意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識
巧妙な手口で「二要素認証」を突破、ネットバンキングの「ワンタイムパスワード」を狙う偽サイトに注意
2020年3月19日 06:00
近年、国内におけるネットバンキングをかたったサイバー攻撃において、メールやSMSで通知されるワンタイムパスワードなどの二要素認証(二段階認証などとも呼ばれます)を狙う偽サイト(フィッシングサイト)を確認しています。これらの攻撃は、特にネットバンキングの仕組みを調べた上で巧妙な手口で、二要素認証を突破し、金銭の窃取を狙っていると考えられます。
これらの二要素認証を狙う偽サイトでは、偽メールや偽SMSから誘導された偽サイト上でネットバンキングのIDとパスワードを入力すると、正規のネットバンキングからスマホに届いたワンタイムパスワードを入力するよう求めます。
しかし、利用者が入力しているのは偽サイトで、実際にはサイバー犯罪者が偽サイトに最初にユーザーが入力したIDとパスワードを用いて正規サイトにログインしたことで、正規サイトからユーザーにワンタイムパスワードが発行されます。利用者が受信したワンタイムパスワードを偽サイトに入力することで、二要素認証が突破されてしまう巧妙な手口です。
これらの偽サイトは、HTTPSサイトもあるため、アドレスバーに鍵のマークが表示されているからと安心してはいけません。また、日本のドメイン名である「.jp」を使用しているサイトも確認されています。HTTPSに対応していること、「.jp」を使用することで、利用者に本物だと信じ込ませるための偽装をしています。同様の手法でワンタイムパスワードを破る偽サイトは、ネットバンキングだけでなく、携帯電話事業者のウェブサービスなどでも見られているため、注意が必要です。
ネット利用者はこれまで以上に、最新の詐欺の手口を知り、不審なメッセージに注意していく必要があります。SMSやメールを受信した場合には、本文に含まれているURLは正規のサイトであるかを確認することが大切です。また、いつもと異なるタイミングで、ネットバンキングのアカウント情報を求められたり、ログインを促すことがあった場合は、立ち止まって自分が閲覧しているサイトが正規のサイトか必ず確認してください。不審なサイトやメッセージによる脅威のリスクを下げるためにも、セキュリティソフトやアプリを利用することも有効です。また、ネットバンキングのように普段から使用する重要なサイトについてはブックマークに登録し、ブックマークからのみアクセスする心がけも被害の予防に繋がります。
連載「意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識」の記事
- パスワードはどうやって管理すればいいの?
- フィッシング詐欺って実際にどのようなメールが届くの?
- SNSアカウントを他人に乗っ取られないためには?
- 「2段階認証」とは? アカウント乗っ取りの防止に有効
- 使っていないウェブサービスのアカウント、そのままにしていない?
- スマホのOSやアプリのアップデートはした方がいいの?
- スマホもウイルスに感染するの?
- フリーWi-Fiを利用するときのリスクとは?
- SNSでプライバシーを公開していない?
- スマホをなくした! そのときに備え、3つの対策を
- スマート家電って何? どのようなセキュリティ対策をすればいいの?
- 家庭のウェブカメラを盗み見されるって本当?
- スマートスピーカーの使用で住所が晒されるリスクも?
- 子どもを危険から守る「ペアレンタルコントロール」とは?
- Wi-Fiルーターを狙うサイバー攻撃、被害を防ぐには
- 家のネットワークに繋がっているモノ、把握してる?
- 「観戦チケットが当たる」というメールやSMSに注意
- 音楽フェスの無料配信を謳うサイト、それは本物?
- 注目されるイベントに便乗する「アンケート詐欺」に注意
- SNSに投稿する前に確認を! 友達の顔写真投稿やタグ付けを勝手にしていない?
- 心の隙を巧みに突くネット詐欺の手口いろいろ
- 不安をあおって電話でだます“サポート詐欺”の手口
- 好きなアイドルに会える? “出会い系詐欺”とは?
- アダルトサイト閲覧時の動画をばらまくと脅す“セクストーション詐欺”
- 狙われるApple ID――iPhoneユーザーなら知っておきたい“フィッシング”の手口
- iPhoneの“構成プロファイル”って何? 安易にインストールを許可してない?
- 新しいiPhoneを使い始めるときに確認したい、3つのセキュリティ設定項目
- オンラインゲームのアカウントが盗まれる?
- Windows 7の「サポート終了」ってどういうこと? まだ使っていても大丈夫?
- SNSに子どもの写真を投稿する際のリスクとは
- URLをクリックしたらTwitterアカウントが乗っ取られた!? アプリ連携の許可は慎重に
- SNSがきっかけの犯罪から子どもを守るには
- これは見破れないかも? 「犯罪者のSMS」と「正規のSMS」が混ざって表示される送信元偽装
- 巧妙な手口で「二要素認証」を突破、ネットバンキングの「ワンタイムパスワード」を狙う偽サイトに注意
- 新型コロナウイルスに便乗するネット詐欺が拡大
- 「私物端末を使った在宅勤務」の注意点とは?
- 「自宅Wi-Fiを在宅勤務で利用する」場合の注意点は?
- 「プライベートで利用しているクラウドメール」の業務利用って、何が問題なの?
- テレワークでも気を付けたい「ソーシャルエンジニアリング」、AIを使っただましの手口も
- 「オンライン会議システムを使うとき」に気を付けたい4つの注意点
- 「脆弱性(ぜいじゃくせい)」って何?
- 「標的型攻撃」って何?
- 「ゼロデイ攻撃」って何?
- 「Cookie(クッキー)」って何?
- 「https」って何?
- この連載の記事一覧/今後の掲載予定