【連載】 第36回 サーチエンジンオーバードライブの夜 ●MSNの新検索エンジンはヨーロッパ向け? 何カ月も前からMSN searchのプレビューバージョンをウォッチしていた。そうしたら先日、このページでこんなことが書かれているのを発見。
「われわれのサービスを試し、フィードバックを送ってくれてありがとう。いただいた助言をもとに、今後も改善を図っていきたいと思います。準備ができ次第、新しい検索エンジンアルゴリズムのプレビューバージョンをリリースする予定です」 何が興味深いかというと、このメッセージがヨーロッパの11の言語で併記されていたことだ。でもアジアの言語は、ひとつも含まれていなかった。なぜだろう? ●銘柄コードは「GOOG」ご存じのように、Googleの株式取引がNASDAQで開始された。ティッカーシンボル(銘柄コード)は「GOOG」だ。売り出し価格が85ドルだったのに対し、19日の公開以降ずっと100ドルから110ドルぐらいをつけている。 SEO的視点から言えば、僕が言えるのはひとつだけ――株主からの影響や四半期ごとに利益を出さなければならないといった公開企業ならではのプレッシャーが、検索結果表示ページ(SERP)に悪影響を与えないでほしい。ガラクタや騒音に邪魔されず、きわめて適切な検索結果を提供するというポリシーがあったからこそ、Googleは今の地位を築いた。僕にできるのは、Googleはそのことを決して忘れないでほしいと願うことだけだ。 一方で、新規株式公開(IPO)はGoogleのブランドイメージを著しく向上させた。特に日本で、知名度はかなり上がったと思う。6月にYahoo!がGoogleをデフォルト検索エンジンから外し、自社のYahoo! Search Technology(YST)に切り替えるという波乱があったばかりだが、このブランドイメージ向上がYST騒動による損失を埋め合わせてくれるかもしれない。 ●Yahoo!の検索エンジンブログ米国のYSTチームが、自分たちのブログをスタートさせた。目的は、Yahoo!のスタッフたちが検索エンジンの世界の中で何をしているのかを見せることだという。 Yahoo!の検索部門を担当する上級副社長のジェフ・ウエイナー(Jeff Weiner)は、このブログについて、「われわれのチームが何を考えて何をしているのかを、われわれの言葉で語って(そして時にはゲストのブロガーの言葉も借りて)お見せするために作った」と書いている。まあでも、会社の機密情報がこっそり書かれているなんてことは期待しない方がいいだろう。言ってみればこのブログは新製品やアップデート情報、ベータ版情報などの新しいタイプのリリースのようなものだからだ。 でももし、これと同じようなブログの日本語版が書かれたら、僕はとても面白いと思う。六本木ヒルズで働いているYahoo!日本法人のスタッフたちの生の声を読んでみたいものだね。さらにいえば、Google日本法人は、こうしたブログの企画は考えていないのだろうか? ●サーチエンジンオーバードライブ先週、僕たちは「Search Engine Overdrive」というグループを立ち上げ、第1回のイベントを行なった。目的は、検索エンジン業界の人々――検索エンジン企業やSEO企業、インターネット広告代理店、Web制作会社といった企業のスタッフたち、そしてそうした仕事をするフリーランサーやライター、それから何よりもそうした分野で働いてみたいと思っている人たち――を結集させること。第1回イベントは、渡辺隆広と僕がコーディネートした。下北沢のAntenna Cafe/Barで開いたパーティーには55人が参加し、とても穏やかな雰囲気だった。第1回としては大成功だったね。少なくとも、ライバル企業の社員同士がケンカすることはなかった! 会場にはソウルミュージックが流され、FUJIMAMASからケータリングしてもらった料理が並び、みんなリラックスした表情で業界話を楽しんだ。いろんな面白い人に会えて、本当に楽しかった。たぶんみんなも楽しんでいたと思う。この場を借りて、お礼を言っておきたい。 この夜、パーティーには次のような企業の人たちが参加していた。ちょっとだけ紹介してしまおう。グーグル、Yahoo!、オーバーチュア、アイオイクス、SEOソリューションズ、アウンコンサルティング、トランスコスモス、LISTOP(三井物産)、CRM、iREP、GMO、UPPERWESTSTUDIO、サーチテリアなどなど。パーティーはとても素晴らしいひとときで、僕は参加してくれた人に対する感謝の気持ちでいっぱいだった。ついでに言っておくと、LisaのDJも素晴らしかった(お断り:彼女は僕の妻なので、当然音楽の好みが僕と一致しているのである)。 次回のイベントでは、形式張らないパネルディスカッションもやってみようかと考えている。形式張らないというのはつまり、料理とビールを楽しみながら行なうパネルディスカッションという意味。今から楽しみだ。 (2004/08/25) [Reported by ジェフ・ルート&佐々木俊尚]
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