Microsoft 365 Personal徹底解説

第5回

Microsoft 365 Personalで「OneDrive」を使い尽くす

 Microsoft 365 Personalには、デスクトップ版/モバイル版のOfficeアプリに加え、前回紹介した「Skype」での60分間無料通話など、さまざまな特典が用意されている。それらの中でも特に魅力的なのが、「OneDrive」で1TBものストレージ容量が提供される点だろう。今回はこのOneDriveについて詳しく見ていきたい。

OneDriveは最強のバックアップツール!?

 クラウド上にファイルを保存しておけるオンラインストレージとして、Microsoftで提供しているのがOneDriveである。無料で使えるのは5GBに過ぎないが、Microsoft 365 Personalを利用していれば、1TBもの容量が提供される。

Windows 10では「OneDrive」がエクスプローラーに統合されているため、ローカルのHDD/SSDにあるファイルと同様に、OneDrive上のファイルを扱える
OneDrive上のファイルを右クリックして[共有]を選べば、自分以外のユーザーがそのファイルにアクセス可能なURLを取得できる。これをメールなどで送れば大容量ファイルを簡単に共有できる

 これだけの容量があれば、日常的に使うファイルの大半、あるいは全てをOneDriveに保存するといったことも不可能ではないだろう。

 OneDriveを使う基本的なメリットの1つに、複数台のPCでファイルを同期できることが挙げられる。例えば自宅ではデスクトップPC、外出先ではノートPCなどと使い分けている場合、OneDriveを使って常に同期していれば、いちいちファイルをコピーしたりすることなく、どちらのPCでも最新のファイルが使えるわけだ。

iOS用の「OneDrive」アプリを利用してアクセスしたところ。ノートPCがなくても、OneDriveにアップロードしているファイルをすばやく参照できるのは便利だ

 OneDriveへファイルを保存しておけば、いつでもスマートフォンやタブレット端末を使ってファイルを参照できることも大きなメリットだ。Microsoftがモバイルデバイス向けに提供しているOneDriveアプリを利用すれば、クラウド上のファイルへ容易にアクセスできる。

 さらに、モバイルデバイス向けのWordやExcel、PowerPointの各アプリと組み合わせれば、外出先でファイルを開き、必要に応じて編集することも可能だ。

 OneDriveは、ファイルのバックアップ先としても有効だ。ローカルにあるファイルをOneDriveへアップロードすれば、ローカルとクラウドの双方でファイルを保持できるので、ファイル喪失のリスクを低減できる。

WordやExcel、PowerPointから直接OneDriveへファイルを保存できる。さらに、OneDriveとローカルのPCを同期しておけば、2つの場所にファイルを保存することになり、ファイル喪失のリスクを低減できる
OneDriveのバックアップの設定画面。「デスクトップ」と「ドキュメント」、「ピクチャ」フォルダーに保存したファイルを自動でクラウドへバックアップするように設定できる

 また、手軽にバックアップできることも大きなメリットだ。アプリからダイレクトにOneDriveへファイルを保存すれば、意識することなくバックアップができる。さらに、OneDriveには「デスクトップ」や「ドキュメント」、「ピクチャ」フォルダー内にあるファイルを自動でクラウド上にバックアップしてくれる機能もある。

 これにより、特別にバックアップを意識したり、面倒な設定を行ったりすることなく、簡単にファイルの保存場所を二重化できる。このバックアップ用途だけでも、OneDriveを使う価値があるだろう。

PC側のHDD/SSDの容量を節約できる「ファイルオンデマンド」

 現在のOneDriveには、「ファイルオンデマンド」と呼ばれる機能もある。これは、クラウド上にある全てのファイルを同期するのではなく、ファイルを使用するタイミングでクラウドからダウンロードすることで、PC側のHDD/SSDの容量を節約するというものだ。

 複数台のPCを利用していて、その中にHDD/SSDの容量が少ないPCが存在している場合、OneDriveへ多くのファイルをアップロードすると、それによってPCのHDD/SSDが圧迫されるといった事態が生じてしまう。そこでファイルオンデマンドの機能を利用し、必要なファイルだけをダウンロードするかたちにすれば、HDD/SSDの容量を節約できるわけだ。

 ただ、ファイルオンデマンドを使うと、ファイルを利用するタイミングでダウンロードするため、インターネット環境がなければファイルが開けない。ファイルの容量が大きければ、ダウンロードに時間を要することも起き得る。

 このため、外出先などでファイルを利用したいときには、あらかじめダウンロードしておくようにしたい。

ダウンロードしたファイルにはチェックマーク、ローカルに実体がないファイルは雲のマークがファイル名の左へ表示される。ファイルを右クリックして「このデバイス上で常に保持する」を選択すれば、ファイルをダウンロードしてローカルに保存できる

機密情報を「個人用Valut」で厳重にロック

MicrosoftアカウントのIDとパスワードだけでは開くことができない「個人用Vault」(Personal Vault)
個人用Vaultを開くには、Microsoftアカウントに登録した携帯電話、あるいはメールアドレスなどを使った本人確認が必要になる
「Microsoft Authenticator」アプリを使った認証を有効にすると、個人用Vaultを開こうとしたときに、アプリでの承認が求められる

 もう1つ、OneDriveに追加された新たな機能が「個人用Vault」だ。これは特殊なフォルダーで、参照するには本人確認を行う必要があるというものだ。

 ポイントは、本人確認をMicrosoftアカウントのIDとパスワードとは別の方法で行う点である。これにより、仮にIDとパスワードが流出しても、個人用Vaultの中にファイルは保護できる。

「承認」する

 具体的な本人確認の方法としては、MicrosoftがAndroid/iOS向けに提供している「Microsoft Authenticator」アプリを利用する方法や、登録している携帯電話へSMSを送信する方法、メールで本人確認を行う方法などがある。

 なお、無料版の場合、個人用Vaultに保存できるファイルの数は3つまでだが、Microsoft 365 Personalを利用しているなら、保存できるファイル数に制限はない。重要なファイルの保存に積極的に活用しよう。

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