自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第39回

自宅のLANでIPアドレスを固定するマイルールを決めてみる

 前回から数回に分けて、家庭内LANの機器をスッキリ管理する手法をお教えしている。LAN内のIPアドレスを分類して、頻繁に利用する機器のIPアドレスを固定化してしまおうというテクニックだ。LAN内に接続して活用する機器に、設定などでアクセスする際に便利になる。

自宅のLANに接続した機器でネットワーク経由で設定が必要な機器は、IPアドレスを固定すると使いやすい。固定するIPアドレスのマイルールを決めておこう

 前回、LAN内のIPアドレスを固定する機器と固定しない機器で分類することを解説した。スマホなどは固定しなくてOK。この設定後もそのまま使えばよい。どのような機器が固定すると良いかは前回解説を参照して欲しい。

 さて、その仕組みを少し解説しよう。この家庭内LANのIPアドレスの自動割り振りは「DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバー[*1]」という機能を使っていて、ルーター機能と一緒に使われている。その名のとおり「動的にホスト(ここではIPアドレスと考えておけばよい)を設定」してくれる機能。家庭内のLANにWi-Fiなどで機器がルーターに接続されたら、使っても良い空いているIPアドレスを割り当てて接続可能にしてくれる。通常はルーター機能をオンにしていれば自動的にオンになっていて、特に意識しなくても利用している機能だ。DHCPサーバーは自宅LAN内で動作させるのは1つだけにしておく。

[*1]……ここで扱っているのはIPv4での機能で、家庭内でのIPv6での接続では、ルーターからのRA(Router Advertisement)を受け取り自動でIPアドレスが決まっている。ほかにIPv6では似たようなDHCPv6サーバーという機能もあったりもするのだが、プライベートアドレスという概念がない。基本的に家庭内LANにてIPアドレスを固定し設定画面にアクセスする目的にはIPv4にて使えれば良い。インターネットへIPv6で接続するには、参照しているルーター(デフォルトゲートウェイ)がIPv6で接続していれば、接続した機器もそのままIPv6でも接続されるようになる。

 初期状態では、ルーターの設定画面にアクセスするIPアドレスの一番右の数値(ホストアドレスとか第4オクテットと呼ぶ)の「1」がルーター用で、そこから順に「2~」設定した個数分が割り当てられるようになっている。

 こんな感じだ。

「192.168.1.1」←コレがルーター
「192.168.1.2」←自動で割り振られたWi-Fiアクセスポイント
「192.168.1.3」←1台目に接続したスマホ
「192.168.1.4」←2台目に接続したスマートスピーカー
(以下接続した順に自動で割り当て)

 これを見てなんとなく分かったと思うが、「192.168.1」部分がネットワークの数値で、最後の「1、2、3」と機器別に割り振られていき「254」まで利用できる。ネットワーク部の数値はプライベートアドレスの範囲内で自由に変えられるが、基本的にそのまま使ってしまって構わない。ここで設定するのは最後の数値の割り当てに関したルールだ。

 具体的に見ていこう。自動で割り振られる使っても良いIPアドレスを開始するホストアドレスと個数、割り振りをし直す時間の設定を行って、固定した範囲を作り出せばよい。この2種のIPアドレスがバッティングしないことが重要。筆者宅の一例で見てみよう。

「192.168.1.1」←コレがルーター
「192.168.1.2」←使えるプライベートアドレス始まり
 【固定用】この間はWi-Fiアクセスポイント系の固定IPアドレスで使う
「192.168.1.10」
 【固定用】この間はNASとかビデオなど固定IPアドレス機器用
「192.168.1.100」←ここから★DHCPで自動割り振り開始
 【自動用】この間がDHCPで自動で割り当てられる
「192.168.1.200」←ここまで★100台分自動接続できる
 【予備】この間は一時実験など予備。基本使っていない
「192.168.1.254」←使えるプライベートアドレス終わり

 数値の前の方に、固定用の空き部分を作っておく。今後固定する機器が増えることを予想して、少し多めにとっておこう。固定用を2種にしているのは、ちょっと分かりやすくしているだけで深い意味は無い。

 ここでのポイントは「★」を付けたDHCPサーバーで自動割り振り開始のアドレスと割り振れる個数。この設定値を自分で決めて、ルーターに設定する。これより前を固定用として使っている。

 この設定をした後の機器のIPアドレス固定は、機器側でIPアドレスを記入して行う。この範囲内でバッティングしないように気をつけながら設定画面で記入する。自動割り当てで使う機器は初期状態のままで使えばよく、たいていはDHCPサーバーを参照する設定になっている。

 自動接続が100台分とってあるが、実際にそれほど多くの機器が接続するワケでもない。念のため広くとっているだけだ。Wi-Fiルーターで同時接続ができるのは、多くても20台程度。ここで気を付けることは、最後の割り振りの「254」を超えないようにすることだ。この場合、最終値「192.168.1.255」は使えないので注意しよう。

 必ずしも上記の通りでなくて構わない。自分の使いやすいマイルールで考えてみてみよう。自動割り当て台数を少なめにして、後半の100や200番台で固定IPアドレスを使うという方法もある。

 ちょっとややこしいかもしれないが、一度設定してしまえば、ルーターを交換するまでほぼ半永久的に使い続けられる。ここはひとつ頑張っておこう。次回は、実際のルーターでの設定方法を見てみる。

今回の教訓(ポイント)

自宅内LANで自動割り振り開始のアドレスと割り振れる個数を決めておく
固定用IPアドレスを使うためにマイルールを考えて決めよう。

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。