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【使いこなし編】第115回

バッファロー版「nasne」でWindowsとのファイル共有を活用

 本連載では【使いこなし編】の第48回から第53回まで、Amazonの「Fire TV Stick」と、アイ・オー・データ機器の「REC-ON」シリーズを組み合わせて、録画したテレビ番組をWi-Fi経由で視聴する環境を紹介した。

 これと似ているが、バッファロー版の「nasne(ナスネ)」と、「PS5」やAmazon「Fire TV Stick」、またはスマホや「Chromecast with Google TV」向けの「torne mobile」アプリを組み合わせて、自宅内のWi-Fiだけでなく、外出先のモバイル回線やホテルで提供されているWi-Fiにつなぎテレビで視聴する方法や便利な使い方などを紹介している。

 今回からはバッファロー版nasneをリモートワークなどで便利に使えるファイルサーバーとして活用してみよう。スマホからも利用できるが、特にWindowsやMacといったPCで便利な機能だ。

今回はWindows PCのファイルサーバーとしてnasneを活用してみよう

 前回は、バッファロー版「nasne(ナスネ)」に外付けのドライブを接続して利用できるよう設定した。

 このドライブには録画番組が保存できるが、PCやスマホのファイルを保存しておくことも可能だ。家庭のLAN内に限られるが、PCとスマホなど、複数のデバイス間でファイルのやり取りができるようになる。

 こういった用途には、クラウドストレージがよく使われるが、外出先で使うこともないファイルのバックアップなどには、こういったLAN内のNASが重宝する。そこで今回は、nasneをPCから利用できるようにしてみよう。

 Windows同士はもちろん、WindowsとmacOS、スマホのAndroidやiOSにも、nasneを介してファイルを転送できるようになる。

 前回もチェックしたが、IPアドレスを固定しておき、ウェブブラウザーのアドレスバーにその数字を入力すると、nasneの設定画面である「nasne HOME」にアクセスできる。そして、nasne HOMEの[ファイルサーバー設定]で、ネットワーク共有の設定状況が確認できる。

「nasne HOME」の[ファイルサーバー設定]でネットワーク共有の設定状況を確認しておこう

 ここに示される「ファイルサーバー名」は、アクセスする時に表示されるnasneの名前だ。「ワークグループ名[*1]はWindowsの初期値「WORKGROUP」が記入されている。

 「共有フォルダー名(内蔵または外付けハードディスク)」には、内蔵と外付けそれぞれのドライブの共有フォルダー名が表示されている。初期設定では、「share1」が内蔵、「share2」が外付けだ。

 これらは自由な名前に設定できるが、「ワークグループ名」はWindows側で変更していないなら「WORKGROUP」のままで利用しよう。これは小規模LANでWindowsのファイル共有で使われている方法だ。もしこの名前を変えたいのであれば、全てのWindows PCとnasneで、同じ名前に設定をしておく。そうしないとアクセスできなくなるので注意しよう。

[*1]……ワークグループ以外に、ドメインの管理サーバーを用意して使う「ドメインネットワーク」があり、主に企業などで使われている

 Windows 11では、ネットワークプロファイルが[パブリックネットワーク]になっているケースが多く、このままだと共有フォルダーを探索できない。これを[プライベートネットワーク]に切り替えて使う必要がある。この設定は、自宅LANを[プライベートネットワーク]に、外出先で接続するネットワークには[パブリックネットワーク]に設定して使うという考え方でいい。

 以下の手順ではエクスプローラーから表示しているが、[設定]の[ネットワークとインターネット]を直接表示しても同じだ。また、最初から「パブリックネットワーク」になっているWindowsでは、何もしなくてもnasneの共有フォルダーに接続できるはずだ。

エクスプローラーから[ネットワーク]を表示。[パブリックネットワーク]設定だと警告が表示されるので[OK]を選ぶ
[ネットワークと共有センターを開く]を選ぶ。[ネットワーク探索とファイル共有の有効化]を選ぶのはNG[*2]

[*2]……[パブリックネットワーク]のまま[ネットワーク探索とファイル共有の有効化]で許可の設定をする方法は、よく個人ブログなどで共有の設定方法として公開されており、共有フォルダーに接続はできるようにはなるが、公衆Wi-Fiの接続時などに安全な状態ではなくなってしまう。自宅LANへの接続は[プライベートネットワーク]に設定するようにして、[パブリックネットワーク]ではこの設定を有効化しないように

現在接続中のネットワークが[パブリックネットワーク]に設定されていることが分かる。[プロパティ]をクリック
[ネットワークプロファイルの種類]で[プライベート]を選ぶ。外出先で公共のネットワークにつないだ場合は、ここで[パブリック(推奨)]にしておくことを忘れないように
再度エクスプローラーで[ネットワーク]を表示すると、[コンピューター]にワークグループ内のほかのPCやNASが表示されるので、ここでは「NASNE-01」を選ぶ。[メディア機器]の方をクリックしないように。また、上部の[ファイル共有が無効です。~]という警告は無視して構わない[*3]

[*3]……[ネットワーク探索とファイル共有の有効化]は、設定を有効にしたPC側も共有フォルダーを公開できるようになる。このとき、[コントロールパネル]の[ネットワークとインターネット]にある[ネットワークと共有センター]の[共有の詳細設定]は、右の画面のように設定される。[ファイル共有が無効です。~]という警告から設定をオンにすると、[ファイルとプリンターの共有]も有効になる仕組みだ

この時点で、[ネットワーク]の[コンピューター]に表示されないこともある。その場合、画面左下の[スタート]ボタンを右クリックして[ファイル名を指定して実行]を選んでnasneに設定した固定IPアドレス「\\(ここでの例は192.168.1.12)\」と入力して実行するとアクセスできる

 共有フォルダーにはユーザー認証がなく、LANに接続している人なら誰でもアクセスできてしまい、この設定を変更することもできないので注意しよう。

nasneにアクセスできた。外付けドライブの共有フォルダーである[share2]を右クリックし、[その他のオプションを表示]を選ぶ
表示されたメニューで[ネットワークドライブの割り当て]を選ぶ。Windows 10以前ではサブメニューではなく直接選択できる
選択可能な好きなアルファベットの文字を[ドライブ]に選ぶ。[サインイン時に再接続する]にチェックを付けておこう
これでLAN内では、いつでも内蔵ドライブのように扱うことができる

 共有フォルダーにドライブレターを割り振っておけば、LAN内に接続していれば内蔵ドライブのように扱える。容量の少ないSSDのノートPCでは、ドライブを物理的に外付けすることなく使えるので重宝するはずだ。

エクスプローラーで[PC]を表示したときも[ネットワークの場所]からnasneへアクセスできる
共有フォルダーに保存した画像は[フォト]、動画は[ビデオ]、音楽は[ミュージック]の各フォルダーに自動で分類して表示してくれる
[フォト]を表示した例。このように共有フォルダーの画像をブラウズできる

 Windows 11で使う分には全く気にする必要はないが、nasneのファイル共有で疲れわれている通信プロトコルは、SMB 2.0なので、SMB 1.0にしか対応しないWindows XPなどの古い環境からはアクセスできない[*4]

[*4]……家庭内LANではあまり気にする必要はないが、暗号化強度不足への懸念から、Microsoftは2016年にはSMB 1.0の利用停止することを求めていた。そのため、Windows 10以降では、初期設定のままではSMB 1.0での接続ができなくなっている

先代のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)版nasneはSMB 1.0だったので、Windows 11ではSMB 1.0でアクセスできるように設定を変更しないと利用できない。[Windowsの機能]から[SMB 1.0/CIFS ファイル共有サポート]を追加する設定が紹介されている古い記事などもあるが、これはSCE版nasneへのアクセスのために必要な手順で、バッファロー版では不要なので注意しよう

 [スタート]ボタンを右クリックして[Windowsターミナル(管理者)]を選んでターミナルを起動し、「Get-SmbConnection」のコマンドを実行すると、現在のSMB接続状況を確認できる。実際にチェックしてみると、SMB 3.0.2が使われているようだ。

nasneとはSMB 3.0.2で接続されているようだ。別のファイルサーバーとの接続に使われている最新のSMB 3.1.1はWindows 10から搭載されたもの

 次回はmacOSからも、同じようにファイル共有をしてみよう。

今回の教訓(ポイント)

nasneはWindows PCからファイルの共有ができる
[プライベートネットワーク]へ切り替えてから使うことを忘れずに

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。