan

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INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。