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【使いこなし編】第97回

バッファロー版「nasne」をPS5とFire TV Stickで使う準備をする

 本連載では【使いこなし編】の第48回から第53回まで、Amazonの「Fire TV Stick」と、アイ・オー・データ機器の「REC-ON」シリーズを組み合わせて、録画したテレビ番組をWi-Fi経由で視聴する環境を紹介した。

 これと似ているが、バッファロー版の「nasne(ナスネ)」と、「PS5」やAmazon「Fire TV Stick」、またはスマホや「Chromecast with GoogleTV」の「torne mobile」を組み合わせて、自宅内のWi-Fi(外出先のモバイル回線でも可能)を介してテレビで視聴する方法を、これから何回かで紹介していこう。

今回からバッファロー版「nasne」を使って、Wi-Fi内でテレビを録画視聴できる環境を構築してみよう

ネットワークレコーダー&メディアストレージ「nasne」内蔵2TB HDDに番組をどんどん録画できて人気

 ご存じの方も多いと思うが、このnasneは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)の製品として販売されていたが、その販売休止に伴い、SIEの全面協力の下でバッファローが改良しつつ引き継いだ製品だ。

 テレビ番組はネット配信も多くなってきたので、録画需要は少なくなるのかと思いきや、発売当初は予約即完売が続いていたほど、かなり人気の商品だ。

  • <現行モデル>バッファロー「nasne」 型番:NS-N100 バッファローダイレクト販売価格:2万9800円(税込)
  • <旧モデル>SIE「nasne」 型番:CECH-ZNR1J、CECH-ZNR2J、CUHJ-15004
バッファロー版の「nasne NS-N100」
PS5と組み合わせて使うのが便利。Fire TV Stickやスマホでも活用できる

 nasneは、「ネットワークレコーダー&メディアストレージ」という触れ込みで、地上デジタルとBS/110度CSデジタルのテレビチューナーでの録画を、内蔵された2TBのHDDへ(別に6TBまでの外付けHDDを1台装着することも可能)どんどん貯めていく。

基本的な使い勝手は旧モデルSIE版nasneをほぼ継承LAN内のDTCP-IP対応プレイヤーで録画番組を再生できる

 録画予約など全てのコントロールは、PS5/4のアプリ「torne(トルネ)」やスマホの「torne mobile」を使って行う。2021年11月24日からPS5版の「torne」が利用可能になっていて、バッファロー版はもとより、SIE版にも対応している。

PS5「torne」の番組表表示。アプリのサクサク動作がウリの1つ

 なお、nasne本体にはHDMI出力はなく、テレビに直接映像を出力することはできない。このため、Wi-FiなどLAN接続が必須となっている。DLNAとDTCP-IPに対応のプレイヤーであれば、たいてい再生は可能だ。

 この点、以前に使い方を紹介したアイ・オー・データ機器の「REC-ON(HVTR-BCTX3)」にはHDMI出力があり、テレビに接続して視聴や操作ができるという違いがある。また、nasneの搭載チューナーは1基のみで、予約が重なった録画はできない(HVTR-BCTX3はトリプルチューナー)。複数番組の同時録画をしたいなら、複数台のnasneをLAN内に用意することになる。

「nasne」(左)と「REC-ON(HVTR-BCTX3)」(右)の比較

 本体の外観含め、基本的な使い勝手も旧モデルであるSIE版のnasneをほぼ継承しているが、細かな仕様に違いはある。

 使い方として影響があるのが、再生できる環境の相違だ。SIE版のnasneは、PS3、PS Vita、PS Vita TV、テレビのブラビアからの再生に対応するが、バッファロー版ではこれらに対応していない。なお、PS5の「torne」とPS4の「torne PlayStation 4」、Android/iOSの「torne mobile」には、どちらも対応している。

 PS5/4が手元にあるならテレビに映すことができるが、ない場合には「Fire TV Stick」を使って、有料アプリにはなるが「DiXiM Play Fire TV版(買い切り1650円、月額132円/月)」を活用するのが手軽だろう。

 こちらの方法も、以下の連載で紹介した内容とほぼ同様になる。もし、手持ちのテレビやレコーダーがDLNAとDTCP-IPに対応しているなら、再生できるかを一度試してみるといい。

 また、「Chromecast with GoogleTV」でAndroid版「torne mobile」を利用する方法もある。再生はフルHD(1080p)ではなくHD画質(720p)なので大きめのテレビには向かないが、パーソナルなテレビなら、これもアリだろう。

 ちなみに、PS5の「torne[*1]」でもAndroid/iOSの「torne mobile」でも、番組を視聴するには有料で「視聴再生機能」(PS5版500円、スマホ版610円)を購入する必要がある。

ヘンな鳥のキャラクター「トルネフ」がオススメしてくるのも特徴。放送を見る機能もあるが……
視聴しようとすると、「視聴再生機能」の購入を促される。「トルネフ」の顔にイラっとする瞬間でもある

[*1]……823円の有料アプリだったPS4向けの「torne PlayStation 4」は2014年6月10日に無料化された。
一方、PS3用の「torne」は、専用地上デジタルレコーダーキットと専用アプリとしてnasne発売前にリリースされていて、このアプリはバッファロー版「nasne」には非対応で、録画予約設定などはできない。
ただしPS3は、PS5/4にはないDLNAとDTCP-IP対応のネットワークプレイヤー機能を内蔵しているのでバッファロー版「nasne」に録画された番組を再生可能。
つまり、スマホがあれば予約は「torne mobile」で行い、視聴はPS3で見るという使い方をすれば無料で活用できる。

LANとアンテナのケーブルをつないで電源をオン

 nasne本体はテレビへの接続ができないので、設置場所はテレビアンテナと有線LANケーブルがつなげればどこでも構わない。有線LANが近くになければ、には、イーサーネットコンバーターや、この機能を持つWi-Fi中継機を使ってもいいだろう。Wi-Fi 6のメッシュにすれば速度も問題ない。この連載の読者であれば、これまで何度かやっているので、ワケないはずだ。

 テレビアンテナの接続時には、ちょっとだけ注意が必要だ。アンテナ端子は上下2つ並んでいるが、下側のみに地上デジタルとBS/110度CSデジタルを1本の混合で接続する。上は入力ではなく出力になっていて、テレビなどほかの機器に接続するものだ。

本体背面。分かりにくいが一番上に電源ボタンがあり、LAN、HDD外付け用のUSB、アンテナ出力、アンテナ入力の各端子が上から並ぶ
小さなminiB-CASカードを、「カチッ」っとロック音がするまでシッカリ差し込む

 テレビやレコーダーなどにはよくあるが、ある地上デジタルとBS/110度CSデジタルを分離し、アンテナケーブルを2本接続するわけではないので、間違えないようにしよう。

 さて、nasneをLANに接続すると、下から2つめの「IPステータスランプ」がオレンジ色の点滅から点灯に変化する。これで、DHCPによるIPアドレスが割り当てられ、「torne」からアクセス可能になる。

アンテナは下側のみに地上デジタルとBS/110度CSデジタルを混合で接続。あとは有線LANケーブルを接続する
下から2つめの「IPステータスランプ」がオレンジ色の点灯になれば準備完了

今回の教訓(ポイント)

バッファロー版「nasne」と「PS5」のでテレビの録画や視聴ができる
Amazon「Fire TV Stick」や「Chromecast with GoogleTV」も工夫次第で活用OK

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。