自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第161回

チューナーレステレビに必要な初期設定を解説&ディスプレイとの違いなどの疑問に答える

前回から「チューナーレステレビ」のTCL「50P63J」を使い始めてみる

 本コーナーでは前回から、TCLのチューナーレステレビ「50P63J」を使ってみている。

 チューナーレステレビとは、「NHK受信料を払わなくて済むテレビ」として最近注目を集めている製品カテゴリーだ。テレビ本来の定義から外れ、実態は、スマートテレビ用OSを搭載したディスプレイであって、テレビジョン放送を受信する機能は持たない。インターネット回線を使ってアプリから配信サービスを利用して映像を楽しむ。

 現在のチューナーレステレビのOSには、だいたい「Google TV」もしくは「Android TV」が搭載されているので、最初に電源を入れると、ウィザード形式の初期セットアップを進めることになる。今回はこちらのポイントとなる作業を見ていこう。

スマホアプリ「Google Home」を使うと楽に設定できる

 50P63JはGoogle TVを採用しているので、Google TVのセットアップとなる。この方法は、以前連載で取り上げたChromecast with Google TVの初期設定とほぼ同じなので、ポイントのみ取り上げる。途中から、スマホアプリ「Google Home」で設定すると楽になり、後の操作もスマホから可能になるので、あらかじめインストールしておこう。

▼Google Homeのインストール
Google Home(App Store)
Google Home(Google Play)

50P63Jの電源を入れた直後の画面。初期セットアップが始まる。もちろん[日本語]を選ぶ
[Google TVの設定]を選ぶ。[ベーシックテレビを~]ではGoogle TVを使わず外部入力主体になってしまう
Google Homeで読み取るQRコードが表示されたら、スマートフォンのGoogle Homeアプリを起動しよう(このQRコードを直接カメラアプリで読み取るのではない)

 チューナーレステレビの画面にGoogle Home用のQRコードが表示されたら、以降は、スマホのGoogle Homeでの作業に切り替える。単純に標準のカメラアプリでQRコードを読むのではないので注意してほしい。

 Google Homeアプリでデバイスの追加を行い、その後に、QRコードを読み取るのだ。以降はiOSアプリの画面で紹介するが、Androidでも同様となる。

Google Homeアプリを起動し、[デバイス]タブで[+追加]をタップして追加設定を始める
家の選択では[自宅]を選ぶ
デバイスの検索が始まり、デバイスが発見される
続けてチューナーレステレビの画面に表示されているQRコードを読み取る
使用する部屋の名前を付けておく。この名前がテレビに付く
自宅のWi-Fiに接続する。過去にGoogleデバイスを接続していれば、暗号化キー入力は不要
ここからはスマートフォンからGoogleアカウントにログインして、Googleサービスやアシスタンスの設定を続ける。画面は省略する
あらかじめアプリを指定して、チューナーレステレビにまとめてインストールできる
背景をGoogleフォトのアルバムから指定できる。最後に設定を確認して完了
完了すると[デバイス]タブにチューナーレステレビが表示される

チューナーレステレビ側で設定の仕上げ

 Google Homeアプリでの設定中も、テレビ側では連動して随時表示される。アプリでの設定が終わるとチューナーレステレビ側の画面で、設置場所を[自宅]にし、ユーザー契約や自動更新、リモコンのペアリングを行う。その後、アプリをインストールするが、これには少し時間がかかる。

アプリで設定が終わるとチューナーレステレビ画面に移る。設置場所は[自宅]に設定。この後ユーザー契約と自動更新を確認しておく
リモコンのホームと選択を同時に押してペアリングを行う
アプリのインストールが行われる。ここはちょっと時間がかかる
これにて設定完了。[始めましょう]を選択すると……
ホーム画面が表示される。以降電源オン時には、このホーム画面が表示される

 設定完了後はホーム画面が表示される。以降電源オン時には、このホーム画面が表示されるようになるので、ここから好みのアプリ(サービス)やコンテンツを選んで、楽しむことになる。これが、チューナーレステレビの楽しみ方の基本となる。

 もし足りないアプリがあった場合には、[アプリ]タブから検索してインストールできる。通常のテレビでは、電源オンで選んでいたチャンネルの番組が勝手に流れ始めるが、チューナーレステレビではホーム画面が表示され、何らかのアクションを起こさないと再生は始まらない。ここはちょっと大きな違いになる。

チューナーレステレビへの疑問に回答する

 チューナーレステレビは、まだ出始めたばかりで認知度が低いこともあり、前回の記事の反響には、いろいろな疑問もあったようだ。ここでは、そのいくつかに回答する。

映像エンジンなども持ち、ただの「大きいディスプレイ」ではない

 もっとも多かった声が「結局、大きなディスプレイなのでは?」というもの。確かに、ディスプレイがあってテレビジョン放送を受信できないという点ではそうなのだが、実際にはもっと「テレビらしい」機能もある。

 テレビらしさの面で、中でも重要なのが、映像エンジンによる最適化機能だ。スポーツや映画、ゲームといったコンテンツに向けに映像を最適化でき、4Kモデルではハードウェアアップコンバート機能も付いて、もとが4Kに満たない映像も解像感を高めてくれる。

 映像エンジンを搭載しているディスプレイもあるが、テレビのような用途は想定されておらず、映像コンテンツには不向きなものも多い。また、ディスプレイにはスピーカーを搭載していない製品もある。その場合は別途HDMIの音声を分離してスピーカーに接続するなどする必要があるが、チューナーレステレビならスピーカーを標準搭載している。

 また、チューナーレステレビでは、設定や入力切り替えなど、一通りの操作をリモコンで完結できる。ディスプレイでは、そうとは限らない。

チューナーレステレビには、映像を楽しむための映像エンジンが使われている。コンテンツに合わせて設定して使うことができる

 ディスプレイとチューナーレステレビでは、想定されているユーザーとの距離も異なる。ディスプレイは近距離で操作することに最適化されていて、50V型以上は家庭向けとしてはほとんどない。大きいのは主に業務用のデジタルサイネージ用途になる。対してテレビは、数m離れた距離から見ることが想定されているので、50V型以上の製品も多い。

アンテナを撤去してもNHKを解約できる

 NHKの解約に関して、「既存テレビのままアンテナを撤去しても、NHKを解約できるのでは」という意見も出ていた。確かにその通りで、前回の記事では主に通常のテレビからの置き換えを想定して説明したが、一軒家に住んでいる場合などでアンテナの撤去が自由にできるなら、アンテナを撤去する方法もアリだ。

 アンテナなしの既存テレビ+外付けストリーミングデバイスとするか、アンテナはそのままでチューナーレステレビにするかは、住んでいる環境や買い換えタイミングなどから決めればいいと思う。使い方に違いはない。なお、チューナーレステレビに買い替えた場合、既存のテレビを廃棄したときの家電リサイクル券や、チューナーレステレビへの買い換えで回収時にもらえる証明書を使うと、NHK解約時の廃棄証明が確実にできる。

スマートテレビOSの陳腐化は致し方ないところ

 「内蔵されているスマートテレビ用OSや機能が陳腐化しやすいのでは」という懸念もあるようだ。これは致し方ないところで、5年、10年と使うことを考えると、途中から最新OSにアップデートできなくなってしまうおそれはある。

 そのような場合も想定し、外付けストリーミングデバイスを追加で導入する方法を今後の連載で補足していく予定だ。現在Fire TVシリーズを使っている人は、こちらの方がスムーズに使えるようになるはずだ。

今回の教訓(ポイント)

Google TVのチューナーレステレビの初期設定はスマホの「Google Home」アプリから行う
初期設定の手順はChromecast with Google TVとほぼ同じ

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。