2019年3月27日 06:20
「睡眠の日」にあたる3月18日、医療・介護用ベッドなどの製造・販売を手掛けるパラマウントベッド株式会社が一般消費者向けの「Active Sleep」というブランドとその新製品を発表しました。
睡眠状態に応じて自動的にリクライニング角度が変わるベッド「Active Sleep BED」(19万円~)、スマートフォンで硬さを調整できるマットレス「Active Sleep MATTRESS」(19万円~)、睡眠状態をモニタリングできる「Active Sleep ANALYZER」(5万円)の3種類です(価格はいずれも税別)。
これらの製品は伊勢丹新宿店で3月20日より体験できるほか、パラマウントベッド直営のショールーム「眠りギャラリー」で購入できます。今後、全国の家具店でも購入可能になる予定です。
医療用ベッドの技術が生きている「Active Sleep BED」
Active Sleep BEDは睡眠モニター用デバイス「Active Sleep ANALYZER」を搭載しており、睡眠状態に連動してリクライニング角度が自動的に変わるのが特徴です。コントローラーを使って手動で変えることもできます。
上半身部分の背上げ角度が30度以上だった場合、眠ったことを感知すると、ベッドが静かに自動運転を開始し、1分に1度のペースでフラット状態に角度が変わります。フラット状態へ移行する動作の合間で体動があった場合はベッドの動きを止めるなど、眠りを妨げないような配慮もあります。起床時にはベッドの背上げ角度が10度まで自動的に上がり、目覚まし時計やアラームを使わず心地よく目覚めることができます。
寝るときにベッドの背を上げるとリラックスしやすくなり、フラット状態になると熟睡するために必要な自然な寝返りが打てるようになるそうです。
パラマウントベッドは1947年創業で、70年以上にわたって医療用ベッドや高齢者施設、在宅介護事業を展開しています。そこで培った技術とノウハウをもとに、睡眠には「入眠角度」が大事という答えにたどり着いたそうです。
角度と呼吸のメカニズムを研究している、神戸大学医学部教授の石川朗氏によると、寝ているときは内臓が横隔膜を圧迫するそうですが、「背上げ20度の角度で横隔膜の位置が3.4cm下がる」といいます。角度をつけて眠ると内臓が下がるため呼吸しやすく、特に息を吐くのが楽になるというのです。
足下のリクライニングも可能なので、体調や目的に合わせていろんな角度にすることで、呼吸を楽にするだけでなく、骨盤にかかる力を緩ませたり、むくんだ足を楽にするなど、就寝以外にもいろいろな使い道があるベッドというわけです。
なお、ラインアップはシングル/セミダブルなので、パートナーと2人で使いたいときは、2つくっつけて使うことになるそうです。
6つの部位ごとに、硬さを自在に変えることができる「Active Sleep MATTRESS」
マットレスは使っているうちに腰の部分がへこんだり、反発力が弱くなったりします。また、利用者の体型、とくに体重が変わるとマットレスそのものを選び直す必要が出てきます。また、いいと思って買っても、しばらく使ってみたら合わなかったということも起こります。
そこを解決しようとしているのが「Active Sleep MATTRESS」。内部に23本のエアセルとポンプを内蔵しており、上下をウレタンで挟んでいます。このエアセルひとつひとつに空気を送りこんで硬さを調節できるのです。1本ずつというわけではなく、実際には体を支える6カ所の硬さを、スマートフォンのアプリで10段階で調整します。これにより体型や好みが変わっても、買い替えることなく部分調整が可能というわけです。エアセルやポンプの故障を除けば、ヘタりにくいマットレスともいえそうです。
「Active Sleep BED」のマットレスとして使うだけでなく、これ単体でフラットなマットレスとして使ってもOKです。
心拍、呼吸、体動をモニタリング、単体でも使える「Active Sleep ANALYZER」
「Active Sleep ANALYZER」は、心拍、呼吸、体動などから睡眠のスコアを出せる睡眠のモニター用デバイスです。得られたデータは専用アプリ「Active Sleep App」で管理します。
自分の睡眠がどうなっているかは見たいけれど、手首にトラッカーを付けたくないという方がこれを単体で使ってもいいそうです。ただし、1人用なのでペアで眠っている寝具には向いていません。
いきなりスリープテックど真ん中のベッドが出てきた!
突然すごいベッドが出てきたぞと思いました。これまで日本のベッドのスマート化はまだ先かなと思っていたのですが、これはCES 2019にあってもまったくおかしくないです。パラマウントベッドの説明によると、スリープテックを意識してきたわけではなく、医療用ベッドの老舗として長年の経験と技術を民間向けに活用したそうです。
筆者の場合、高反発マットレスの上でゴロゴロするのが好きなのですが、その際、枕をいくつか重ねてそこにもたれながら本を読むことがよくあります。その態勢がとてもリラックスできるからだったのですが、呼吸のしやすさも関係していたようです。その姿勢でいるとよく寝てしまって全然読書が進まないと思っていましたが、理由が分かりました。
配布された資料によれば、“約4人に3人が良い睡眠には「角度」をつけることが大切だということを知らない”とありました。フラットな敷き布団に寝るしかない場合、知りようがないともいえるのですが、これは自らの体験と照らし合わせても、貴重な情報だと思いました。
会場で実際に寝てみたところ、角度調整はとてもスムーズかつ静かに動作していました。会場の喧噪もありましたが、おそらく動作音は寝ていたら気にならないでしょう。
硬さの調節もスマートフォンで簡単にできました。自分で寝心地を確認しながら調整ができるというのはすごいことだと思います。
Active Sleep BEDの中のActive Sleep ANALYZERは取り外し可能なので、もしいびき検知機能がついたら、いびきでベッドをリクライニングさせるなんてことも不可能ではないそうです。当然IoT対応も可能でしょう。
硬さだけでなく角度でも眠りをサポートし、拡張性にも期待が持てるベッド、目が離せなくなりました。
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