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【使いこなし編】第168回

ミラーリングより便利! iPhoneやAndroidスマホの画面をチューナーレステレビに「キャスト」しよう

 今回はTCLのチューナーレステレビ「50P63J」で、キャストの機能を使って動画を楽しんでみよう。キャストとは、スマートフォンやタブレット、PCなどの対応アプリから動画を選び、スマートテレビの大画面で再生させる機能のことで、多くの動画配信サービスのアプリが対応している。

ミラーリングとキャストの違いは?

 スマホの画面をテレビの大画面に映すことは「ミラーリング」とも言われる。ミラーリングは“複製”を意味し、スマホとテレビで同じ映像を映すようにする。対して、キャストは“投影”を意味し、テレビで動画を楽しみながら、スマホ側では別の操作をすることもできる。よって、ユーザー体験としては「だいたい同じようなこと」とも言えるが、仕組みはかなり違う。

 テレビのリモコンの代わりに、使い慣れたスマホで見たいコンテンツを選び、大画面で楽しむ、という使い方ができて、テレビの操作が便利になる。動画を見ながらスマホで別のことができるので、ミラーリングよりも便利だと言える。ほかにも、ミラーリングではスマホへの通知がそのままテレビにも表示されてしまうが、キャストでは表示されないという利点もある。アプリ画面をそのまま大画面で見たいというケースのみミラーリングを使うといいだろう。こちらは次回に実践してみよう。

 今回は、TCL 50P63Jが搭載するOS「Google TV」の機能と、iOSの「Netflix」アプリを使うが、アプリの操作はAndroidでも基本的に共通だ。また、OSに「Android TV」を搭載したスマートテレビやチューナーレステレビも同じ方法で操作できる。

 手順は多少異なるが、Amazonの「Fire TV」シリーズでも可能で、第57回にて、Fire TV Stickを使って実践している。

まずはスマホとテレビが同じWi-Fiに接続していることを確認

 キャストを実行する前提条件として、スマホとテレビ(スマートテレビやチューナーレステレビ)は同じWi-Fiに接続している必要がある。正確に言えば、同一のLAN内に接続しているのが大前提だ。よくあるキャストできない原因に「スマホがモバイル回線だけにつながっていて、Wi-Fiにつながっていなかった」ということがある。まずは、自宅のWi-Fiに接続していることを確認しよう。

 また、スマホとテレビの双方で、利用する配信サービスのアプリがインストールされている必要もある。今回はNetflixで実践してみるが、スマホとテレビの双方にNetflixのアプリも入れておくのが前提になる。

 キャストの操作は、最初にスマホ側でコンテンツを選択し、テレビで再生するように指示をするので、スマホからテレビにデータが転送されるような気分になると思う。しかし、実際の仕組みはそうではない。テレビでキャスト再生が始まった時点で、データはテレビで直接再生しているのと同じ状況になる。スマホは、リモコンのような役割をしているに過ぎない。

TCL 50P63JなどのGoogle TVのWi-Fi接続確認は、リモコンで設定ボタンを押して「Wi-Fi」を選択する
スマホが接続しているWi-FiのSSIDと同じか確認しておく

Netflixの動画をスマホからキャストする

 ここまでの準備ができたら、スマホのアプリ側からキャストしてみよう。Netflixのアプリを使っているが、どの配信サービスでも似たような手順で再生できるように作られている。

 ただし、Netflixの「広告つきスタンダード」プランの契約ではキャストができないので、注意する必要がある。キャストで楽しみたいなら「ベーシック」以上のプランの契約にしておこう。ちなみに4Kでも楽しみたいなら、一番高い「プレミアム」プランになる。

 キャスト先のデバイスとして、Google Homeで設定したデバイス名で表示される。初回はローカルネットワーク検索の許可画面が表示されるので許可しておこう。

Netflixアプリを起動すると、右上にキャストアイコンが表示されているので、これをタップする
接続デバイスのスマートテレビを選択する

 スマホからキャストした時点で、テレビ側のNetflixアプリが起動するので、プロフィールを選択してログインしておく。この作業は最初だけで、後はスマホで再生したいコンテンツを選ぶとキャストされる。通常テレビ側のアプリは自動で起動するが、キャストがうまくいかない場合にはテレビ側でアプリを起動しておき、ログインした状態で待機させておくと認識しやすくなる。

 キャストアイコンが赤くなっているのがキャスト中の表示になる。赤いキャストアイコンをタップすると、接続を解除することができる。キャスト中は再生コントロールがスマホからも可能だ。またスマホで視聴途中からテレビにキャストすることもできる。

キャストした時点でテレビ側のNetflixアプリが起動するので、ログインやプロフィール選択を済ませる
(Netflixアプリの)ホーム画面の表示にしておく
スマホ側で再生させたいコンテンツを再生する。この時点でテレビで再生される
スマホ側のホーム画面では、このような表示になる。下部に再生中のコンテンツが表示されている
下部の再生中コンテンツをタップすると、再生コントロール画面になる。赤いキャストアイコンをタップしてみよう
赤いキャストアイコンからは、キャストの接続解除が行える
なお、スマホで再生を開始していても、キャストアイコンをタップすれば、途中からキャストできる

Netflix以外のアプリでもキャストできる

 この操作はNetflixアプリだけではなく、ほかのアプリでも似たような操作で可能だ。キャスト方法は同じだが、再生後のコントロールは、アプリごとに多少異なる。

こちらはAndroidのAmazon「Prime Video」アプリ。キャストアイコンが上部にある。同様の操作が可能
同じく「YouTube」アプリでも、同様にキャストアイコンがある
Prime Videoアプリでは、スマホとキャストがつながった状態のテレビに、このような待機画面が表示され、状態がわかりやすい

 このキャストの操作に慣れると、手元のスマホアプリ側で好みのコンテンツをブラウズや検索で探して再生し、テレビの大画面で見るという視聴スタイルができるようになる。スマートテレビのホーム画面やアプリ画面をリモコンで操作することが、ほとんどなくなってしまうはずだ。便利に使いこなしてみてほしい。

今回の教訓(ポイント)

キャストを使うとスマホからコンテンツを選んでテレビで再生できる
スマホとテレビの両方に同じアプリを入れておき、同一Wi-Fiに接続して使うのがコツ

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。