【連載】 【編集部から】 ●Yahoo!はInktomiへの回帰を急ぐ 検索エンジンのトラフィックの大半は、Yahoo!とGoogleの2社に占められている。ご存じのように、数年前まではYahoo!は標準の検索エンジンとしてInktomiとgooを採用していたが、2000年にGoogleに切り替えている。しかし現在、Yahoo!はInktomiやFAST、Overtureといったそうそうたる検索エンジン企業を所有していて、だったらYahoo!は今後、Googleではなく自社製の検索エンジンを使うようになるのではないか――というのは自然な見方だ。実際、Yahoo!はGoogleからInktomiに標準検索エンジンを再び切り替えようと準備を進めている。 一方、MSNもそう遠くない将来、MSN Searchの画期的な新しいバージョンをリリースする見通しだ。WebマスターやWebサイトのオーナー、それにSEOスペシャリストにとっては、これはとてもよい兆候といえる。もし、新しいMSN SearchがGoogleと同等か、あるいはそれ以上の性能を持つ検索エンジンになれば、われわれは顧客を誘導してくるトラフィックの源として、GoogleとYahoo!、MSN Searchという3つもの検索エンジンを使えるようになるからだ。たったひとつの検索エンジンに頼ってしまうより、トラフィックは分散している方がずっと安全だからね。 ●MSN Searchをめぐる興味深い記事
彼の記事をかいつまんで紹介しよう。新しいMSN Searchでは、この検索エンジンはMicrosoft IIS Serverとネイティブで連動し、通常のエンジンがインデックス化しにくい、動的なコンテンツを含んだWebページも検索できるようになるという。IISで動的なWebサイトを構築すれば、検索エンジンにも簡単に引っかかるようにできるというわけだ。 たぶんマイクロソフトが最終的に狙っているゴールのひとつは、ハードディスクの中の検索と、インターネット検索をシームレスに統合してしまうことだろう。あなたがどういう作業を現在しているのかをモニターして、Webサイトと自宅のハードディスクの両方から必要なファイルを探し出してくれる――将来はそういうようなものになるかもしれない。そうしたら、ぼくたちが今のところGoogleやYahoo!でやっているような“マニュアル検索”は、もっとスピーディでパワフルな機能を備えるようになるだろう。 MSN Searchの新しいインターフェイスは、パラメータを調整したり、フィルタリング機能をオンにするごとに、リアルタイムで検索結果が自動アップデートするようになると噂されている。また自然文による検索機能についても、新たな進化が加えられているとか。これらの話がもし本当なら、とても興奮する話だね。 ●マイクロソフトはあなたの一挙手一投足をモニターすることになるMSN Searchは、最終的にはマイクロソフトのすべてのアプリケーションに機能として加えられるようになるらしい。つまり、例の「オフィスアシスタント」に似たようなものになるということなのだろう。検索結果については、キーワード広告も含まれることになりそうだ。 そしてこうした検索エンジンを装備した結果、マイクロソフトはパソコンの前のあなたの一挙手一投足をモニターすることになる。あなたがWindowsのデスクトップ上で何かするたびに、マイクロソフトと彼らの作ったアプリケーションは、あなたの好みや何かをどんどん学習していくことになる。検索エンジンは利用者にあわせて自動的にパーソナライズされ、あなたのパソコンで行なった検索と、他の人のそれがまったく違う検索結果になるということだってあり得る。 ともかく、ホッチキス氏の記事のポイントはこれ――Windowsのデスクトップとインターネット(Web)の境界は今後、どんどん小さくなっていく。 さて、最後はちょっとした自己PR。前にも書いたけど、申年の今年は検索エンジン業界にとってはすごく刺激的な1年になりそうだ。GoogleはIPO(新規株式公開)に踏み切りそうだし、新しいMSN Searchも間もなくお目見え。それにYahoo!はInktomiに回帰する。 そんな中で、検索エンジン業界をいったん振り返ってみるのにちょうどいいドキュメントが英語と日本語で公開されている。「検索エンジンの歴史」というのがそれ。実はぼくが働いているEC Japanの製作で、ぼくのボスである大内範行が主に書いたものだ。だからこれは宣伝なのだけれど、でもまあとてもいい情報だと思うから、1度読んでみてほしい。もし何かご指摘、ご批判があったら、ぜひ僕にメールを送っていただければと思う。 ■URL Search Engine Guideの記事 http://www.searchengineguide.com/hotchkiss/2004/0112_gh1.html 「検索エンジンの歴史」 http://seo.ecjapan.jp/product/am_history.htm (2004/1/28) [Reported by ジェフ・ルート&佐々木俊尚]
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