意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識

「自宅Wi-Fiを在宅勤務で利用する」場合の注意点は?

fujiwaraさんによる写真ACからの写真

 新型コロナウイルスの感染防止のためや働き方改革の一環として、在宅勤務を始められた方やテレワーク(リモートワーク)の制度を導入した企業も多いのではないでしょうか。

 前回の記事では、私物端末を業務利用するときの注意点と各自できる対策についてお伝えいたしました。今回は、在宅勤務を行う際、自宅のホームネットワークを利用する場合の注意点と主な対策をお伝えします。

 まず前提として、「ホームネットワーク」とは、パソコンやプリンターなどの周辺機器、スマート家電が互いに通信をしたり、インターネットに接続できるようにする通信の仕組みです。ホームネットワークという言葉だと聞きなれなくても、ご自宅に「ルーター」を設置してWi-Fiに接続している方は、すでにホームネットワークを利用している状態と言えます。

 その上で、職場のポリシーで貸与されているモバイルルーターやスマホによるテザリングで業務をすることが定められている場合は、それに従ってください。自身の判断で勝手に自宅のホームネットワークを使ってはいけません。

 ホームネットワークの使用が認められている場合、在宅勤務時にホームネットワークを利用する場合の重要なポイントは、インターネットの出入り口となる「ルーター」のセキュリティです。ルーターにセキュリティ上の不備があると、悪意を持った第三者により、ネットワークに接続する端末や機器が不正なサイトへの誘導やウイルス感染などの被害に遭うリスクがあるからです。加えて、リモートで接続している社内システムに侵入するための踏み台に悪用される可能性もあります。

 また、在宅勤務の有無に関わらず、ルーターの侵害から自宅のパソコンが被害に遭う可能性もあります。このような被害に遭わないためにも、在宅勤務を開始することをきっかけに、ルーターの管理画面にログインし、IDとパスワードを初期設定から変更し、ルーターの「ファームウェア」(プログラム)が最新の状態となっているかを必ず確認してください。また、前提としてセキュリティ対策がとられたルーターを利用するようにしましょう。ホームネットワークに対する攻撃をブロックするセキュリティ製品を導入することも有効です。

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岡本 勝之(トレンドマイクロ株式会社)

セキュリティエバンジェリスト。トレンドマイクロ株式会社ビジネスマーケティング本部コアテク・スレットマーケティング部所属。製品のテクニカルサポート業務を経て、1999年よりトレンドラボ・ジャパンウイルスチーム、2007年、日本国内専門の研究所として設立されたリージョナルトレンドラボへ移行。シニアアンチスレットアナリストとして、特に不正プログラムなどのネットワークの脅威全般の解析業務を担当。現在はセキュリティエバンジェリストとして、それまでの解析担当により培った脅威知識を基に、セキュリティ問題、セキュリティ技術の啓発に当たる。トレンドマイクロの情報セキュリティ啓発サイトはこちら「is702(アイエス・ナナマルニ)インターネット セキュリティ ナレッジ」