意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識

家のネットワークに繋がっているモノ、把握してる?

 無線LAN、いわゆるWi-Fiを利用したホームネットワークが普及し、家の中のどこにいても無線でインターネットを利用できる環境が整ってきました。ホームネットワークに接続するのは、いまやパソコンやスマートフォン/タブレットだけではありません。テレビ、スピーカー、プリンター、ウェブカメラ、ゲーム機など、さまざまなデバイス(IoT機器)がホームネットワークにつながるようになってきています。

 しかし、ホームネットワークやそこにつながる端末に対して適切な設定・利用をしないと、知らない誰かに通信を盗み見られてしまったり、勝手にネットワークを利用されるだけでなく、ウイルスに感染する可能性もあります。セキュリティはパソコンやスマートフォンだけでなく、インターネットに接続する家庭内のあらゆるIoT機器に必要です。

 例えば、IoT機器を狙うウイルス「Mirai」は、設定に不備のあるIoT機器に感染するものでした。セキュリティ対策に不備があるIoT機器は、ウイルスに感染し、サイバー攻撃に悪用される恐れがあります。海外の事例では、IoT機器を悪用した大規模なサイバー攻撃によりインターネットサービスが停止し、深刻な被害が生じた例がありました。このように、自身が被害を受けるだけでなく、家庭にあるIoT機器が知らないうちにサイバー犯罪に加担させられてしまう可能性もあります。

「Mirai」による DDoS攻撃図

 IoT機器を悪用するなどのサイバー攻撃を未然に防ぐためには、日頃よりホームネットワークにつながるIoT機器の状態を把握し、次の対策を講じる必要があります。

  • IoT機器のパスワードは複雑なものに変更するなど適切な設定を行う
  • IoT機器のOS(基本ソフト)やファームウェアは常に最新のものにする
  • 使用していないIoT機器はインターネットに接続しない(または電源を切る)

 しかし、いまや多くのIoT機器がホームネットワークに接続されているため、日頃から1つ1つの状態を管理することは難しいかもしれません。また、昔設置した機器のことを忘れてしまっている可能性もあります。

 そんなときには、家庭内のネットワークにセキュリティリスクを確認するチェックツールがおすすめです。

 例えばトレンドマイクロが提供する「オンラインスキャン for Home Network」は、家庭内のネットワークにセキュリティ上のリスクが存在しないかをチェックできる無料ツールです。ホームネットワーク内にどのようなデバイスが接続されているか検知することに加えて、診断結果を元に、攻撃に対するリスクを診断し適切な対処方法を通知してくれます。

「オンラインスキャン for Home Network」のホームネットワーク内デバイス検知画面

 IoT機器と聞くとまだ先の話という気がするかもしれませんが、すでにスマートフォンやパソコンに限らずさまざまなモノがホームネットワークにつながっています。安全なホームネットワークを構築し、快適なデジタルライフを満喫しましょう。

連載「意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識」の記事

岡本 勝之(トレンドマイクロ株式会社)

セキュリティエバンジェリスト。トレンドマイクロ株式会社ビジネスマーケティング本部コアテク・スレットマーケティング部所属。製品のテクニカルサポート業務を経て、1999年よりトレンドラボ・ジャパンウイルスチーム、2007年、日本国内専門の研究所として設立されたリージョナルトレンドラボへ移行。シニアアンチスレットアナリストとして、特に不正プログラムなどのネットワークの脅威全般の解析業務を担当。現在はセキュリティエバンジェリストとして、それまでの解析担当により培った脅威知識を基に、セキュリティ問題、セキュリティ技術の啓発に当たる。トレンドマイクロの情報セキュリティ啓発サイトはこちら「is702(アイエス・ナナマルニ)インターネット セキュリティ ナレッジ」