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本誌記事で振り返る、ライブドア事業拡大の歴史
[後編]


 ライブドアが手がけてきた事業やサービスなどを本誌記事で振り返る。前編に引き続き、社名をライブドアに変更した2004年2月以降を取り上げる。なお、記事中の会社名やサービス名、URLなどは原則として掲載当時のままだ。現在とは異なる場合や、すでに終了したサービスなども含まれることをお断わりしておく。


●2004年:ライブドアに社名変更、イーバンクとの“脅迫電話騒動”勃発

イーバンクとの騒動について説明する宮内亮治氏(当時、取締役最高財務責任者。2004年2月18日の記事より)
 エッジは2004年2月1日付で「株式会社ライブドア」に社名変更した。そのすぐ後にライブドアとイーバンクの対立が表面化した。両社は2003年9月に資本提携していたが、イーバンクのM&Aを目指すライブドアとイーバンクが対立し、ライブドアから派遣された役員をイーバンクが受け入れを拒否。その後、イーバンク銀行幹部から脅迫まがいの電話を受けたとするライブドアが“脅迫電話”の音声ファイルやその声紋判定を公表し、イーバンクを刑事告訴する事態に発展した。最終的に両社は和解したが、資本提携は解消することになった。


●近鉄買収に名乗り、プロ野球への“新規参入”目指す

堀江氏(左)と宮内氏。近鉄球団買収交渉の発表会で(2004年6月30日の記事より)
 ライブドアが次に目指したのはプロ野球への“新規参入”だった。最終的には楽天が新規参入を決め、ライブドアの夢は潰えた形になったが、これを機にライブドアの知名度は大きく上昇する。ネットレイティングスの調査では、この時期からポータルサイト「livedoor」へのアクセスが軒並み増加したという。堀江貴文氏(当時、代表取締役社長兼CEO)が有人宇宙飛行への“新規参入”を表明したのもこの頃だ。また、livedoor自身がメディアになるべく報道部門を設立している。


●バリュークリック、ターボリナックスなど、M&Aはさらに加速

ターボリナックスの矢野社長(当時、右)と握手を交わすライブドアの堀江氏(2004年3月16日の記事より)
 イーバンク騒動やプロ野球新規参入で盛り上がっていた頃も、ライブドアは多くの企業のM&Aや事業買収を行なっている。特に、ライブドア本体と並んで証券取引法違反の疑いが持たれているライブドアマーケティングの前身、バリュークリックジャパンもこの時期に買収していた。2004年12月には、会計ソフトの弥生も買収した。


●Linux、Opera、Skype……ソフトウェア事業の柱も充実

「LinuxWorld C&D/Tokyo 2004」でLinuxの普及を訴える堀江氏(2004年9月29日の記事より)
 livedoorというポータルサイトの運営だけでなく、ソフトウェア販売もライブドアの事業の柱だ。特に、LindowsやOperaなどマニアックなユーザー向けソフトを販売するようになったほか、Skypeにも力を入れ始めた。ただし、Operaの販売については、当時ライブドアに先駆けてOperaを販売していたトランスウエアと訴訟沙汰になった。Lindowsに関しては2005年8月に米Linspireとの契約を終了している。

 なお、音楽CDをMP3形式のデータに変換する「livedoor エンコーダー」なる有料サービスも開始したが、著作権などの問題からか開始から3カ月程度で中止している。


●2005年:ニッポン放送買収で“放送とネットとの融合”目指す

ニッポン放送株取得の記者会見で説明する堀江氏(2005年2月8日の記事より)
 2005年2月8日、ニッポン放送株の35%を買い付けたと電撃的に発表したライブドア。ニッポン放送とフジテレビジョンのいびつな資本関係に目を付けたライブドアの“メディア買収騒動”は4月まで続くことになる。最終的には、ライブドアがニッポン放送株をフジに譲渡、フジはライブドアへの資本提携を行なうことで一応の決着を見た。以後、テレビなどのマスメディアで盛んに“通信と放送の融合”という単語を耳にすることになる。


●ホリエモン自身にも注目、衆院選へ立候補

「ホリタンオンライン」のトップページ
 プロ野球への新規参入、ニッポン放送の株式買い付けなどでライブドアの知名度はさらに上昇した。「ホリエモン」こと堀江氏個人の行動も目立つようになった。広島6区から衆議院選挙に出馬したほか、東大中退という学歴から英単語学習本「ほりたん」まで刊行した。この知名度に目を付け、「ホリエモン」の商標登録を出願する者も複数現われた(最終的にはライブドアが登録)。


●公衆無線LAN事業に参入、携帯電話事業も視野に

 Skype Day in Japanの特別講演で「livedoor Wirelessとスカイプが世を席巻する」と堀江氏(2005年11月7日の記事より)
 SIPフォンやSkypeなど電話ソフト/サービスに力を入れていたライブドアは、インフラ事業として公衆無線LANにも参入。パワードコムやYOZANと提携し、都内を中心に無線ネットワークを構築すると表明した。また、無線技術「iBurst」を採用した携帯電話事業も視野にあったようだ。「高価な通信インフラを設置し、その結果としてユーザーが高い料金で使わされているのははっきりいっておかしい」と、堀江氏が携帯電話業界に苦言を呈したこともあった。


●「livedoor Blog」が100万ユーザーを突破

ナンジャタウンで初のオフ会で、堀江氏はビデオレターで登場(2005年12月16日の記事より)
 2003年に開始したブログサービス「livedoor Blog」が2005年に100万ユーザーを突破した。業界トップ水準のユーザーを擁するブログサービスだが、サイトリニューアルを複数回実施し、増加するユーザーに対応したという。同年12月16日にはナンジャタウンで初のオフ会を開催。これに出席した伊地知晋一執行役員副社長は「“想定外”のことが起きない限り、1,000万件になっても大丈夫」と述べていた。


●「開店、開店、開店……」のlivedoor Autoは8月に子会社化

セシールとの提携発表会で(2005年10月21日の記事より)
 2005年もライブドアの事業拡大は止まらなかった。幻冬舎と合弁でライブドアパブリッシングを設立したのをはじめ、日商岩井フューチャーズの買収なども行なった。また、「開店、開店、開店……」と堀江氏が“回転”しながら歌うCMで一躍有名になったlivedoor Auto(旧ジャック・ホールディングス)を子会社化したのもこの頃だ。


●2006年1月:証券取引法違反の疑いで強制捜査、“ライブドアショック”

謝罪するライブドア新経営陣(2006年1月24日の記事より)
 2006年1月16日、証券取引法違反の容疑で東京地検特捜部と証券取引等監視委員会がライブドアに家宅捜索に入った。23日に堀江氏ら幹部が逮捕され、24日には熊谷史人氏を代表取締役に、平松庚三氏を執行役員社長に据える新体制が発表された。容疑については、2004年のマネーライフ社買収を巡る偽計取引に加えて粉飾決算などが報じられているが、現時点で真相は明らかにされていない。一連の事件の影響でライブドア株は大暴落。一時は“ライブドアショック”で東証がすべての売買取引を停止する事態になった。


●どうなるライブドア!?

「身売りや社名変更は考えていない」と熊谷代表取締役(2006年1月24日の記事より)
 livedoor Blogの「開発日誌」によれば、サービスの停止や家宅捜索によるサーバー差し押さえはないという。また、ライブドア広報でも「ポータルサービスに関するサーバーは今回の家宅捜索の対象外であるため、サービス継続に全く支障はない」とコメントしている。実際、堀江氏逮捕以降もライブドアではいくつか新サービスも開始している。とはいえ、家宅捜索以降、広告出稿のキャンセルも複数あった。従業員の一部にも動揺が出ているという。「身売りや社名変更は考えていない」(熊谷代表取締役)とのことなので、当面はサービスを継続するようだ。本誌でも今後、ライブドアの動向を見守っていく。

(2006/1/25)

[編集部]


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