【連載】 【編集部から】 ●GoogleとMicrosoftはこれからもユーザーを奪い合う?
Microsoftが開発しているエンジンの名前は「MSNbot」。あなたのWebサーバーのログを見てもらえれば、「msnbot/0.11」などと記録されたデータが見つかるはずだ。このログは、Microsoftの検索エンジンがあなたのサイトにアクセスし、検索のインデックスに登録していることを示すものだ。 OK。USA TODAYのこの記事で事態は明白になった。Microsoftは取りあえず、Googleを買収するつもりはないということらしい(それはつまり、GoogleはMicrosoftに買われる心配はなくなったということだ!)。Webの世界はご存じのように、さまざまな噂に満ちあふれている――そしてまあ、こうした噂がなかったら、ぼくもこんな記事ばかり書いてないで、本業に専念できるはずなんだけどね。 ともかく、これからもMicrosoftとGoogleはユーザーの獲得競争を続けるということになる。この2年、Googleのラボはさまざまな興味深いアプリケーションをリリースし続けてきた。たとえばGoogle Toolbarは、Web検索を手っ取り早く行なう方法を作り出してくれて、Googleのホームページにわざわざアクセスする手間を省かせてくれるようになった。Toolbarには、Google News(このサービスはまだ日本語に対応していないけれど)に連れて行ってくれるボタンが表示されている。Google Newsは秀逸なニュース集約システムで、過去に現われたどんなニュースポータルよりも使いやすい。ニュースサイトの巡回も、今までよりもずっと簡単に、しかも素早くできるようになった。それからGoogleには電卓機能もついている。計算だけじゃなく、度量変換もできる。これをToolbarで使えば、わざわざWindowsの「アクセサリ」から電卓を起動する必要はない。 ●GoogleがToolbarを開発した目的は?GoogleがToolbarを開発した目的は何だろう? ひとつ言えることは、Toobarによって人々は以前よりも素早くブラウジングをできるようになり、そして数多くのWebを見られるようになった。それによってGoogleも、アクセス数を増やしてきたというわけだ。 これに近い存在といえば、フリーウェアの多言語Webブラウザである「AvantBrowser」ぐらいしかないかもしれない。このソフトは、Google検索がビルトインされていて、Googleの存在を意識しないで検索できるようになっている。 とはいえ、AvantBroserもInternet Explorer互換のタブブラウザだ。Google Toolbarともども、IEの呪縛からは逃れられないでいたわけだ。ところがここに来て、Googleがまたも新たなアプリケーションをリリースした。その名は「Google Deskbar」。Deskbarの登場によって、人々はブラウザを使わずにWebの検索をできるようになる。IEの外に出る――それがGoogleの次のステップだったということだ。 ●GoogoleがIEの呪縛から解き放たれるツール「Google Deskbar」これは非常に戦略的で、重要なアプリケーションだ。何しろ、このDeskbarの登場によって、人々とWebの関係性が変わってしまうのかもしれないのだから。これからはわざわざWebブラウザを開かなくても検索が行なえる――別の言い方をすれば、これからは人々は“IEを開かなくても”検索が行なえるようになる。 Desbarはたいした面積ではないけれど、Windowsデスクトップという土地の一部を占領する。それからキーボードのショートカットも用意されている。このショートカットを駆使すると、すばらしく使い勝手は良くなる。お試しあれ。
一方、ライバルのMSNの最大のアドバンテージは、検索エンジンをIEやWindowsにバンドルできてしまうことだろう。そうなるとIEやWindowsの表示に誘導されて、多くの人が結果的にMSNの検索エンジンを使ってしまうということになるかもしれない。 ●そして、検索エンジン業界は三つ巴の戦いに?!2004年は、検索エンジン業界にとって興味深い1年となりそうだ。GoogleがいよいよMicorosftの王国へと切り込みを図ろうとし、そしてMicrosoftは独自の検索エンジンのリリースでこれを迎え撃つだろう。その戦いの火ぶたは、間もなく切られるはずだ。前にも言ったと思うけど、今後の検索エンジンは三つ巴の戦いとなる。GoogleとMicrosoft、それにYahoo!だ。Yahoo!は今やOvertureとInktomi、Fast、Altavistaという秀逸な検索エンジンをたくさん抱え、強大な力を持つようになっている。それからできれば、オープンソースの検索エンジンである「Nutch」にもぜひ頑張ってほしいものだ。 Webマーケティングの人間から見れば、戦いはぜひ1対1の対決ではなく、三つ巴でやってほしいというのが正直なところ。そっちの方がずっと業界的にはバランスがとれている状態だろうからね。 (2003/11/18) [Reported by ジェフ・ルート&佐々木俊尚]
|
|