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【使いこなし編】第126回

nasneの録画番組をRECBOXにバックアップする―準備編

 本連載では【使いこなし編】の第48回から第53回まで、Amazonの「Fire TV Stick」と、アイ・オー・データ機器の「REC-ON」シリーズを組み合わせて、録画したテレビ番組をWi-Fi経由で視聴する環境を紹介した。

 これと似ているが、バッファロー版の「nasne(ナスネ)」と、「PS5」やAmazon「Fire TV Stick」、または、スマホや「Chromecast with Google TV」向けの「torne mobile」アプリを組み合わせて、自宅内のWi-Fiだけでなく、外出先のモバイル回線やホテルで提供されているWi-Fiにつなぎテレビで視聴する方法や便利な使い方などを紹介している。

今回からは、ネットワークディスクのRECBOXを使ってnasneの番組をバックアップしてみよう

 nasneの使いこなしを見てきたが、最後に録画データのバックアップを見ていこう。これまでもWindowsPCの「PC TV Plus」にて、番組を転送する方法を実践した。これはこれでPCのディスクでバックアップが取れるので便利だ。

 また、バッファロー版のnasneでは、もう1台nasneを用意して複製する「お引越しダビング」機能もある。こちらは「nasne HOME」から簡単に実行できる。

 このようにいくつか録画番組を別の機器に待避させる手法はあるわけだが、今回から数回を使って、汎用的な手法としてアイ・オー・データ機器の録画用NAS「RECBOX」に番組をコピーやムーブをして、簡易的なバックアップを実践してみようと思う。

 RECBOXは、DTCP-IPに対応していて同一LAN内で録画番組の保存ができる製品だ。nasneはもとより、BDレコーダーなどメーカーを問わずに番組を別のディスクに保存しておける。これから紹介する実践方法は、nasne以外でもDTCP-IP対応機器との転送方法として活用できるので、ぜひ試してみてほしい。

アイ・オー・データ機器の「RECBOX HVL-LS」シリーズ。ちょっと大きめの外付けHDDといったサイズ
背面には、ギガビット対応の有線LAN、HDD増設用のUSB 3.1 Gen 1のポートを各1ずつ備える
ACアダプターのほか、LANケーブルが付属している

 通常、録画機能のあるテレビやBDレコーダーに接続した外付けHDDは、その機器に接続している状態でしか機能しない。nasneに取り付けた外付けHDDでも同じだが、接続し認識させた利用中の外付けHDDをはずして、別のnasneやBDレコーダーにつなげても、保存された番組を⾒ることはできない。

 しかし、このRECBOXのようなNASに保存した番組は、LAN内の別の機器での再生はもちろん、ファイル転送も、コピーやムーブのルール内で可能だ。つまり、残しておきたい番組の保存先として使うと便利なのだ。また、ドラマなどを連続して多数保存しておくのにも、連続して視聴でき重宝する。メーカーではバッファロー版nasneの動作保証はしていないようだが、今回試したところでは、特に問題なくRECBOXからの操作でnasneからダウンロードができている。

 ただし、HDDなので故障の可能性はどうしてもあり、長期保存用途としては BDの方が優れている。nasneから別の外付けHDDなどのストレージにもバックアップして、万一の故障時の被害を最小限に食い止めるという考えで使うとよいだろう。

 また、RECBOXに移動した番組は、PS5[*1]の「torne」やスマホの「torne mobile」で再生することはできない。汎用のDTCP-IP対応プレイヤーを使うことになるので注意しよう。

 テレビにDTCP-IP対応プレイヤー機能が付いていることもあるが、ない場合には連載でも取り上げている、Amazonの「Fire TV Stick」やGoogleの「Chromecast with Google TV」などでは「DiXiM Play」アプリが利用できる。Windowsでは「PC TV Plus」を使うといいだろう。

[*1]……少々古いがPS3には、DTCP-IP対応のネットワークプレイヤー機能が標準で付いていて、ワリと重宝する

 現行のRECBOXは2種類ある。自宅外からのスマホでの視聴とRECBOX同士でのリモートダビングが可能な「HVL-RS」シリーズと、それらの機能が省かれた「HVL-LS」シリーズだ。

 今回使っているのは、HVL-LSシリーズの方になる。スマホやタブレットのアプリでの視聴、遠隔地とのダビング(通常はVPNなどが必須となる)がしたければ、ちょっと高いがHVL-RSシリーズを選ぼう。自宅内LANで使うだけならHVL-LSでも問題ないが、スマホとタブレットでの再生に難があり、ちょっと試したところではiPadで「Dixim Play U」を使った再生ができなかった(ちなみにnasne上の同番組はDixim Play Uで再生可能)。

 とはいえ、Fire TV Stickにて「DiXiM Play」やWindowsの「PC TV Plus」を使って再生できることは確認したので、HVL-LSでは再生環境を選ぶ必要がある点に注意して使えばいいだろう。

 RECBOXは有線LANケーブル接続のみなので、Wi-Fiルーターの有線LANポートに接続して使う。この連載と前回までと同じ環境にしていたら、メッシュのコントローラ側にあたるWi-Fiルーター「WSR-5400AX6S」に接続しておけばいい。nasneはアンテナケーブル接続が必要だが、こちらは電源とLANケーブルさえつながれば、どこに設置してもかまわない。

RECBOXはWi-Fiルーターの有線LANポートに接続して使う
電源を入れると、前面中央のLEDがほのかに点灯する。点滅が終わり点灯になれば利用可能だ

 RECBOXのセットアップは特になにも必要ないのだが、連載では何度か行っているIPアドレスの固定をしておくと、後々安定して便利に使えるようになる。割り振られたIPアドレスは、Windowsの場合、同社が提供する「DR Controller[*2]」から分かるし、連載でよく使用するスマホアプリの「Fing」を使ってもいい。もちろんWi-Fiルーターの設定画面から情報を得てもいい。LAN内のIPアドレスの確認については、以下の連載を参照してほしい。

[*2]…… ダウンロードページからダウンロードしインストールする必要がある。ただIPアドレスが判別できれば、あとはブラウザーで設定できるので、必須のツールでもない。スマホでFingとブラウザーを使って設定することも可能だ

 LAN内で固定したIPアドレスは重複しないように割り振りに注意する。今回の実践例では中継機を「192.168.11.210」に、nasneを「192.168.11.211」に設定しているので、RECBOXは「192.168.11.212」にでもしておくといいだろう。

 IPアドレス固定に関する記事は、以下の第38回~41回を参照すると分かりやすい。IPアドレスを固定する機器を使うには、とにかく重複しないよう自宅内LANで配布ルールを決めておくのが肝心だ。

 RECBOXの設定画面にアクセスしたら、[各種設定]ー[ネットワーク設定]ー[IPアドレス設定]で[IPアドレス]を書き換えることができる。[DHCP]を[無効]に切り替え、[IPアドレス]に固定したいアドレスを記入する。

同社提供のツール「DR Controller」を同一LAN内で起動すると見つかる。[i]をクリックするとIPアドレスが分かる
Windowsの場合、このままDR Controllerで設定してもよいが、IPアドレスが分かればブラウザーで管理画面を表示させても同じこと
[各種設定]ー[ネットワーク設定]ー[IPアドレス設定]で[IPアドレス]を書き換えることができる。[DHCP]を[無効]に切り替え、[IPアドレス]に固定したいアドレスを入力する
スマホのFingで検索してみた画面。こちらはIPアドレス固定前
スマホのブラウザーからアクセスしてみたところ。問題なく設定できる

 RECBOXのIPアドレスを固定したら、いつでも同じIPアドレスでアクセスできる。nasneで録画した番組のダウンロードもこの画面から行うことになるので、いつでもアクセスしやすいように設定しておくことがポイントになる。スマホならこの設定画面をホーム画面に追加して、アプリのように使うと便利だろう。

今回の教訓(ポイント)

RECBOXに番組を転送して保存しておけば、Fire TV Stickなどで視聴できる
RECBOXはIPアドレスを固定して使うことを推奨する

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。