イベントレポート

CEATEC 2020 ONLINE

ソニー、コロナ禍で需要が高まっている3つの「R」の技術をCEATECで紹介

「リアリティ」「リアルタイム」「リモート」を軸にしたソリューションを紹介

 10月20日~23日にかけて「CEATEC 2020 ONLINE」が完全オンラインで開催されている。ソニー株式会社はブースを出展し、ニューノーマル時代の社会を意識した「3R Challenges」をテーマとする展示を行っている。

 「3R Challenges」とは、ニューノーマル時代において急速に需要が高まっている“リアリティ(Reality)”、“リアルタイム(Real time)”、“リモート/Remote”という3つのキーワードを軸に、同社のテクノロジーを活用することで様々なソリューションを提供する試み。展示ブースではこれらを「エンタテインメント」、「スポーツ」、「ソサエティ」の3分野に大別し、開発中・推進中のテクノロジーやソリューションを紹介している。

リアルとバーチャル、リモートを融合するエンタテインメント技術

実際の風景などをデータ化してCGと組み合わせ、“バーチャルセット”を作成できるバーチャルプロダクション技術。架空の風景を可視化できるほか、場所にとらわれない映像作品の制作が可能になるとのこと。なおソニーの展示ブースに関しては、すべて動画を活用してソリューションを紹介していた

 エンタテインメント分野の展示では、映画や映像制作、音楽に関するソリューションにフォーカスがあてられている。

 一例を挙げると、Sony Innovation Studioのバーチャルプロダクション技術は、実在する建物やロケーションをデジタル化し、保存・編集可能にするというもの。これにより、素材化した風景やセットとCGを組み合わせ、言わば“バーチャルセット”を作成し、実際のセットや建物、風景を利用せずに映像作品を撮影したり、架空の風景を可視化したセットを長期的に利用できるとしている。

新型コロナウイルス流行後は「Zepp」でオンラインライブサービスを開始し、ロボットを使用しての撮影自動化なども導入。観客を動員してのライブが難しい状況でもリスクを下げつつ、アーティストをバックアップしているという

 また、需要が高まっているリモートのライブエンタテイメントについても、ライブハウス「Zepp」におけるオンラインライブサービスを紹介。撮影の自動化によるコストカットやリアルタイム配信により、観客を動員してのライブが難しい場合にアーティストをサポートしたり、リアルとリモートのハイブリッドで新たなライブの楽しみ方が生まれるとしている。総じてニューノーマル時代において重要となる、場所の制約を取り払うようなソリューションが印象的だった。

withコロナ時代のスポーツを支えるソリューション

数多くのスポーツで利用されている映像分析ソリューション「ホークアイ」。テニスでは、ライン判定の完全自動化など、ソーシャルディスタンスの確保にも使われた実績があるとのこと
リプロダクション技術の活用により、自宅からの観戦でもスポーツをより楽しめる環境づくりに寄与できる

 スポーツの分野では、様々なスポーツのビデオ判定に活用されている映像分析ソリューション「ホークアイ」が、ニューノーマル時代の到来を機に注目を集めている事例を取り上げている。

 テニスではソーシャルディスタンスの確保の要求から、すべてのライン判定を自動化する「ホークアイ ライブ」が、4大国際大会のひとつであるUSオープンなどで導入されたとのこと。また、ホークアイの映像、選手の骨格データなどをもとにスポーツ映像を3D化するリプロダクション技術により、さまざまな角度から選手の動きを確認可能となり、現地観戦だけではないスポーツの新たな楽しみ方はもちろん、選手やコーチの技術力向上などにも寄与できるという。

より直接的に社会課題を解決するソリューション

リモート制作の需要も高まり、同社が長年続けてきた「IP Liveプロダクションシステム」も注目を集めているようだ

 「ソサエティ」分野で取り上げられているのは、より直接的に社会課題を解決できるソリューションだ。

 たとえば需要の高まっているリモート制作システムに関しては、すでに2010年前後からIPベースの映像制作ソリューション「IP Liveプロダクションシステム」を提供しているが、今年はNevionの子会社化などによりこれを強化。遠隔地との映像を高画質・低遅延で繋ぐ同システムは、スポーツ中継などのライブ制作のほか、近年注目を集めている遠隔医療などでも利用の活発化が期待されるとしている。

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