自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第107回

Windowsの「PC TV Plus」でバッファロー版「nasne」を使う

 本連載では【使いこなし編】の第48回から第53回まで、Amazonの「Fire TV Stick」と、アイ・オー・データ機器の「REC-ON」シリーズを組み合わせて、録画したテレビ番組をWi-Fi経由で視聴する環境を紹介した。

 これと似ているが、バッファロー版の「nasne(ナスネ)」と、「PS5」やAmazon「Fire TV Stick」、またはスマホや「Chromecast with Google TV」の「torne mobile」を組み合わせて、自宅内のWi-Fiだけでなく、外出先のモバイル回線やホテルで提供されているWi-Fiにつなぎテレビで視聴する方法や便利な使い方などを紹介している。

今回からWindows PCで「nasne」を活用してみよう

 今回からは、nasneをPCから活用してみよう。Windows PCでは、ソニーの提供している「PC TV Plus」(3300円)というアプリを使うことで、PS5の「torne」やスマホの「torne mobile」のように、ライブ番組視聴や番組表表示からの予約、nasneに録画した番組の再生が可能になる。

 ただし、外出先からの視聴には「PC TV Plusアドバンスドパック(1年版2200円)」という拡張パックの購入が必要になる。外出先からの視聴には、スマホでtorne mobileを使った方が気軽だろう。

 さらに、PC TV Plusでは、Windows PCに録画番組をダビングしたりムーブしたりすることもできる。大切な番組を別のHDDやSSDへ待避させたり、Windowsに接続したBD-R/RWに書き込んだりすることも可能だ。

 なお、コピーワンスのタイトルは移動元からは消去されるムーブとなり、地上波などのダビング10タイトルであれば、ダビング可能回数が1つ減るのは、これまでの録画機器と同様だ。

 BD-R/RWにダビングしたタイトルは、それ以上のダビングはできず、いったんHDDにムーブバックすることで再度、ダビングできるようになる。

バッファロー版「nasne」。同じルーターに接続されているPS5やスマホ、PCなどから、録画番組やテレビが視聴できる

 このPC TV Plusでのダビング作業では、ダビング先に「SeeQVault(シーキューボルト)」対応の外付けHDDを使うことで、PC以外にもSeeQVault対応AV機器へ接続して、外付けHDDにダビングした録画番組を見ることもできる。

 ただ、nasne自体はSeeQVaultには対応しないので注意が必要だ。つまり、nasneから録画番組をSeeQVault対応HDDへ移動させたいなら、PC TV Plusを経由してはじめて実現できるわけだ。対応HDDは割高ではあるが、大切な録画がたくさんあるなら検討するといいだろう。

 さらに、いったん移動した録画番組をPC側へ取り込む操作となるムーブバックを行うには、「PC TV Plusアドバンスドパック」を導入する必要がある。ここまでやれば、Windows PCを裏番組は録れないBlu-ray Discレコーダーのように扱えるようになる。

nasneの録画番組はWindows PCで外部HDDやBD-R/RWメディアへ保存しておくことができる

 ちなみに、nasneに接続した外付けHDDは、そのnasneだけで使えるだけで、別のnasneにつないでも、元のnasneで録画した番組は再生ができない。つまり外付けHDDはバックアップにはならないので注意しよう。これはほかのレコーダーでも同じことだ。

 そこで、バッファロー版nasneには、新しく2台目のnasneを購入して、中身をそのまま一括バックアップする「お引っ越しダビング」という機能が備わっている。HDDが壊れる前に、nasneを複製しておけるわけで、これもバックアップとして活用することができるのだ。

「お引っ越しダビング」は、機器に設定したIPアドレスでブラウザから表示できる(torne mobileの設定からも表示可能)「nasne HOME」の「レコーダー設定」内で開始することができる

 なお、PCでSeeQVaultに対応しない通常のHDDへ転送した録画番組は、そのWindows PCでしか再生ができず、ほかのPCにインストールされたPC TV Plusからは番組が再生できない。とはいえ、nasne本体以外にもタイトルを移動できるので、nasneの故障時にタイトルを全て失ってしまうのを多少は防げる。とはいえ、長期保存したい録画番組は、BD-R/RWに保存することをお勧めしたい。

 PC TV Plusは、無料でインストールして全ての機能を試してみることができる。1時間を超える番組には書き出し制限があるが、14日間はフルで使えるので、まずは自分に合っているか試してみよう。

 この連載では、特にことわりのない限り、体験版で可能な範囲で実践している。Windowsを使う時間が長く、BDメディアなどにバックアップしたいと考えているなら、便利に活用できるはずだ。

 もちろんWindows 11にも対応している。PC TV Plusのウェブサイトで、[今すぐダウンロードする]から体験版をダウンロードし、[体験期間の終了](または[残り体験期間の確認])メッセージからライセンスキーを購入すれば、そのまま製品版へ移行して利用を継続できる。

PC TV Plusのホーム画面。nasneのライブ番組や録画番組の視聴、番組表からの予約など、ほとんどの操作が可能だ

 PC TV Plusはnasne専用アプリではなく、DTCP-IPに対応したAV機器であれば、まとめて操作することが可能だ。Blu-ray Disc対応レコーダーなどとも連携ができ、torne mobileよりも汎用性がある。

 nasneはNASなので、ダビングに関する操作も含め、すべてPC TV Plus側から行うかたちとなる。次回は、インストール時の設定から確認していこう。

今回の教訓(ポイント)

Windowsでは「PC TV Plus」を使って「nasne」を操作できる
PC TV Plusでは、nasneから録画番組のダビングもできる

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。