レビュー

Windows 7の最新環境、今作ってみたら大変だった!Windows Update 11回に、再起動多数……

見たこともないブルースクリーンも意外なタイミングで……

意外なタイミングで表示されるブルースクリーン

 先日、筆者愛用のPC「VAIO P」をWindows 7からWindows 10にアップグレードする記事を書かせていただいた。Windows 7のサポート終了日は2020年1月14日に迫っているので、まだお使いの方はWindows 10へのアップグレードをお忘れなく。

 今回はアップグレードに関する記事の番外編として、Windows 7の環境を保存する話をしていきたい。日常的に使うのはNGだが、中には検証用などのためにWindows 7環境をあえて残したいという人もいるだろう。

 しかし2020年1月14日以降は、インターネットに接続するだけでセキュリティのリスクが高い状態になると考えるべきで、そうなるとWindows Updateも安易に実行できなくなる。今のうちにWindows 7の最終版の環境を整えておくのがいい。

 というわけで、筆者の「VAIO P」に改めてWindows 7環境を整えてみたいと思う。なかなかの苦労があったのは想像通りだが、マイクロソフトによる意外な仕掛けも発見できたので、合わせてご紹介したい。

 なお、こうしたアップデートの過程はPCのモデルや設定、あるいは環境によって変わってくると思われる。あくまでも、「今回はこうだった」という情報として参考にしていただければ幸いだ。

リカバリしてWindows 7(無印)にSP1を導入すると……

リカバリメニューで簡単に工場出荷状態へ

 まずは「VAIO P」のリカバリから。実は購入してから一度もリカバリしたことがなく、9年前のリカバリ領域が生きているかどうかすら不安だった。マニュアルを読むと、「電源が切れている状態でASSISTボタンを押す」とあるので押してみると、無事にリカバリメニューが表示された。待つことおよそ1時間半、無事に「VAIO P」が工場出荷状態へと戻った。

 9年前はまだWindows 7 Service Pack 1(SP1)が提供されておらず、いわゆる無印のWindows 7になった。何はともあれ、まずはWindows Updateから。経験上、かなりの数のアップデートファイルが適用され、何度も再起動を繰り返すだろう、とは思っていた。

リカバリ直後のWindows 7(無印)

 実際にWindows Updateを動かしてみると、SP1を含む数個のアップデートが表示された。インストール作業は15分ほどで終了し、再起動。すると見慣れない「ブルースクリーン」(というべきかどうかは微妙だが、少なくとも画面は青背景だ)が表示され、「Windows 10にアップグレードをおすすめする」との文字が。まさかSP1を入れようとしている人に向けてこんなものを仕込んでいるとは思わず、いいものを見た気分だ(もっとも、今回はWindows 10にはしないのだが)。

Windows Updateに早速SP1があるので適用するも……
再起動すると、いきなりブルースクリーンでこの表示

 気を取り直して再びWindows Updateをかけると、今度こそSP1が適用された。SP1適用後は、Windows Update自体のアップデートが指示され、その事前準備として.NET Frameworkのアップデートがかかる。

 当初はアップデートを速やかに終わらせるため、SP1以降のアップデートをまとめたロールアップパッケージの使用も考えていた。しかし保存する環境であれば、下手に手を入れて後々の問題を引き起こす可能性を生むよりは、少々時間をかけてでもWindows Updateに任せた方が間違いがないと判断した。

 もし少しでも時短したいのであれば、本機のようにSP1未適用の環境では、SP1くらいは先にダウンロードしておいてもいいだろう。予めUSBメモリなどに保存しておき、リカバリ直後に実行するといい。

繰り返しの再起動やエラー表示も、最終的には無事終了

 ここからの作業は、Windows Updateが指示するままに進めていくことにした。更新プログラムを確認したら、適用するアップデートを選ぶことなく「更新プログラムをインストール」をクリックし、再起動の指示どおりに再起動。

 再びWindows Updateを起動して更新プログラムを確認する。もし自動で選択される更新プログラムがなくなったら、オプションを含めて全ての更新プログラムをチェックして更新を進める。

 作業は予想通り、何度も再起動の指示があり、途中はエラーが表示される場面もあった。1ステップごとに画像を保存してみたので一通りご覧いただこう。

1回目:いきなり189個ものアップデートが

 SP1適用後、1度目のWindows Updateでは、いきなり189個のアップデートが見つかった。容量は1GB超と巨大だ。アップデートにかかった時間はおよそ6時間。「VAIO P」のマシンパワーが低すぎる(Atom搭載機)のも大いに影響していると思われる。

SP1適用後、Windows Update自体の更新からスタート
1度目の実行でいきなり189個、1GB超のアップデートが見つかる

 アップデート作業が終わった時点で、153個が成功、34個もの失敗があると表示された。前途多難を感じさせる。

185個のアップデートが一度に更新される
34個も失敗。153個も成功したのを褒めるべきか
2回目:アップデートに要する時間が短くなる

 再起動後、2度目のWindows Update。先ほど34個の失敗があったにも関わらず、重要な更新プログラムは28個と表示された。理由は不明だが、この時点で特にエラーが出たわけではないので、気にせず作業を進める。

 ちなみに重要な更新プログラムのうち、1つだけ自動で選択されていないのは、.NET Framework関連のもの。もしかすると先に適用してやった方がスムーズに進むのかもしれないが、当初の取り決め通り、あえて触れずにそのままアップデートしていく。

 今度は24個が成功し、3個は失敗となった。赤いエラー表示が出ると不安を煽られる。しかしアップデートに要した時間は30分程度とずいぶん短くなった。

2度目の実行ではアップデートが28個しか出てこない
24個成功、3個失敗が残る
3回目:「重要な更新プログラム」が9個に減る

 再起動して3度目のWindows Updateでは、重要な更新プログラムが9個にまで減った。実行すると、6個成功、2個失敗。まだ失敗が残るものの、着実に数が減っていく。かかった時間も5分程度だ。

3度目の実行。重要な更新プログラムは9個に減った
6個のアップデートに成功、2個は失敗
4回目:ついに「エラーなし」で更新完了

 再起動して4度目。重要な更新プログラムは5個となった。アップデートを実行すると、4個成功。ついに失敗がなく、正常にインストールが完了した。

4度目、重要な更新プログラムは5個
4個のアップデートに成功し、ついにノーエラー
5回目:再起動したら「3個の重要な更新プログラム」、再起動せず更新完了

 再起動して5度目のWindows Updateを実行すると、まだ3個の重要な更新プログラムがあるという。アップデートを実行すると、無事2個のアップデートが終了。しかも今度は再起動の指示が出なかった。

5度目、重要な更新プログラム3個のうち2個を適用していく
ノーエラーで適用完了。しかも再起動の指示なし
6回目:「重要な更新プログラム」、まだあった!

 これで自動適用されアップデートは終わりかな? と思いつつ6度目のWindows Updateを実行すると、また1個の重要な更新プログラムが発見された。素直にアップデートすると、今度もノーエラーで再起動なし。

6度目の実行でも、重要な更新プログラムが新たに1つ見つかった
ノーエラーでアップデート完了
7回目:ついに自動選択される更新プログラムがなくなる!

 7度目のWindows Updateを実行したところ、ついに自動選択される更新プログラムがなくなった。ここで残った重要更新プログラムとオプション更新プログラムを全て手動で選択し、アップデートを実行。全て正常にインストールが完了し、再起動が指示された。

7度目、自動選択される更新プログラムは0。残った6つを手動選択する
アップデートの適用も無事に終了し、再起動
8回目:終わりと思いきや、また増加

 再起動後、8度目のWindows Updateを実行すると、重要な更新プログラムが13個に増えた。例の.NET Framework関連のアップデートを適用したためだろうか。早速アップデートを実行しようとすると、「ほかのプログラムをインストール中」と言われてエラーが出てしまった。

 数分してから再実行せよ、という指示なのでしばらく放置しておくと、なぜか勝手に再起動していた。Windowsにログインすると、今度は画面にWindows 7のサポートが終了する旨と、Windows 10への移行を促す大きなウインドウが表示された。SP1適用前と合わせて2度目のおすすめである。

8度目、重要な更新プログラムが13個に増加
アップデートすると数分待てとの指示。この後勝手に再起動した

 ここで「詳細を見る」ボタンを押してみると、IEが開いてWindows 10の情報が表示される……かと思いきや、「このページは表示できません」の文字。この時点でインストールされているIEは、標準でTLSが無効になっているのが原因のようで、オプションでTLSを有効にすると無事に表示された。

再起動後に勝手に表示されたWindows 10を勧めるウインドウ
「詳細を見る」をクリックしてもページが表示されないという、まさかの展開

 気を取り直して、改めて8度目のWindows Updateを実行。勝手に再起動したときに何かが適用されたのか、重要な更新プログラムは10個に減っていた。アップデートをかけると、まさかの3個成功、6個失敗という結果に。再びエラーを見せられるとは思わなかった。再起動を促される。

改めての8度目、なぜか重要な更新プログラムが減っている
成功が3個、失敗が6個という結果に
9回目:重要な更新プログラムは7個

 再起動して9度目のWindows Update。重要な更新プログラムが7個で、うち6個のアップデートを適用。今度は6個ともエラーなくインストールされ、再起動の指示が出る。

9度目。更新プログラムが7個見つかる
今回のアップデートはエラーなく終了した
10回目:「自動選択される更新プログラム」が再度無くなる

 ついに10度目となったWindows Updateは、再び自動選択される更新プログラムがなくなった。1個の重要な更新プログラムと、2個のオプション更新プログラムを適用する。3個とも問題なくインストールが完了し、再起動。

1度回目、自動選択の更新プログラムがなくなり、残りを手動で設定する
3個の更新プログラムを正常にインストールできた
11回目:ついに完了!

 そして11度目のWindows Updateは、ついに「Windowsは最新の状態です」という表示になった。これで現時点での更新プログラムは全て適用されたことになる。適用される更新プログラムはPCの構成によっても変化すると思われるが、筆者の「VAIO P」ではSP1適用後のWindows Updateは10回の試行が必要になった。

 時間的には最初のアップデートに約6時間かかっているが、それ以後は長くて十数分程度。他の作業の片手間でやっていたのもあり、作業は丸1日近くかかってはいるが、Windows Update自体はほぼ自動で進むため、ほとんど手間はかけていない。そして何より、最終的に何らかのエラーを吐くこともなく、無事にアップデートが完了したようで一安心だ。

ついに全ての更新プログラムを適用できた

バックアップとシステム修復ディスクの作成古めのPCは様々なトラブルに対する早めの準備を

 Windows Updateが終わったら、他の整理整頓も。独自ソフトのアップデートをかけたり、各々の環境に必須となるソフトを入れたり、不要なプリインストールソフトを消したりして、なるべく不便のない形にしておきたい。

 保存環境が整ったら、バックアップを取る。Windows 7には標準でドライブ全体のバックアップを取る「システムイメージの作成」という機能があるので、これを使ってみることにする。コントロールパネルから、「バックアップと復元」を選び、左のメニューから「システムイメージの作成」をクリックする。

 続いてバックアップする場所を指定する。指定できるのは、ハードディスク、またはDVD-Rなどの書き込みDVDメディア。「VAIO P」はSSD1基のみの構成で、同一ドライブの空き容量にはバックアップが取れないため、USB接続の外付けHDDを用意してバックアップを取った。

Windows 7に搭載されているバックアップ機能を使う
「システムイメージの作成」には、外付けHDDを使用した

 なお筆者の「VAIO P」ではバックアップ先の容量が34GB必要とされており、DVDだと8枚分程度となるため、やや作業が煩雑になりそうだ。HDDであればバックアップの作業は自動で進められるので、ほとんど手をかけないで済む。

34GBのディスク領域を使用し、システムごとバックアップする
バックアップ作業は自動で進む

 バックアップ作業が終わると、システム修復ディスクの作成を促される。いわゆる起動ディスクで、バックアップしたシステムイメージを復旧するために使う。

 今時なら適当なUSBメモリを起動ドライブにしたいところだが、残念ながらCD/DVDドライブしか指定できない。起動ディスクにはごくわずかな書き込みしかなされないため、CD-R1枚で十分足りる。

システム修復ディスクはCD/DVDドライブしか指定できない
終了するとラベルに「修復ディスク Windows 7 32ビット」と書くよう指示される

 保存したバックアップデータから復旧するには、作成した修復ディスクから起動し、外付けHDDからデータを書き戻すことになる。「VAIO P」には光学ドライブがないので、光学ドライブと外付けHDDの2つをUSB接続する必要があり、なかなか手間がかかる。不便だと思うなら、市販のバックアップソフトで対応するといいだろう。

 最後に繰り返しになるが、Windows 7は2020年1月14日でサポートが終了となる。何らかの理由でWindows 7の環境を残したい人は、それまでにはWindows 7 最終版と呼ぶべき環境を整備しておく方がいい。

 筆者の「VAIO P」では問題はなかったが、別のPCでは何が起こるかわからない。古めのPCになると、ハードウェアの故障や不具合、リカバリメディアの消失・紛失など、様々なトラブルも予想される。直前になって慌てないよう、なるべく早く準備を進めておくことをおすすめしたい。

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