サポート終了カウントダウン(Office 2010編)

Office 365にトラブルが発生! そのとき管理者は何をするべき!?

 2019年11月19日、Office 365に障害が発生した影響で、日本やオーストラリアのユーザー宛てに、外部から送られたメールの受信が遅れるという事態が発生しました。そこで今回は、このような状態になったときに管理者として行うべきことの1つである、サービスの正常性を確認するための方法について解説します。

大手ITベンダーのクラウドサービスでも、油断は禁物!

 大手ITベンダーが提供しているクラウドサービスというと、「トラブルはなく安定して使えるもの」というイメージを抱きがちです。でも実際には、トラブルが発生してサービスが一時的に使えなくなる、といった事態が十分に起こり得ます。

 例えば2019年8月23日には、「Amazon Web Services」の東京リージョンで大規模な障害が発生し、「Amazon EC2」で提供される仮想サーバーの一部が停止したことから、大きな話題になりました。

 そしてMicrosoftが提供する「Office 365」でも、11月19日にはアジア地域においてメール受信の遅延が発生したほか、翌20日には「Exchange Online」や「SharePoint Online」などにアクセスできないという問題が発生しています(現在はいずれも復旧)。

 このようなトラブルが発生した際、管理者としてまず行うべきなのは情報収集です。特に、ベンダー自身が提供する一次情報の確認は欠かせません。

 Office 365であれば、まず管理者権限を持つユーザーでサインインした後、「Microsoft 365管理センター」を表示します。そしてサイドメニューにある「正常性」のサブメニューから「サービス正常性」を選択すると、Office 365の各サービスについての正常性(サービスの稼働状況)が確認できます。

管理者権限を持つアカウントでOffice 365にサインインした後、「Microsoft 365管理センター」を開き、サイドメニュー「正常性」―「サービス正常性」へアクセスする。このときのタイミングでは「Office 365ポータル」と「SharePoint Online」にインシデントやアドバイザリが公開されていた

Office 365管理センターでトラブル情報を確認するには

 Microsoft 365 管理センターでは、Office 365に含まれるサービスに何らかの問題が発生していると、サービス名の右側に赤い三角形の「!」アイコンが表示され、インシデント情報へのリンクが表示されます。また情報提供を目的としたアドバイザリが公開された場合は、青い丸の「!」アイコンが現れます。

 この画面で、インシデントやアドバイザリへのリンクをクリックすると、それぞれのドキュメントの一覧が表示されるので、チェックしたいドキュメントをクリックします。これにより、具体的なインシデントやアドバイザリの内容が画面の右側に表示されるという仕組みです。

Office 365ポータルに関するインシデント(MO196338)の内容を表示したところ。状態やユーザーへの影響、最新メッセージが表示される

 なお、過去のインシデントおよびアドバイザリは、「履歴」のリンクをクリックすることで参照できます。今回発生したメール受信の遅延は、「EX196121」というIDでインシデントに関するドキュメントが公開されています。

過去に公開されたインシデントやアドバイザリは「履歴」から確認することが可能
日本やオーストラリアで発生した、メール受信の遅延はすでに解決済みで、事後レポートも公開されている

 ただ、そもそもOffice 365にアクセスできなくなると、こうした情報を参照することもできなくなります。そこでチェックしたいのが、MicrosoftがTwitter上で提供している情報です。

 アカウント名は「@MSFT365Status」で、障害が生じると、その時点の状況などについてのツイートが投稿されます。このアカウントをフォローしておくか、あるいはウェブブラウザーでアカウントのページをブックマークしておき、定期的にチェックするといいでしょう。

Microsoftでは、Twitterの「MSFT365Status」でMicrosoft 365の障害状況を報告している

 そして、このような障害が利用しているクラウドサービスで発生した際のため、事前に社内に通達する手段を検討しておくべきでしょう。このような場合、メールで通知を行うことが一般的ですが、メールの送受信に障害が生じることもあります。例えば、イントラサイトに情報を掲載するといった、別の手段もあらかじめ検討しておきたいところです。

 さらに利用しているクラウドサービスに障害が発生したときにどのような影響が生じるのかを把握し、可能であれば代替手段まで用意しておけば、トラブルにスムーズに対応できるでしょう。

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川添 貴生