意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識

SNSでプライバシーを公開していない?

 ――それ、世界中の人に見せたい情報ですか? FacebookやInstagram、Twitter、YouTubeなどのSNSやブログは多くの人にとって身近な存在です。家族や友人と一緒に過ごしたときの写真や動画をSNSに公開することはコミュニケーションの一部になっています。

 ただ、SNSでは日常の出来事などを手軽に発信できるがゆえに、プライバシーへの配慮を欠いてしまいがちです。それほど親しくない相手や見知らぬ相手ともつながることができ、不特定多数が見ることができるSNS上に自分や他者のプライバシー情報を無断で公開してしまい、トラブルに発展してしまうケースも少なくありません。

 ネットに投稿した写真や動画は、仲間内だけでなく、不特定多数の目に触れ、悪用される可能性もあります。また、ネット上でのやり取りや投稿を、悪意を持った第三者にコピー・拡散される可能性もあります。もし、写真や動画をあとから削除したいと思っても、削除する前に第三者がコピー・拡散した場合は、全てを消去することは事実上、不可能です。誰かを不快にさせる内容、自宅や学校を特定できる情報が含まれていないことを確認しましょう。悪意を持った第三者に住所や行動エリアを割り出され、ストーカーなどの事件に巻き込まれてしまう可能性もあります。SNSの機能や設定を理解し、自分の投稿がどのような範囲の人に見られるものなのかを常に意識することが大切です。

Facebookアプリのプライバシー設定画面例

 SNSのコミュニケーションを安全、安心に楽しむために以下のポイントを確認しておきましょう。

  • 投稿の公開範囲を制限する
  • 投稿する前に内容を見直す
  • 検索設定を見直す
  • 家族や友人、子どものプライバシーにも配慮する
  • 利用しなくなったSNSアカウントは削除

 過去の投稿内容や、SNS上の交友関係などをたどれば、写真の人物を特定することもできてしまいます。自身のみならず、家族や友人を含めた他者のプライバシーに関連する情報を勝手に公開しないよう、一緒に話し合う時間を持つことも大切です。

連載「意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識」の記事

岡本 勝之(トレンドマイクロ株式会社)

セキュリティエバンジェリスト。トレンドマイクロ株式会社ビジネスマーケティング本部コアテク・スレットマーケティング部所属。製品のテクニカルサポート業務を経て、1999年よりトレンドラボ・ジャパンウイルスチーム、2007年、日本国内専門の研究所として設立されたリージョナルトレンドラボへ移行。シニアアンチスレットアナリストとして、特に不正プログラムなどのネットワークの脅威全般の解析業務を担当。現在はセキュリティエバンジェリストとして、それまでの解析担当により培った脅威知識を基に、セキュリティ問題、セキュリティ技術の啓発に当たる。トレンドマイクロの情報セキュリティ啓発サイトはこちら「is702(アイエス・ナナマルニ)インターネット セキュリティ ナレッジ」