サポート終了カウントダウン(Office 2010編)

Office 365とOffice 2019、似て非なる2つのOffice

サブスクリプションと永続モデルはどっちがお得?

 2020年1月にサポート終了を迎えるWindows 7に続き、同じく2020年10月には、Office 2010のサポートが終了を迎えます。

 移行先は、Windows 7がWindows 10となる一方、Office 2010はOffice 365への移行が想定されます。Windowsとは違って無料の移行期間などが用意されておらず、ライセンスの形態も大きく変わるため、以降にあたって戸惑っている人も多いでしょう。

 この連載では、Office環境をスムーズに移行できるよう、ライセンスの違いや移行の必要性などを確認していきます。(編集部)

 前回解説したように、「Office 2010」は2020年10月にサポートが終了し、それ以降はセキュリティ更新プログラムが提供されなくなるため、そのまま使い続けるのは危険です。安全にPCを使い続けたいと考えるのであれば、サポート終了までに最新版に移行すべきでしょう。

Office 365はサブスクリプション、Office 2019は永続ライセンス

 ここで悩ましいのが、現在のOfficeの最新版は「Office 365」と「Office 2019」の2つがあるという点です。

 両者の最大の違いはライセンス形態で、Office 365は、料金を月額あるいは年額で支払うサブスクリプションモデルであるのに対し、Office 2019は従来のOffice製品と同様に永続ライセンスで、最初にライセンス使用料を支払うだけで済みます。

 なお、Office 365にはさまざまなプランがあります。個人ユーザー向けに提供されているプランは「Office 365 Solo」と呼ばれ、料金は月額が1274円、年が1万2744円です。

 一方、Office 2019には、WordとExcel、Outlookが含まれる「Office Personal 2019」と、それにPowerPointが追加された「Office Home & Business 2019」があります。価格はOffice Personal 2019は3万2184円、Office Home&Business 2019が3万7584円です。

Microsoftによる「Office 365 Solo」と「Office Home & Business 2019」、「Office Personail 2019」の比較。家庭向けに提供されているOffice製品はこの3つとなる

 Office 365とOffice 2019は、このように料金体系が大きく異なるほかにも、さまざまな違いがあります。詳しく見ていきましょう。

Office 365なら常に最新の状態で利用できる

 まず、Office 365 SoloとOffice 2019の違いの1つに、利用できるアプリの種類があります。

 Office Personal 2019とOffice Home & Business 2019で使えるアプリは前述した通りですが、Office 365 Soloでは「Word」、「Excel」、「PowerPoint、「Outlook」に加え、DTPソフトである「Publisher」と、データベースの「Access」を利用することが可能です(PublisherとAccessはWindows版のみ)。

Office 365 Soloに付属するDTPソフトの「Publisher」。テキストや画像などのオブジェクトを自由に配置することが可能で、ポスターやカレンダーを手軽に作成できる

 また、基本的に新機能が追加されないOffice 2019に対し、Office 365では毎月新機能が追加されることも大きな違いでしょう。

 例えば2019年6月には、WordやExcel、PowerPointなどで使える「アイコン」に300種類以上が新たに追加されたほか、ドキュメントにコメントを追記する際、「@(ユーザー名)」でほかのユーザーを指定し、メンションを送ることも可能になっています。

2019年6月にはWordやExcel、PowerPointで使える「アイコン」が300種類以上が追加された

インストール可能台数に制限がないOffice 365

 Officeアプリをインストールできる台数も、Office 365 SoloとOffice 2019では大きく異なります。

 Office 2019の場合、インストールが可能なPCの台数は、同一ユーザーが利用する2台のWindows PC(Office Home & Businees 2019はMacへのインストールも可能)ですが、Office 365 Soloは、同一ユーザーが使用するWindows PCまたはMacであれば、インストールが可能な台数に制限はありません。

 さらに、Office 365 Soloであれば、Android版またはiOS版のOfficeアプリで、フル機能が利用できます。複数台のPCやモバイルデバイスでOfficeアプリを使いたいのであれば、Office 365 Soloは極めて魅力的な選択肢となるでしょう。

iOS版「Excel」。Office 365 Soloのユーザーであれば、全ての機能を利用してドキュメントの作成や編集が行える

 そのほか、オンラインストレージ「OneDrive」の容量が1TB分提供されるほか、Skypeを利用して固定電話や携帯電話に60分間無料で通話できるなど、Office 365 Soloにはさまざまな特典が用意されています。

Office 365の特典をどう考えるかが選択の鍵

 単純に価格だけで考えた場合に最もお得なのは、現時点でOffice 2019を購入し、サポート終了期限である2025年10月までバージョンアップせずに使い続ける方法でしょう。

 Office 365 Soloの利用料が変わらないと仮定した場合、2025年まで年額で6年間使い続けると7万6464円がかかりますが、Office 2019ならPowerPointが利用できるOffice Home & Business 2019でも3万7584円を最初に支払うだけなので、Office 365 Soloのおよそ半額で済む計算です。

 しかし、2025年までに新バージョンがリリースされて(その可能性は高いでしょう)バージョンアップを行えば、Office 2019を購入する価格面でのアドバンテージはほぼなくなります。

 さらに同一ユーザーであればインストール可能な台数に制限がないこと、Windows PCやMacだけでなく、AndroidやiOS版アプリのフル機能が使える点なども考慮すると、Office 365 Soloは十分に魅力ある価格設定だと言えるのではないでしょうか。

 次回は、Office 365で用意されている各プランの違いについて、詳しく紹介していきます。

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川添 貴生