自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
第15回
Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
電波の状態も見てみよう
2018年3月19日 12:30
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
- 第22回:新たに設定したWi-Fiルーターにうまく繋がらないときの対処法
- 第23回:家族のスマホWi-Fi接続を簡単に済ませるとっておきテク
- 第24回:新しめのiPhoneやiPad、Mac同士なら「Wi-Fiパスワード共有」が簡単
- 第25回:タッチだけでWi-Fi接続させるNFCタグをAndroidスマホで作ってみた
- 第26回:2018年夏の良コスパWi-Fi
- 第27回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格1万円前後、2018年夏の“良コスパ”お勧め製品
- 第28回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格7000円以下のお勧め製品
- 第29回:Wi-Fiルーター接続後に必ずやっておきたいこと
- 第30回:ファームウェアのアップデートをZIPファイルから行うには
- 第31回:Wi-Fiルーターの時刻を自動で合わせる
- 第32回:スマホの時刻を自動で合わせるには
- 第33回:パソコンの時刻を自動で合わせるには
- 第34回:もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?
- 第35回:Wi-Fiが二重ルーター状態になっているかを確認するツールは?
- 第36回:Wi-Fiが二重ルーターになっているか、実際の確認方法は?
- 第37回:二重になったWi-Fiルーターをオフにするには?
- 第38回:自宅のLANでIPアドレスを固定すると便利な機器は?
- 第39回:自宅のLANでIPアドレスを固定するマイルールを決めてみる
- 第40回:ルーターでIPアドレス配布するルールを設定する
- 第41回:Wi-FiアクセスポイントでIPアドレスを固定して使うには?
- 第42回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(1):軽微なトラブルは再起動
- 第43回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(2):回線接続トラブルならサポートを
- 第44回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(3) 光回線の接続は確実に
- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)
前回まででは、初期状態のSSIDと暗号化キーやボタンプッシュを使った自動接続を試してみた。ここから自力でWi-FiルーターにオリジナルのSSIDと暗号化キーを設定することをお勧めする。今回は設定する前に、このSSIDについて少し知っておきたい心がけを確認しておきたい。
これまでも頻繁に出てきているが、このSSIDはWi-Fiルーターを判別する名前だ。Wi-Fiルーターに接続するときに接続先を選ぶ目的で使われる。
Wi-Fi接続時に、このようなリストで選ぶのは、よく見かける画面だろう。
このように、自分が使っているWi-FiのSSIDは、周辺でサーチすると表示される仕組みになっている。Wi-Fiルーターの電源が入っていれば常時周囲に発信されていて、電波の入る圏内なら、Wi-Fi機器でSSIDが受信できる。画面を見ると、似たような数字[*1]やメーカー名のSSIDで埋め尽くされることが多い。多くが出荷時のままやボタンプッシュを使った自動接続で使い続けていることがわかる。
こういったSSIDのままだと、自分のWi-FiルーターのSSIDが埋もれてしまって判別しにくいことや、メーカー名がバレるのは、セキュリティを考えるとあまり好ましくない[*2]ため、オリジナルの自分が判別しやすいネーミングに変更して使うのがベストだ。
[*1]……ちなみに数字の羅列はMACアドレスになっているパターンが多い。先頭6文字はメーカー名。「0024A5」はバッファロー、「A8A795」はFoxconnなどと、製造メーカーがわかる。
[*2]……通常、メーカー名がわかったところで、何ということはないが、特定メーカーのルーターに脆弱性があったケースなどで、特定メーカーが狙われることも考えられる。
このWi-Fiルーターが発する電波の状況をチャンネルスキャナを使って可視化してみよう。さまざまな無料ツールが提供されていて、SSID別に使用チャンネルと受信信号強度の確認が手軽に可能だ。ただし、残念ながらiOSにはこの手のWi-Fiスキャナは提供されていない。
今回はAndroid版の「WiFi Analyzer」を使ってみた。SSIDごとにどのチャンネルを使っていて受信信号強度がどの位あるかがわかる。Wi-Fiルーターの設定で空いているチャンネルに設定するときに便利なのだが、最近は混んでいて空きチャンネルなど無いに等しい。画面のSSID「Pol」が筆者宅のWi-Fiルーターになっている。
このサーチでもわかるように、SSIDは探せば簡単に見えるモノと覚えておこう。電波の強度から、近づけば場所もおおよそではあるが判別する。そのため、個人が特定できるような名前は付けないことが鉄則。また、日本語も付けられるが、基本的に半角英数字にしておいたほうが無難だ[*3]。1文字目に記号や数字を入れておくと、同じ受信信号強度の時に上に表示されるので多少便利かもしれない。接続に使われるので、周囲でダブらないネーミングにすることも重要だ。
[*3]……子機側で日本語に対応していない可能性が想定されるためだ。
- Android「WiFi Analyzer」(Google Play)
- Windows「WiFi Analyzer」(窓の杜)
- macOS「ワイヤレス診断」
Spotlightを使って探す。起動したら[Command]+[Option]+[4]キーを押すと、リスト表示ではあるがチャンネルごとのSSIDと受信信号強度が表示
このSSIDは、設定によって隠すことも可能だが[*4]、これはあまりお勧めできない。接続時の手順が煩雑になるだけでなく、子機側が常に接続したSSIDを探している状態になるので、Wi-Fiルーターと接続を切っているときに(例えば自宅でステルスWi-Fi設定で使っていて、そのままスマホを持って外出するような状態だ)、子機の周囲に常時、自分のSSIDをまき散らすことになる。セキュリティを考えて隠す設定にしたのに、モバイル機器の利用では、それが逆に仇となる。また、隠蔽したSSIDを探し出すことは、子機側から積極的にスキャンをすればいいだけ[*5]なので特に難しいことではない。根本的なセキュリティ対策にはならないのだ。
[*4]……「SSIDステルス」と呼ばれる。バッファロー機器では「Any接続拒否」という設定になっている。
[*5]……ステルスにしていないSSIDはWi-Fiルーター側から常に発信されているが、ステルス設定にすると子機側の要求に応じて発信される。いずれにしても無線通信する際には発信される。
もう1つ、Wi-FiルーターのSSIDはGoogleやApple、Microsoftなどの位置情報サービスにて自動収集されていて、GPSの位置情報と紐付けされている。スマホが特定のWi-Fiルーターに接続した場所から[*6]、GPS信号が無くてもスマホの位置がわかるようにするためだ。自宅のWi-Fiルーターでこのサービスに登録されると[*7]、自宅のWi-Fiルーターに繋がった時点で自宅にいるということが正確に把握できるようになる仕組だ[*8]。
この機能は便利なのだが、サーバーに登録されないようにしたい場合には、SSIDの末尾に「_nomap」を付けたSSIDに設定する必要がある。例えば、筆者はモバイルルーターのSSIDを「_nomap」を付けたSSIDにしている。
- Googleの位置情報サービスに登録されたアクセスポイントを管理する(Google マップ ヘルプ)
[*6]……実際には複数のWi-FiルーターのSSIDとMACアドレス(BSSID)、受信信号強度から位置を特定している。GPS信号があるときはそれも加味されるほか、携帯電話基地局の情報、ジャイロ、コンパスなども活用して精度を上げている。
[*7]……GoogleではAndroidスマホでWi-Fiルーターに接続した時点で登録され、Google マップ利用時に反映されることになっている。
[*8]……余談だが、自宅で使ったWi-Fiルーターを他人に譲渡するときには、この点に注意する。そのためにも、初期SSIDは位置情報サービスに登録させないほうがよい(実際はMACアドレスも登録される)。SSIDをオリジナルに変更して使用し、工場出荷時にリセットした初期SSIDで譲渡すれば位置情報サービスには載っていない状態になる。初期SSIDで運用してしまうと初期SSIDが位置情報サービス載ってしまうので注意。載ってしまったSSIDを位置情報サービスから削除するには、一度SSID末尾に「_nomap」を付けて位置情報サービスに登録する。ちなみにAppleのサービスではこのSSIDに「_nomap」を付ける手法は利かない。最悪のケースでは、自宅場所を他人に正確に教えてしまうことになる。心配ならWi-Fiルーターを知らない人に譲渡しないように心がけて欲しい。
今回は少々お勉強のようになってしまったが、次回も続けて暗号化キーについてお教えしよう。もう少しお付き合い願いたい。この2つの基礎知識を知ったあとに設定を実践してみると、設定方法がよりわかりやすくなるはずだ。
今回の教訓(ポイント)
SSIDはWi-Fiルーターの名前。自分がわかりやすい名前にする。
常時周囲に電波で発信されていて、位置情報サービスでも利用されているため、自分で設定してコントロールすることが重要。
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