アラフィフすずまりの「今日も元気に仕事しよう!」

女性とがんと睡眠と。考えさせられたイベントがあった

(左から)女優の古村比呂さん、ライズTOKYO株式会社代表取締役社長の宮崎誠司氏、同社睡眠コンシェルジュの青野麻紀子氏

 寝具メーカーのライズTOKYOが「HIRAKU TO スイミン・スイッチ 睡眠の質を高めるヒント」と題したイベントを7月6日に開催しました。

 イベントは二部構成になっており、前半はライズTOKYOの睡眠コンシェルジュ、青野麻紀子氏による睡眠に関するセミナーや、後半は女優の古村比呂さんを囲んでのトークタイムがありました。

 集まったのは、がん治療を経験した女性たちとそのパートナー合計10名ほど。現在も治療中という方もいらっしゃいました。古村比呂さんはブログで癌の治療経験をシェアしており、このイベントでも参加者たちが自分のがんの症状や治療経験、悩みなど赤裸々な体験を語り、情報交換も行いました。

青野氏のセミナーでは、睡眠は疲労の回復、記憶の整理・定着、免疫力を高めることになると説明されました
女優の古村比呂さん。彼女のブログを支えにしているという参加者も多かったです

 少しでも自分の睡眠をよくしたいと思っている参加者のみなさんは、休憩時間に展示されているマットレスを体験。「実際に体験できるのはありがたい」との声がありました。

展示されていたライズTOKYOの枕やマットレス
ライズTOKYOでは質のいい寝具を手の届きやすい価格で提供することをモットーとしているといいます

治療と不眠の悩みに衝撃

セミナーの風景

 これまでいろんな睡眠のイベントに参加してきましたが、これほどまでに睡眠の問題が切実な人たちにはお会いしたことはありません。それくらい濃いひとときでした。主催したライズTOKYOの宮崎氏も20年前に胃がんを経験されているそうですが、それでも言葉を失ってしまったそうです。

 従来の睡眠に関するセミナーというのは、統計上の睡眠時間の低下を軸にした問題提起がメインとなります。言い方はよくないですが、自分で進んで睡眠不足になっている人に、睡眠の大切さを説いています。

 しかし、今回は違いました。特に自分の症状などを話しつつ交流する第二部では、普段聞けない体験談を伺うことができました。

交流会の様子

 がんの治療の過程で不眠を訴える方が多かったのです。ホルモン療法の副作用で更年期症状が強くなり、暑さを感じたり顔が赤くなる「ホットフラッシュ」がひどくて眠れないという方もいました。夜も2時間おきにトイレに行かなくてはならず、寝たくても眠れないという声もありました。

 お話を伺っていて、抗がん剤治療の辛さそのものも、もはや想像することはできないと思わされましたが、さらにそこに不眠の問題が絡んでくるというのは、辛いという言葉では言い表せないでしょう。睡眠不足になれば、戦う意欲が損なわれる恐れがありますから、深刻な問題です。

参加者の話に真剣に耳を傾ける古村さん

 「がんになる前は楽しかった睡眠が、今日も眠れないかもしれないという恐怖になってしまった」という涙ながらの言葉が胸に刺さりました。

 睡眠薬を前に、飲んでいいのかと苦悩するといいます。せっかく処方された薬も、身近な人の「そんなものに頼ってはいけない」という意見で飲めなくなってしまうようでした。

 筆者も年齢的に睡眠の時間も質も低下しがちで、さらにストレスが加わると中途覚醒したまま眠れなくなることもあり、薬の活用経験があります。それゆえに、とても他人事ではなく、さまざまな思いが頭の中を駆け巡っています。

 中には活動量計の「fitbit alta」を手首に巻いて、自分の睡眠と向き合っている方もいらっしゃいました。睡眠の知識があったことで事前に回避できた問題もあると経験しているので、やはり1人でも多くの方に睡眠について知ってもらいたいと改めて思った次第です。

 最後に宮崎氏は「とても勉強になった。我々もできることから一歩一歩やっていきたい」とコメントしました。

「できることから一歩一歩やっていきたい」と宮崎氏
古村さんの“スイミン・スイッチ”(夜、布団に入るという行為が楽しみになるような眠る前の準備)は、好きな本や言葉に触れることや、自分を褒めることだそうです
 

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すずまり

プログラマからISPの営業企画、ウェブデザイナーを経て、現在はIT系から家電関連まで、 全身を駆使してレポートする雑食性のフリーライターに。主な著書に「Facebook仕事便利帳」「iPhone 4 仕事便利帳」(ソフトバンククリエイティブ)など。 睡眠改善インストラクター、睡眠環境診断士(初級)。